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2019年3月31日 (日)

論文の読み方 本文編

前回に引き続き、論文の読み方について。 前回はAbstractでしたが今回は本文の方です。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

邦訳しますと『乳がん診断後の身体活動と生存』。乳がん診断後、身体活動量で死亡率がどう変わるか?という論文です。

この論文を読むに至った経緯は、前々回の記事をご参照ください。

この論文、前回説明しましたAbstractに続いて、前文のようなものが書かれています。pdfだとAbstractの方が文字が小さく、この前文の方が文字が大きく書かれてます。Abstractのみのpubmedと、Abstractが真っ先に書かれ、続く前文の印象が薄いJAMA(Journal of American Medical Assosiation)のwebバージョンと紙の誌面そのままのpdf、随分イメージが違いますね。

その前文の出だしがこちら。

>Physical activity after a breast cancer diagnosis may reduce the risk of death from this disease. The greatest benefit occurred in women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace, with little evidence of a correlation between increased benefit and greater energy expenditure. Women with breast cancer who follow US physical activity recommendations may improve their survival.. ...

『乳がんの診断後の身体活動は、生活の質の向上と強く関連しています。身体活動が乳がんの女性の生存期間を延ばす可能性があると信じる理由があります。身体活動もまた、乳がんのリスクの低下と関連しています。世界保健機関(WHO)の国際癌研究機関の専門家委員会は、更年期障害の状態、タイプ、または活動の強度にかかわらず、最も身体的に活動的な女性の乳癌発症リスクが20〜40%減少すると推定した。...』

全部訳すと長くなりますので、訳したものをまとめます。ここには、乳がんに関していかに運動がよい影響を与えるか、ということが書かれています。乳がん患者のQOLを上げる、乳がんのリスクを低下させる、ホルモンレベルを下げる、運動しないと体重が増加する、と。そして他のグループ(Rohan他)は診断前の運動と生存率には相関がないことを発見したが、「我々は高いレベルの身体活動はより長い生存期間と関連すると仮定して解析した」とのことです。

ホルモンレベルに関しては、レファレンス読んでみますと著者のHolmesさん、勘違いというか誤解というか曲解というか、理解してないとしか思えないんですけどね…。ちなみにここ、後ほど別記事で解説しますので覚えといてくださいw

次にMethod。具体的な方法が書かれています。

Study Participants「研究参加者」ではまずNHSについての説明。

>In 1976, the Nurses’ Health Study (NHS) cohort was established when 121 700 female registered nurses from across the United States, aged 30 to 55 years, answered a mailed questionnaire on risk factors for cancer and cardiovascular disease. 

1976年に、看護師の健康調査(NHS)コホートが設立されました。これは、30歳から55歳までの全米からの121,700人の女性看護師が、癌と心血管疾患の危険因子に関する質問票に回答したためです。

Wikipediaには”to better understand the effects of long-term use of oral contraceptives on the health of women”女性の健康への経口避妊薬の長期使用の影響をよりよく理解するため』とありますが…「薬の副作用調査」から始まった、ってことは伏せるんですね。

Measurement of Breast Cancer「乳がんの測定」では乳がんの診断に関して。

In the NHS, incident breast cancer was ascertained by biennial mailing of the questionnaire to participants. For any report of breast cancer, written permission was obtained from study participants to review their medical records. 

NHSでは、参加者へのアンケートの2年に1度の郵送によって乳がんの発生が確認された。乳がんのいかなる報告についても、研究参加者から彼らの医療記録をレビューするための書面による許可を得た。』

医療記録の開示にあまり抵抗がないのは、病院勤務の看護師さん達だから、でしょうか。

また、身体活動記録をとり始めたのが1986年からなので、その前の1984年以降に乳がんと診断された人を対象にしたそうです。

Measurement of Mortlity「死亡率の測定」は死亡者の記録の扱いについて。

2002年6月までに死亡した場合はその時点までの記録。回答がなかった場合はNational Death Index(アメリカでの死亡者データベース)で検索され、医療記録を入手。死亡者の98%が特定されてるそうです。

Measurement of Breast Cancer Reccurence「乳がん再発率の測定」はどういう場合に再発したとカウントしたかの説明。

肺がん、肝臓、骨、または脳への転移は、乳がんが再発したと考えられ、再発扱いに。また、乳がんで死亡した女性は、死亡の2年前に乳がんの再発があったとみなして再発カウントしたそうです。

再発についてもデータとってたんですね。何故Abstractには載せなかったのか?気になります。


Exclusions「除外」はどういう場合にデータから除外されたかの説明。

1984年以前に診断を受けた、身体活動に関する情報が欠落している、診断時ステージIVだった、4つ以上の陽性結節を有するが完全な転移性精査を欠いた女性、病期に関する情報が欠けていた場合など。

100MET以上の活動量の女性はいなかったそうです。もしいたら、その人のデータも除外対象だったということでしょう。ちなみに、乳がん診断前の私は週100METぐらいやってました。抗がん剤の副作用で出来なくなりましたが。

Exposure Assesment「暴露評価」もっといい訳し方がありそうですが、Google翻訳結果がこれでした。身体活動に「暴露された」記録の評価、という意味でしょう。

活動記録の取り方とその活動内容のジャンル分け、METスコア換算法などの説明です。


Physical activity was reassessed in 1988, 1992, 1994, 1996, 1998, and 2000. 

