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2018年4月 6日 (金)

がんと運動

先日、FBのタイムラインにこんな記事が流れてきました。本文も引用します。


2018年2月16日より18日までアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されたThe Cancer Survivorship Symposiumのポスターセッションにて、術前化学療法中の乳がん、大腸がん患者に対する運動の疲労軽減、身体活動向上の効果を検証したPACT試験(Abstract 99)の結果がUniversity Medical Center Utrecht・Anne Maria May氏らにより公表された。
PACT試験とは、術後化学療法治療中のステージI-III乳がん患者(N=204人)、ステージI-III大腸がん患者(N=33人)に対して1週間に2回の頻度で理学療法士監視下にて60分間のサイクリング、ジョギングなどの有酸素運動、筋力トレーニングをし、1週間3回の頻度で自宅にて30分間の身体活動をする群(運動強化療法群)、または通常の身体活動をする群(通常ケア群)に無作為に振り分け、ベースライン時より4年後のMultidimensional Fatigue Inventory(MFI)に基づく疲労スコア、Short Questionnaire to Assess Health-enhancing Physical Activity(SQUASH)に基づく身体活動レベルを比較検証した多施設共同試験である。
なお、本試験に参加した患者204人の内4年後に生存していた患者は128人、その内訳は乳がん患者110人、大腸がん患者18人であり、運動強化療法群は70人、通常ケア群は58人である。
本試験の結果、ベースライン時より4年後の疲労スコアは通常ケア群に比べて運動強化療法群で-1.13(95%信頼区間:-2.45~0.20)減少を示したが、統計学的有意な差は確認されなかった。また、身体活動スコアも疲労スコア同様に通常ケア群に比べて運動強化療法群で高く、その値は141.77分/週(95%信頼区間:1.31~281.61)を示していた。
以上のPACT試験の結果よりAnne Maria May氏らは以下のように結論を述べている。”化学療法中の運動は、疲労、吐き気、痛みなどの治療関連有害事象(TRAE)を減少させる効果があることはよく知られています。しかし、4年間の長期に渡ってその効果があることを証明した試験はPACT試験が初めてです。”


こんな記事を目にして、

「やっぱりがん患者も運動した方がいいのか!ブログ書いてるアナタもフィットネスクラブに復帰しなさいよ!」

などとお考えのそこのアナタ。



よーく、読んでください。

「なお、本試験に参加した患者204人の内4年後に生存していた患者は128人、その内訳は乳がん患者110人、大腸がん患者18人であり、運動強化療法群は70人、通常ケア群は58人である。」



204人中128人生存?って、4年生存率63%?

しかも元の論文では「乳がん患者204人と大腸がん患者33人の237人、そのうち適した者は197人」になっている…?

そして4年後に応じたのが128人。

最初の237人のうち、他の109人が亡くなったのかどうか、abstractだけでは分かりませんでした。



「18週間の運動プログラム」を実施とのこと、約4ヶ月ですね。もしかしたら237人のうち適した197人を除く40人は、その間に亡くなってしまったのかも。



国立がん研究センターのがん情報サービスによりますと、日本では乳がんは5年生存率9割近いし大腸がんも7割程度です。

なのでもし「生存者128名」となると、4年でこの数値ですから

乳がん、大腸がん患者が運動すると生存率が落ちる

という結論が妥当なのでは…?

しかしこの論文はオランダで書かれたもの、オランダの5年生存率調べてみましたが分かりませんでした。


また、こんな記事もあります。

専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果

生活習慣の要因、乳癌、うつについて
食事や栄養などの生活習慣のうち、不安やうつを和らげるのに効果的な要因はありますか。(乳癌と診断されるまでは、不安やうつの問題はなかったように思います)。
Ligibel医師:多くの試験によって、不安やうつには運動が効果的であることが明らかになっており、ほんの少し体を動かすだけでも、気分が改善されることが示唆されています。通常、少しずつ運動を始めることと、始める前に主治医に相談することを推奨していますが、データから、散歩などの適度な運動は、ほとんどの乳癌サバイバーが安全に実行でき、さまざまな点で健康によいことがわかっています。
癌サバイバーでの情報は限られていますが、体重を減らすことは、女性のうつに有効であるということも確認されています。



