日本は美しい国か 11 死刑存置論
前回「光市の事件」に関しての懲戒請求騒動について書きましたが、この事件は死刑存置論をも活発にさせているようです。とくに最近ネット上では「死刑に賛成、絶対存置」という論調が盛んですが、日本では何故これほど死刑賛成派が多いのか?少し考えてみようと思います。
結論から申しまして私は、「死刑を必要とする人がいるから」ではないかと思います。
では、死刑を必要とする人達とは誰のことか?
最近ようやく秋田の事件の公判のニュースがちらほら出始めました。私は一貫してあれは「冤罪である」と主張しています。証拠も不十分だし、目撃証言も曖昧。唯一の根拠は長時間の取調べ後の自白のみ。男児殺害については女児の死亡原因を調査して欲しかったから、という動機で起訴されたのにもかかわらず、「女児も自分で殺害していた」とは、明らかに不自然です。
しかしこの事件、検察としてはどうしても死刑判決が欲しいのです。
だからこそ、動機をあいまいにしてまで女児の方の殺害まで「自白させた」のです。
何故か?
おそらく警察は冤罪であることも、また真犯人も分かっています。被告が生きている限り、その真犯人は落ち着かないのです。
だから、「死刑」という、「命を奪う」刑罰が必要なのです。
光市の事件では、キャスターもコメンテーターもヒステリックに「死刑!!!!!」とわめき散らしておりました。
しかしその彼らが事件についてどの程度の知識があるのかというと、前回も書きましたが、とても下調べをしているとは思えないのです。
例えば、下調べをしないことで有名なテレビ番組「そこまで言って委員会」での宮崎哲弥氏のコメントを引用させて頂くと、
「弁護士という物をね、弁護士に対する評価をドンドン下げている。あれね、何が問題かって言うと、要するに当人がこう言ってるからやってるんでしょうけど、1審2審ではまったく出て来ていない。だから、突然出てきている訳。突然出て来て、当人しか知りえない事実な訳ですよ。こんなもん誰が信用しますか!?こういうもの、こういうことを最終審近くになって出してくるって事はね、私は被告人当人のためにもなっていない。これは明らかに政治運動ですね。」
1審では、被告の元少年は「殺意はなかった」と言っているそうです。しかし誰も耳を貸さなかったそうです。裁判を一審から傍聴している本村さんの「友人」だそうですので、ご存知のはずなんですが。
「安田さんていうのはね、ずっと長い間、死刑廃止運動をやってる方なんですよ。それはそれで良いです。私も死刑廃止論には一部耳を傾ける部分も有る。でもそういうのはね、裁判所の外でやる事であって、立法府に働きかけるべきでしょう。」
宮崎氏は「死刑廃止論には一部耳を傾ける部分も有る」というのですから当然、死刑存置論者です。弁護団は法廷では「死刑廃止」とは一言も言っていないのに、マスコミに同調して「あの弁護団は死刑廃止を法廷内に持ち込んでいる」と決め付け、「死刑廃止論者はおかしな人間ばかりである」というプロパガンダ。
私はむしろ、周囲やマスコミが、事実誤認だろうがなんだろうがとにかく「死刑」を、と切望しているからこそ、そういう人たちにとってはあの弁護団がうっとうしいだけなのではないかと思うのですが。
「私はね、本村はあえて言いますけど、友人ですから言いますけども、彼はこの間、人間を死刑にするってのはどう言う事なのかと、自分なりにずっと考えて来た訳。或いはこの更生っていうのはね、過ちを犯してしまった罪人の更生って言うのはね、どういうことかというのをアメリカに行って、色んな文献を読んでね真剣に考えてきた訳ですよ。そのね、弁護側の法律家の答えがこれですか?私はね、許せないね本当に!」
前述の一審の件、何故知らなかったのか?本当は「友人」ではないか、あるいは本村さんがウソをついたか記憶違いをしているか。どちらにしても、何だかいかがわしい話です。そして本村さんは、北朝鮮や中国には死刑の見学には行かれていないのでしょうか。イラクなどのイスラム諸国は?アメリカだけでは不十分のような気がします。そのあたり宮崎氏が友人として助言してあげたらいいと思いますが。
そして、宮崎氏はWikipedeiaによれば「人の死はひとつの例外もなくすべて犬死である」という仏教思想の持ち主であるそうです。
つまり、「全ての死刑囚は犬死しろ」、というのがこの方の主張のようです。
この方に限らず死刑存置者の主張には矛盾が多くあります。
・殺人は命を持って償うしかない。→窃盗でも横領でも犯人が金を返すことは少なく、放火犯の家が火をつけられることもないのに何故殺人のみ「命で償う」ことが必須なのでしょうか?
・被害者遺族の感情を考えれば当然のこと。→死刑を望まない遺族もいます。犯人が死んだとしてもそれはそれで犯人の遺族は悲しむことになりますし、それ以外のケア(報道規制、民事裁判の簡素化等)を行った方がいいと思いますが、そういうことを考えている死刑存置論者は殆どいません。
・更生は不可能だ。→その根拠は何でしょう?1人や2人再犯者が出たからといって何万人もいる犯罪者全てが更生不可能なのでしょうか?死刑廃止国では全ての殺人犯が再犯を犯しているというデータでもあるのでしょうか?また、宮崎哲弥氏は補導歴があるそうです。全ての犯罪者が更生不可能だとしたら、宮崎氏もテレビに出るべきではないでしょう。
・死刑には犯罪抑止力がある。→私はないと思います。犯罪抑止力があるというデータもありません。むしろ「死刑には犯罪抑止力がある」という人は「死刑さえなければ」犯罪犯してやるのに、という危険人物では?
・再犯防止のために死刑は必要である。→再犯を犯す危険がある人を死刑にするというのなら、初犯も含めて犯罪を犯しそうな人全てを逮捕しなくてはいけません。上記「死刑さえなければ…」という人が最も可能性が高いと思いますが、そういう人を「捕まえろ」という死刑存置論者はいません。
以上いろいろと述べてきましたが、ブログなどで光市の事件でヒステリックになっている人ほど「橋本弁護士」(正しくは橋下弁護士)「宮崎哲也」(正しくは宮崎哲弥)「(犯罪者が)更正する」(正しくは更生)と変換ミスを多くしていることも一応書き添えておきます。
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