『身体活動は再評価された』とあります。METスコアが1993年に出され2000年に改訂されたので、最新のスコアで計算しなおした、という意味でしょうか?また、『転移性乳がんの診断の直前および直後に身体活動が低下することによる偏りを避けるために、身体活動は更新されていない。』後の方を見ると、治療中は活動量がどうしても減るので、そのバイアスを避けるために転移性との診断前後のデータは入れていないようです。

Covariates「共変量」統計用語です。分散分析を行うときに解析に含めるデータのうち、連続量で量的に表される変数のことをいうそうです。要するに、偏りを修正するための補正に使うデータです。

乳がんに関しては腫瘍の大きさや転移性リンパ節の数、ホルモン受容体陽性かどうか、治療方法など。他の要因としては閉経期の状態、妊娠初期の年齢、出産歴、閉経後ホルモンの使用、経口避妊薬の使用、BMIなど。


Statistical Analysis「統計分析」経時的コックス比例ハザードモデルという分析手法を用いて、死亡の相対リスク(Rerative Risk, RR)、乳がんによる死亡、または生存のための他の危険因子について調整した再発を計算したそうです。

RRは、1週間あたり3 MET時間未満のカテゴリーを参照グループとして、1週間あたりの身体活動のMET時間毎のカテゴリーについて示されています。

そしてそれらを腫瘍の大きさなどの変数による補正を行い、最終的な相対リスクを算出したようです。


そしてResult「結果」。

乳がんと診断された4484人のうち、除外対象となる人(38+305+829+140+78+107)を除いた2987人のデータが解析の対象となりました。

>A total of 2987 women with stages I, II, or III breast cancer were included in the analyses. There were 463 deaths: 280 were from breast cancer. There were 370 breast cancer recurrences. Physical activity assessment occurred a median of 38 months after diagnosis; the 10th and 90th percentiles were 27 and 59 months, respectively. The median length of follow-up for the breast cancer mortality analyses was 96 months; the 10th and 90th percentiles were 47 and 187 months, respectively.

『ステージI、II、またはIIIの乳がんを有する合計2987人の女性が分析に含まれた。463人が死亡しました:280人は乳がんによるものでした。370の乳がん再発がありました。身体活動評価は診断後38ヶ月の中央値で行われた。10番目と90番目の百分位数は、それぞれ27ヶ月と59ヶ月でした。乳がん死亡率分析の追跡期間中央値は96ヶ月でした。10番目と90番目の百分位数は、それぞれ47ヶ月と187ヶ月でした。』


共変量のデータがTable1にあります。PNGデータですが、見づらい方はサイトの論文の方でご確認をお願いします。画面右側の「FIGURES/TABLES」タブをクリックするとグラフと表が出てきます。クリックすると別タブで拡大表示されます。

Joc50040t1

Table1には身体活動量のカテゴリ毎に、喫煙者や経口避妊薬使用者がどのぐらいいるか、ホルモン療法や化学療法を受けた割合、などのデータが載っています。

著者が言及したのは次の3点。

より活発な女性はより低いBMIを持ちより多くのタンパク質を消費し、そして診断時から活動評価時までの間に体重が増加した可能性は低かった』まぁそうですね。摂取エネルギー一番多いのは相対リスクが一番低かった9-14.9MET群ですが、これについては言及せず。

1週間に3 MET時間未満の女性は喫煙者である可能性が高かった』これは確かにそうですね。健康に関心がないのか、そういう環境で育ったか。


身体活動高いカテゴリーの女性(≧15MET)は、ステージIIの疾患を持つ可能性が高かった』逆に喫煙者が多く活動時間が少ない<3MET群にはステージⅠが多い、と。ステージⅢはあまり偏りはないようですがこれには言及されてません。

これらの変数を使用して出した結果がTable2。相対死亡リスク、相対再発リスクが載っています。

Joc50040t2 


運動量順に
相対死亡リスクは 1.0、0.80、0.50、0.56、0.60(Abstractに載ってた数字) 
相対再発リスクは 1.0、0.83、0.57、0.66、0.74

だそうです。

えっ?

相対死亡リスク同様、9-14.9METまでは相対再発リスクも下がってはいるけれど。それを超える活動量だと…???
しかしその説明は

>Despite a significant linear trend, the RR was relatively flat in the 3 highest activity categories.

『著しい直線的傾向にもかかわらず、RRは3つの最も高い活動カテゴリーで比較的横ばいでした。』

何?0.57から0.74が「横ばい(flat)」ですと??ハーバード大ではそういうデータ解釈をするのでしょうか???

私には、運動量が週15MET超えると逆に再発率上がってるように見えますが…死亡率もわずかだけど上がってるし…。私がおかしいのかな…???

この論文では、グラフは上の表をそのままプロットするのではなく、カプランマイヤー法による死亡率の折れ線グラフ(Figure.)を使用しています。生存率グラフだと100から下がってくるのですが、このグラフは「死亡率」なので最初はゼロ、徐々に上がっていきます。

Joc50040f1

>The cutoff of 9 MET-hours per week was chosen for these analyses because this was the predetermined category that divided the cohort almost in half. The RR of death for women who engaged in 9 or more MET-hours per week of physical activity was 0.63 (95% CI, 0.48-0.81) compared with less than 9 MET-hours per week.