注目すべきはここ。

散歩などの適度な運動は、ほとんどの乳癌サバイバーが安全に実行でき、さまざまな点で健康によいことがわかっています。」

散歩程度なら、日常生活で出来ますよね。

徒歩や自転車での通勤・通学・買物等、自宅や職場内での階段の昇り降り、お子さんやお孫さんの送迎等、ペットの散歩、などなどを普通に出来る方は特に問題ない、ということではないでしょうか。

この記事はどちらかというと「寝たきりは危険ですよ」っていう話なのではないかと思います。

抗がん剤の副作用がきつくて寝てるだけの人、いますよね。私は大腿ヘルニア手術後の一時期がそうでした。

そうなると筋力落ちてサルコペニアにもなる危険性が出てきます。

そこだけは気をつけましょう、という話でしょう。


いや、でも、太ってるとがんリスク上がるし…という方。

もしかして、こんな記事を読んで、よし、運動して減量しよう!などとお考えですか?

閉経後の肥満、乳がんのリスクに 40~50代は要注意

乳がんの発生・増殖には、卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)が関係しており、特に排卵時期に分泌されるエストロゲンにさらされる時間が長いほど、発症リスクを高めるとされる。昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾教授は「妊娠初期には、乳がんとの関係が深いエストラジオール(E2)というタイプのエストロゲンの分泌が低下するので、妊娠・出産回数が多いほど、乳がんの発症リスクは下がる」と話す。
また閉経後は、卵巣で作られるエストロゲンが大幅に減少し、その代わり、わずかではあるが体内の脂肪組織でエストロゲンが作られるようになる。そのため、BMI(肥満指数)が25を超える肥満の女性の場合、血液中の女性ホルモンが増加することで、乳がんの発症リスクが高まってしまう。閉経後は体脂肪のコントロールをすることが予防のカギだ。



はい、ここにも落とし穴があります。

「体内の脂肪組織でエストロゲンが作られる」

この表現。ネット上でよく見かけます。

しかし、脂肪細胞がそのまま女性ホルモンに変化するわけではありません。

エストロゲンは、「アンドロゲン」というホルモンから酵素アロマターゼを介して合成されます。

「アンドロゲン」は男性ホルモン、男性は精巣から、また男女ともに副腎からも分泌されます。テストステロン、ジヒドロテストステロンなど数種類が含まれます。



「テストステロン」。はい、フィットネスマニアなら聞いたことがあるはずですね。

そう、筋肉を増強してくれるホルモンです。
女性の場合、これが酵素アロマターゼを介してエストロゲンになるのです。



なので

運動する→テストステロン分泌→エストロゲン合成→乳がん進行

となるわけです。

なので、がん予防のために減量したいなら、一食抜いて代わりにお茶を飲む程度の、軽めのファスティングをお勧めします。



また、運動すると「成長ホルモン」も分泌されます。

この成長ホルモンも、がん細胞を成長させてしまうのです。

高身長の人ほど「大腸がん」になりやすい

性格とは無関係である一方で、がんが体形と関係することはわかっている。世界がん研究基金の報告書によると、「身長の高さ」によって、大腸がん、閉経後の乳がんはリスクが「確実」に高くなり、膵臓がん、閉経前の乳がん、卵巣がんはハイリスクの「可能性が高い」と分析されている。
高身長とがんの影響では、現在、成長ホルモンの働きに注目が集まっている。成長ホルモンには発達を促進するだけでなく、細胞の「アポトーシス」を阻害する働きもある。アポトーシスとは「細胞が自ら消滅する」ことを意味する言葉で、がん細胞の始まりとなる細胞の多くはアポトーシスされるので、人はがんにならない(それを逃れたら、がん細胞となっていく)。成長ホルモンが多く分泌される人は、アポトーシスが阻害されるため、がん細胞が増殖しやすい、と考えられている。



この他、成長ホルモンによって生成されるIGF-1(インスリン用成長因子1)が乳がん細胞の成長を刺激する、とも考えられています。これは「乳がんと牛乳」にも載ってました。



なので

乳がん患者は、せいぜい脚の筋肉を維持する程度の運動しか、出来ないのですよ。

アロマターゼ阻害剤飲んでれば大丈夫?

いや、耐性の問題があります。

おそらく、激しい運動続けてる方が耐性つきやすいでしょう。



それでも運動を勧める人は、エビデンス提示してくださいね。

特に、フィットネス関係者。

その中でも特に、メディカルヨガ関係者!

「ため息呼吸」についてもよろしくお願いしますw

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  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

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