『1週間あたり9 MET時間のカットオフがこれらの分析のために選択された。なぜならこれはコホートをほぼ半分に分けた所定のカテゴリーだからである。1週間に9時間以上の身体活動を行った女性の死亡率は、1週間に9回未満のMET時間と比較して、0.63(95%CI、0.48-0.81)でした。』


要するに、週9METが境目だと。何故なら、人数の問題。半数がそれ未満、半数がそれ以上だから。

で、9MET以上の3つの群は、合算でのグラフ作成。せっかく5つのカテゴリに分けたんだから、5つのまま出せばいいのに。

しかもこれも、再発率については出てない。

まぁ、とりあえずTable3に移りましょう。

Joc50040t3

BMI25未満とそれ以上で分けた場合の相対死亡リスク。

かなりバラついてますね…。BMI<25、9-14.9METの0.35(0.18-0.68)ぐらいですね、「有意に下がってる」って言えるのは。BMI≧25の3-8.9METなどは相対リスク1.0超えてます(1.01(0.66-1.55))。

他は、ばらつきの上が1を超えてたりもするので、何とも言えません。リスク下がる人数の方がリスク上がる人数より多いから、平均すると「下がる」ような印象も受けます。

おやぁ?これ、前々回私が書いた「IGF-1陽性だと運動リスク上がる説」を裏付けてくれそうな…?


著者のコメントは以下の通り。

Among women with a BMI of 30 or higher and compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of physical activity, the RR of death from breast cancer was 0.63 (95% CI, 0.26-1.52) for 3 to 8.9 MET-hours per week; 0.78 (95% CI, 0.20-3.04) for 9 to 14.9 MET-hours per week; 0.22 (95% CI, 0.03-1.82) for 15 to 23.9 MET-hours per week; and 0.36 (95% CI, 0.08-1.55) for 24 or more MET-hours per week (P for trend = .09). These results suggest additional benefit of physical activity for obese women; however, this analysis was limited by the small number of breast cancer deaths (n = 38) among women with a BMI of 30 or higher.

BMIが30以上の女性で、1週間に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較した場合、乳がんによる死亡のRRは3〜8.9で0.63(95%CI、0.26〜1.52)でした。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.78(95%CI、0.20から3.04)。週に15から23.9 MET時間の間、0.22(95%CI、0.03-1.82)。1週間に24時間以上のMET時間で0.36(95%CI、0.08-1.55)(傾向に対するP = 0.09)。これらの結果は肥満女性のための身体活動のさらなる利益を示唆しています。しかし、この分析は、BMIが30以上の女性の乳がん死亡数の少なさ(n = 38)によって制限されていました。

表にはBMI25で分けた数字しか出してないのに、表の解説に何故かBMI30以上の女性のデータを出してきました。

運動でエストロゲンが減るにしても、BMIの高低には関係ないはずなんですが…。BMI30以上だと

相対死亡リスク 1.0 0.63 0.78 0.22 0.36

ばらつきが多い、としか言いようがないと思います。

「BMI30以上の女性の乳がん死亡者の少なさによって」分析が制限されたなら、人数の少ない死亡者(280人)ではなく人数の多い再発者(370人)で解析してみたらどうかと思いますが。何故か人数の少ない死亡者データによる「相対死亡リスクのみ」の算出。「相対再発リスク」のデータ、隠しているんでしょうか?

Table4は閉経前か後か、ホルモン受容体の状態、ステージ別の死亡率を活動量9METで区切って表示したもの。死亡者数が少ないので9METで分けることにしたそうです。

Joc50040t4

Physical activity appeared beneficial to women whose tumors had both estrogen and progesterone receptors (RR, 0.50; 95% CI, 0.34-0.74) and not to women whose tumors lacked hormone receptors (RR, 0.91; 95% CI, 0.43-1.96). 

腫瘍がエストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の両方を有する女性(RR、0.50; 95%CI、0.34-0.74)には身体活動は有益であると思われたが、腫瘍にホルモン受容体を欠く女性(RR、0.91; 95%CI、0.43-1.96)には有益ではなかった。

Negative for estrogen and progesteron receptors『腫瘍にホルモン受容体を欠く女性』の方が死亡率が高かったから、運動でエストロゲン
レベルが下がって死亡率が下がった、っていう解釈をしたようですね。私は『腫瘍にホルモン受容体を欠く女性』の死亡率が高かったのは違う理由があると考えてますが…これも別記事にします。

閉経前の女性よりも閉経後の女性の方が死亡率の差が少ないのは、運動すると卵巣からのエストロゲン分泌が減るから、という解釈のようですね。脂肪細胞でアンドロゲンから作られるエストロゲンは減りにくいようで。

ステージⅢだと運動の効果が高い?これは何故でしょうね。

人数が少なくて…とか言い訳してますが、ここでも人数の多い再発者データ使っての再発率は算出しない不思議。

Table5は、ウォーキングがいいのか激しい運動(1時間当たり6MET以上の)がいいのか?を調べるための表。

ウォーキングなどの強度の低い運動を週に0.7MET未満行った人を基準に、強度の低い運動ばかり時間を多く行った人と、強度の低い運動は少なく激しい運動が多い人、両方多い人、の死亡率を出してます。

著者は『ウォーキングと活発な活動の両方が、乳がん死のリスクの低下に貢献しました。』としか書いてませんが、この表の数字だけ見ると、ウォーキング時間が少なく(週に0.7MET未満)激しい運動が多い(≧7.0)群が0.30と一番低くなってますね。しかしばらつきが大きいので(0.07-1.25)人による、という感じでしょうか。他の群もばらつきは大きく、上は1.0前後ばかり。ああやっぱりIGF...。

最後にComment「解説、論評」。

We found that any category of activity higher than the reference category of less than 3 MET-hours per week was associated with a decreased risk of an adverse breast cancer outcome. 

我々は、1週間に3 MET時間未満の参照カテゴリーよりも高いあらゆるカテゴリーの活動が、有害な乳がん転帰のリスク低下と関連していることを見出した。

そうですね。ただ、週に1時間も歩けない人がどんな人なのか、ただ単に運動嫌いなのか、それとも病気の進行や治療の副作用等で外出もままならないような人だったのか、っていうのが少し気になりますけど。

>A randomized trial of physical activity among overweight postmenopausal women demonstrated declines in serum levels of androgen and estrogen.

過体重の閉経後女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンとエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。

その割には、閉経前の女性の方が運動による死亡率がより低下してます(Table4)が。そしてBMI高い人の方が運動の効果は少ない(Table3)ように見えますけど?

Physical activity might also improve survival through acute and chronic improvements in insulin resistance and reduction in hyperinsulinemia. The associations we observed may change over time as the use of aromatase inhibitors to suppress hormone levels becomes more popular.

身体活動はまた、インスリン抵抗性の急性および慢性の改善ならびに高インスリン血症の減少を通じて生存を改善するかもしれない。ホルモンレベルを抑制するためのアロマターゼ阻害剤の使用がより一般的になるにつれて、我々が観察した関連性は時間とともに変化するかもしれません。

そうですよね。「運動がエストロゲンを減らすから」乳がん死亡率を低下させる効果があるとするなら、閉経後はアロマターゼ阻害剤を服用してれば運動しなくていい、ってことになります。むしろインスリンなどとの関連の方があるのではないですか?

ちなみに、この論文が出た翌年、アロマターゼ阻害剤の適用範囲が拡大されます。

放射線療法や化学療法で治療中の人は疲労感を感じやすいし、転移した人は活動がしづらい可能性があるので除外した、とあります。週に1時間歩くことも出来ない人は、化学療法の後遺症で疲労感が抜けなかった人、なのではないのかなぁ…?

>A recent report of physical activity levels among breast cancer survivors in the Health, Eating, Activity, and Lifestyle (HEAL) study found that women diagnosed with a higher stage of disease reported 15% more time engaged in physical activity compared with women diagnosed with in situ disease, although this difference was accounted for by household and not by recreational activity.

『健康、摂食、活動、および生活習慣(HEAL)の研究における乳がん生存者の身体活動レベルの最近の報告では、より病期の高いと診断された女性は、女性と診断された女性と比較して15%多く身体活動に従事していると報告した。この差は娯楽活動によるものではなく、世帯によって説明されたが、原位置病。』

自動翻訳がバグってますが、要するに「他の報告ではステージが高いと診断された女性は15%多く身体活動してたが、これは家事の問題であって運動の問題ではない」とのこと。

こちらのレファレンスの、Table 2aの下に書いてありますね。身体活動が余暇か家事かで女性ホルモンレベルに影響があるというのでしょうか?余暇なら良くて家事がダメなのだとしたらそれはストレスの影響ですよね。だとしたらエストロゲンよりも、コルチゾールやオキシトシン、セロトニン、ドーパミンあたりの方が関係してるのではないでしょうか?

Women in the highest category of activity like the rest of the cohort were primarily walkers but they walked for longer periods. Forty-five percent reported walking 5 or more hours per week, 28% reported bicycling 1 or more hours per week, and 28% reported participating in aerobics classes 1 or more hours per week. 

コホートの残りの部分のような活動の最も高いカテゴリーの女性は主に歩行者でしたが、彼らはより長い期間歩いていました。45%が週5時間以上の歩行、28%が週1時間以上の自転車走行、28%が週1時間以上のエアロビクスクラスへの参加を報告しています。

アメリカ人はスポーツ好きで、普段からさまざまなスポーツしたり筋トレしたりしてるもんなんですが、この調査の対象者はウォーキングばかりしていました。これも不思議なんですよね…。

>Overall, given the uniform evidence of the benefits of moderate physical activity to health, we believe that it is unlikely that exercise at the highest levels is detrimental to women with breast cancer.

『全体的に見れば、健康に対する中程度の身体活動の恩恵の一貫した証拠を考えると、我々は、最高レベルの運動が乳がんの女性にとって有害で​​あるとは考えにくいと考えています。』

なんで…?せっかく出した数字を無視するわけ…???

Our study was limited by the fact that physical activity was self-reported. 

私たちの研究は身体活動が自己申告であるという事実によって制限されていました。

それもあります。ですが、運動した群とそうでない群を比較した研究でも、運動の効果は「QOL向上」しか出てませんよね?死亡率や再発率や腫瘍サイズの変化は出てないんですよ。もっと違う視点が必要なのではないですか?

>Our results suggest that physical activity after a breast cancer diagnosis may lower the risk of death from that disease. The benefit was seen particularly among women who had tumors overexpressing estrogen receptors and progesterone receptors.

『我々の結果は、乳がんの診断後の身体活動がその病気による死亡の危険性を下げるかもしれないことを示唆しています。特にエストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体を過剰発現している腫瘍を有する女性の間で有益性が見られた。』

当時はホルモン治療はタモキシフェン(エストロゲン受容体阻害剤)が主流だったようですが、そのタモキシフェンの効果は少ないが運動は効果がある、ということ?或いは、運動がタモキシフェンの効果を上げる、ということですか?ちなみにこの調査のエンドポイントである2002年は、ハーセプチンが認可(1998年)されて間もない頃です。

>The maximal benefit occurred among women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace (2-2.9 mph) with little evidence of increased benefit for more exercise.

『最大の利益は、平均的なペース(毎時2〜2.9マイル)で1週間に3〜5時間歩くことと同等のパフォーマンスを示した女性の間で起こり、より多くの運動に対する利益の増加の証拠はほとんどなかった。』

>Women with breast cancer who follow the Centers for Disease Control and Prevention recommendations for all individuals in the United States to exercise at moderate intensity for 30 or more minutes per day for 5 or more days per week may survive longer.

『米国のすべての個人に対する疾病管理予防センターの勧告に従い、1週間に5日以上、1日に30分以上中程度の強度で運動することを推奨する乳がんの女性は、より長く生き残ることができます。』

3-5時間の歩行が最大の利益。しかしそれ以上は『利益の増加の証拠はほとんどなかった。』???

要するに「いっぱい運動した方が相対リスク下がるはずなんだけどな、そういう結果にならなかったな。おかしーなー?」ってことですよね。

自分の立てた仮説が正しいと証明するための証拠となるような結果が出なかった。だとしたら、何故出なかったのか、その理由を考えるのが研究者ってもんでしょうが!

彼らは何故、それをしようとしないのか…?

Article Information「記事情報」の欄にこんな記載があります。

Funding/Support: The research for this article was funded by grant CA87969 from the National Institutes of Health.

資金/支援:この記事のための研究は国立衛生研究所からの助成金CA87969によって資金を供給されました。

アメリカ国立衛生研究所は、Wikipediaによれば、アメリカ合衆国の保健福祉省公衆衛生局の下にあり、1887年に設立された合衆国で最も古い医学研究の拠点機関。

論文の最後に書かれていた「1週間に5日以上、1日に30分以上中程度の強度で運動することを推奨する」というアメリカ疾病管理予防センターは、Wikipediaによれば、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにある保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所。公衆衛生局内の機関なのだそう。

ということは。

結局、アメリカ保健福祉省公衆衛生局管轄の「国立衛生研究所」が、乳がん患者も、同じアメリカ保健福祉省公衆衛生局「疾病管理予防センター」の勧告に従いなさい!という論文を、アメリカ最古の大学であるハーバード大学の研究者にカネ出して書かせた、ということ…?



論文、きちんと読んでみるものですね。

前文の『我々は、乳がん診断後のより高いレベルの身体活動はより長い生存期間と関連すると仮定した。』からのあのデータ、この結論。「この仮定は絶対に間違っていない、今回は証拠が出なかっただけ」という著者らの主張。

そしてその理由が、最後の最後になって判明しました。

こういったさまざまな周辺情報も、この論文の解釈には重要なものとなってくるようです。「周辺情報」と「考察」、別途記事にして上げる予定です。

2019年3月18日 (月)

論文の読み方 Abstract編

前回、運動と乳がんの関係について、下記の論文をご紹介しました。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

この論文には、一体どんなことが書かれているのでしょうか。

論文の内容が理解できないと、間違った解釈で引用されたりした場合に、それを見抜くことが出来ませんよね。(たまにいるんです、論文の内容を明らかに曲解して紹介してる人が)

というわけで

今回は、この論文には何が書かれているか?ということを説明しつつ、そもそも科学系の学術論文とはどういうものか、どこに注目し、どう解釈すべきなのか?そのあたりについて書いてみたいと思います。

私、医学関連は素人ですが、これでも大学では理系の研究室に所属しておりましたので。



さて。上記の論文を見てみましょう。PCの方はリンクを別のタブまたはウィンドウで開けてみて下さい。スマホの方も、とりあえず目を通してみましょう。

Pubmedでこの論文を検索しますと、Abstractのみが表示されます。


Abstractとは「要旨」「要約」などのことです。これを読めば大まかな内容は把握できます。

もっと詳しく知りたい場合は画面右上の方に「full text link」が表示されますので、そちらにアクセスすれば全文読むことが出来ます。

※PubMed(パブメド)は生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載するMEDLINEなどへの無料検索エンジンです。 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館(NLM)が情報検索Entrezシステムの一部としてデータベースを運用しているそうです。

「full text link」が表示されない論文もあります。また、「full text link」のリンク先は全てフリーで見れるとは限りません。無料でも登録が必要な場合もありますし、有料の場合もあります。

医学部のある大学の図書館では、レファレンスカウンターで調べてもらい、印刷してもらうことも可能な場合があります。一般人でも使える大学図書館もありますし、公立図書館でも検索依頼を受け付けてくれる場合もあります。読みたい論文のある方は、お近くの図書館へお問い合わせを。



では、論文の中身を読んでみましょう。

この論文のAbstractは、「Context」「Objective」「Design, Setting, and Participants」「Main Outcome Measure」「Results」「Conclusions」に分かれています。

まずContext。これは「文脈」の意味ですが、論文の場合「背景」と訳されます。Backgroundという言葉が使われることもあります。現状はこうなので、我々はこの点を調べてみた、というような内容が書かれることが多いです。

>Physical activity has been shown to decrease the incidence of breast cancer, but the effect on recurrence or survival after a breast cancer diagnosis is not known.

Google翻訳しますと、(以下、『』内はGoogle翻訳結果)

『身体活動は乳がんの発生率を低下させることが示されていますが、乳がんの診断後の再発または生存への影響は知られていません。』

身体活動は乳がんの発生率を「上げる」という論文も「下げる」という論文もあるのですが、ここには「下げる」と書かれています。

ということは、彼らは「身体活動は乳がんの発生率を低下させる」方の論文を支持した上で調査研究し、この論文を書いた、ということです。短い文章ですが、これだけで筆者らの考え方や、どういう説を支持しているのかが分かるわけです。

次にObjective。これは論文においては「目標」ではなく「目的」です。

>To determine whether physical activity among women with breast cancer decreases their risk of death from breast cancer compared with more sedentary women.


『乳がん女性の身体活動が、座りがちな女性と比較して乳がんによる死亡リスクを減少させるかどうかを判定すること。』

sedentaryを「座りがちな」と訳してくれました。和製英語の「デスクワーク」を英語では”sedentary job”と表現したりするそうです。

乳がん患者のことですから、運動してない場合でも「デスクワークしてる」というよりは「安静にしてる」というイメージですけどね。

次にDesign, Setting, and Participants。直訳すると「設計、配置、参加者」となります。ここは英語でもMethodなどいろいろな単語が出てきますが、「手法」「実験方法」など、実験や調査に関する具体的な方法の記述をするところです。

この論文は大規模なアンケート調査の結果を解析していますので、その調査はどのようなものだったか、対象者の属性や人数、調査対象期間、調査内容などが書かれています。

>Prospective observational study based on responses from 2987 female registered nurses in the Nurses’ Health Study who were diagnosed with stage I, II, or III breast cancer between 1984 and 1998 and who were followed up until death or June 2002, whichever came first.

アメリカで1984年から1998年の間にステージI、II、またはIIIの乳がんと診断された看護師さん達の追跡調査(看護師健康調査 Nurse's Health Study,以下NHSと記します)を元にしたものだそうです。診断から2002年6月まで、その前に亡くなられた方は亡くなった時まで。

Main Outcome Measureは「主な調査結果」。今回はアンケート調査なので、そのデータ解析で何を得たか、が書かれています。

>Breast cancer mortality risk according to physical activity category (<3, 3-8.9, 9-14.9, 15-23.9, or ≥24 metabolic equivalent task [MET] hours per week).

『身体活動のカテゴリーによる乳がん死亡リスク(3、3〜8.9、9〜14.9、15〜23.9、または24以上の代謝同等課題[MET] 1週間あたりの時間)。』

死亡リスクを身体活動の量(MET)毎に5段階に分けて計算してみました、ということです。

どんな数値を得られたか、次のResult「結果」を見てみましょう。

>Compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of physical activity, the adjusted relative risk (RR) of death from breast cancer was 0.80 (95% confidence interval [CI], 0.60-1.06) for 3 to 8.9 MET-hours per week; 0.50 (95% CI, 0.31-0.82) for 9 to 14.9 MET-hours per week; 0.56 (95% CI, 0.38-0.84) for 15 to 23.9 MET-hours per week; and 0.60 (95% CI, 0.40-0.89) for 24 or more MET-hours per week (P for trend = .004).

『週に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較して、乳がんによる死亡の調整相対リスク(RR)は3〜8.9で0.80(95%信頼区間[CI]、0.60〜1.06)であった。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.50(95%CI、0.31-0.82)。毎週15から23.9 MET時間の間0.56(95%CI、0.38-0.84)。1週間に24時間以上のMET時間で0.60(95%CI、0.40-0.89)(傾向に対するP = 0.004)。』

乳がん死亡率を運動量(MET)で比較すると

0-3METでは 1.0(これが基準)

3-9METでは 0.80

9-15METでは 0.50

15-24METでは 0.56

24-METでは 0.60

であった、と。

しかしこの数字、「適正な運動量だと死亡率が下がるけど、上げすぎると死亡リスクも上がる」印象ですが。

>Three MET-hours is equivalent to walking at average pace of 2 to 2.9 mph for 1 hour.

『3 MET時間は、1時間に平均時速2〜2.9マイルで歩くことに相当します。』

1マイルは1.6kmなので、3.2-4.64km/h。普通に歩くぐらいですね。

> The benefit of physical activity was particularly apparent among women with hormone-responsive tumors. The RR of breast cancer death for women with hormone-responsive tumors who engaged in 9 or more MET-hours per week of activity compared with women with hormone-responsive tumors who engaged in less than 9 MET-hours per week was 0.50 (95% CI, 0.34-0.74).

『身体活動の利点は、ホルモン反応性腫瘍を持つ女性の間で特に明白でした。週9 MET時間未満のホルモン反応性腫瘍を有する女性と比較して、週9 MET時間以上の活性を有するホルモン反応性腫瘍を有する女性の乳がん死亡のRRは0.50(95%)であった。 C.I。、0.34〜0.74)。』

えっ?ER+のみ対象?HER2+やトリプルネガティブは?

しかも私、ER+なのに運動は効かなかったけど…。

> Compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of activity, the absolute unadjusted mortality risk reduction was 6% at 10 years for women who engaged in 9 or more MET-hours per week.

『1週間当たり3 MET時間未満の活動に従事していた女性と比較して、未調整の死亡率リスクの絶対減少率は、10年間で1週間当たり9 MET時間以上に従事している女性で6%でした。』

死亡リスクが「6%」下がる…まぁ、そんなもんでしょう。


Conclusions「結論」にはこうあります。

>Physical activity after a breast cancer diagnosis may reduce the risk of death from this disease. The greatest benefit occurred in women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace, with little evidence of a correlation between increased benefit and greater energy expenditure. Women with breast cancer who follow US physical activity recommendations may improve their survival.

『乳癌診断後の身体活動は、この疾患による死亡のリスクを減らす可能性があります。最大の利益は、平均的なペースで週に3〜5時間歩くことと同等の行動をとった女性に生じ、利益の増加とより大きなエネルギー消費の間には相関関係の証拠はほとんどない。米国の身体活動に関する推奨事項に従っている乳がんの女性は、生存期間を延ばすことができます。』

ふーむ。3〜5時間の歩行が一番メリットがある、と。しかし強度上げたからといって、よりメリットがあるわけではない、と。

いや、強度上げると死亡率上がってるけど。そこはスルー?あと、再発率とかは?調べてないのかな?



Abstractはここまでです。若干の疑問がありますので、更なる情報をフルテキストの方を読んで探っていきたいと思います。

印刷して読みたい方はpdfファイルをどうぞ。



長くなりましたので、本文の方はまた後程。

 

2019年3月11日 (月)

5年生存達成記念「乳がんと運動」

2011.3.11、あの東日本大震災から、今日で8年が経ちました。

そして私が乳がんの診断を受けたのは2014.3.11。今日で満5年になります。

抗がん剤の副作用が酷く、一度は西洋医学と決別。食事療法、漢方薬、陶板浴、ヨガ、その他もろもろ試行錯誤し、最近はまた西洋医学のお世話にもなりながら、何とか生きながらえております。

一時はかなり悪化したにもかかわらずここまで生きながらえたのは、抗がん剤での失敗以降、通説によらず自分で調べて実践してきた結果だと思っています。



「運動」を「軽めのウォーキング」に変えたのもその一つ。



前回の記事で書きましたが、自身の乳がんを自然療法で治したというロレイン・デイ医師、乳がん自然治癒のために「週4時間のエクササイズ」を勧めているそうです。

しかし私の実感では、エクササイズで痛みが増すことこそあれ、腫瘍が小さくなったりすることはありませんでした。

5kmのマラソンに参加した後、大量に出血したり。

乳がんにエクササイズがいいというのは本当なのか?と色々調べてみたのですが、

その根拠となったであろう論文はこちらのようです。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

この論文は、一時期「乳がんヨガ」のサイトに貼られていた厚生労働省による

がんの補完代替医療 ガイドブック 第3版

そこに参考図書として記載されていた本

「がんに効く」民間療法のホント・ウソ(住吉義光・大野智/著:中央法規出版、2007年)

に参考文献として記載されていたものです。

調査の内容は、 1984年から1998年の間にステージI、II、またはIIIの乳がんと診断された看護しさん達の追跡調査。2002年6月まで(死亡の場合はその時点まで)追跡調査された2987名の回答に基づく調査です。

余暇にどのような身体活動をしたかを調査して、METスコア換算で計算しています。

METスコアとは身体活動のエネルギーコストを評価するための尺度です。3METが1時間のウォーキング、7METが1時間のジョギングに該当するのだとか。詳しくはこちらを参照してください。

その結果が、下記の通り。

Google先生に翻訳してもらったものを張り付けてみますね。

>週に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較して、乳がんによる死亡の調整相対リスク(RR)は3〜8.9で0.80(95%信頼区間[CI]、0.60〜1.06)であった。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.50(95%CI、0.31-0.82)。

>コホートの残りの部分のような活動の最も高いカテゴリーの女性は主に歩行者でしたが、彼らはより長い期間歩いていました。45%が週5時間以上の歩行、28%が週1時間以上の自転車走行、28%が週1時間以上のエアロビクスクラスへの参加を報告しています。

ふーむ…。ウォーキング、ですか。「乳がんヨガ」の根拠としては薄いような。

他に似たような研究はないか?

そう思い、色々調べてみたら、こんな文献を発見しました。

Epidemiologic issues related to the association between physical activity and breast cancer.

乳がんと身体活動の関連についての21の研究のうち、15の研究で運動は乳がんリスク下げるとの結果、4件の研究で効果なし、2件では身体活動に関連した乳がんのリスク増加が見られたとのこと。

リスク低下も、リスク増加もあり?



さて、これはどういうことか?



運動といえば成長ホルモン。Wikipediaで調べますと、こう書いてあります。

>標的器官に直接働く場合と間接的に働く場合がある。間接的に働く場合、成長ホルモンが肝臓などにはたらきかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を分泌させ、それらが標的器官に働きかける。

IGF-1!懐かしい。

抗がん剤の副作用を受けた後食事療法を試みることに決めたのですが、どれも経験則からの主張ばかりで科学的根拠に乏しく、信用できるのかどうか不安に感じていた頃、見つけたのがジェイン・プラント博士の「乳がんと牛乳」でした。

そこには、牛乳に含まれるIGF-1が乳がん悪化の原因となる、と書かれていました。

ははぁ…。これか。

そこで、IGF-1とがんの関連を調べてみたところ、いろいろ見つけました。

Growth hormone, the insulin-like growth factor axis, insulin and cancer risk

(Google翻訳)
>成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子I(IGF-I)、およびインスリンは、腫瘍の成長と進行を促進する可能性があります

The Insulin-like Growth Factor Axis, Adipokines, Physical Activity, and Obesity in Relation to Breast Cancer Incidence and Recurrence

(Google翻訳)
>IGF軸の変化は癌の危険性と進行を増大させる可能性があります。疫学的研究からの結果は、より高い循環レベルのIGF - Iが乳癌のリスク増加と関連していることを示している。

やはり、関連あるようです。そして

IGF1陽性の乳がんは食事療法の効果がある

IGF-1陽性の乳がん患者の炭水化物摂取と再発率とは相関するそうです。

IGF-1陽性の乳がん患者と、IGF-1陰性の乳がん患者がいて、IGF-1陽性の患者は低炭水化物食を処方されたグループの再発率が1/5に低下したとのこと。

IGF-1は「インスリン様成長因子」。インスリン同様、血液中の糖を使って細胞分裂を促します。なので、IGF-1陽性の乳がん患者は、糖分を減らす食事をすると予後が改善される、と。



納得しました。

私は運動以外では、甘いものを食べると具合が悪くなります。

これは、おそらく私は「IGF-1陽性」だということでしょう。

だから、医療関係者からは否定されがちな「玄米食(=低糖質食)」の方が調子がいいのだと思います。



そしてIGF-1の活動は成長ホルモンと関連しています。

Wikipediaにも成長ホルモンがIGF-1を「肝臓から分泌させる」と書かれてました。



そして成長ホルモンが分泌されるのは言うまでもなく「運動」です。

それも有酸素運動よりも無酸素運動、無酸素運動の中でも特に負荷の高い筋力トレーニング或いはそれに準じたスロートレーニング、加圧トレーニングなどで特に分泌量が上がるようです。

私の場合も、レスミルズプログラムなどの激しい運動による成長ホルモンの分泌で、IGF-1陽性の乳がん細胞が増殖した可能性があるのですよ。



上記の低糖質食の論文では、IGF-1陽性と陰性の患者の比率は半々ぐらい。

人種での差もあるようなので日本人で調べてみると、大腸がんでは35.6%とのデータがありました。IGF-1陽性だと肝臓転移しやすいそうです。

「運動は効果ある!」と声高に主張する乳がん患者、治療者がいる一方で、私のように「運動すると痛む」「出血する」乳がん患者もいる。

その理由は「IGF-1陽性か、陰性か」の違いにあるようです。ようやく分かりました。



ドイツの研究では、運動を推奨できる乳がん患者は1/3だそうです。

おそらく、「乳がんヨガ」が効果あるのも1/3程度でしょう。

残りの2/3にも勧めるのでしょうか?そしてBCYIは某社の協力も得ているようですが、もし乳がんヨガで乳がんが悪化したら「これでも飲んでね」ってことなのでしょうか?イギリスでは認可されてない薬のようですが。



乳がん患者「全員」がやってもいいのはヨガの中ではおそらく、呼吸法や瞑想法ぐらい。

運動全体の中では、最初の論文にあったような週に一時間程度の「ウォーキング」。

ウォーキングはごく軽い有酸素運動ですので、成長ホルモンをあまり分泌させません。

しかし、血糖値を下げる効果はあります。そのため低糖質食同様、IGF-1の活動が抑制されたのではないでしょうか。

私の場合、運動による痛みに気付いてから徐々に運動強度を落としてきたのですが、結局ウォーキングに落ち着きました。

どうやら、間違ってはいなかったようです。

アロマターゼ阻害剤の副作用による関節痛のため、連続して歩けるのは10分程度。この副作用には困ったものですが、その結果最適な運動とその量を見つけることが出来たのは「ケガの功名」でしょうか?



「息を吸って~、吐いて~。」との声かけだけなら、今どきはマッサージチェアでもやってくれます。

乳がん患者に「乳がんヨガ」などの特殊な運動を勧める人は、その患者の乳がんがどんなタイプなのか、しっかり見極めてからにするべきだと思います。

患者個人の考え方や性格のせいにする前に。

2019年3月 5日 (火)

アメリカの自然派女性医師

前回の記事で、妙な自然派乳がん患者のブログを紹介しました。

このブログでは、自分の乳がんを自然療法で治したロレイン・デイ医師のYouTube動画が紹介されています。

そしてその医師の実践内容を記載しているんですが、その内容がこちら。

・よい食べ物による適切な栄養摂取、動物性食品の排除
・砂糖抜き。砂糖は免疫機能を低下させる
・水を飲むこと。よくなりたかったら身体を脱水させてはいけない
・太陽光。体内の腫瘍を縮小させ、免疫力を高める
・新鮮な空気。室内の空気を吸い続けると腫瘍は二倍の早さで育つ
・週4時間のエクササイズで乳がんのリスクを減らすことができる
・治癒ホルモンがつくられる 10時から 2時の間に寝ていること
(治癒ホルモンの恩恵を得るためには 9時半にはベットに入っていること)
・ストレスから解放されていること
・他者を赦すこと
・医師ではなく神を信じること(身体を創ったのは、医師ではなく神だから)



「動物性食品の排除」はいいでしょう。乳製品にはエストロゲン、IGF-1その他乳がんを増殖させるホルモンが含まれてますし、肉にもそういったホルモン、サイトカイン類が含まれていたりします。酷いものになると肥育ホルモン剤が入っていたりしますし。



「砂糖抜き」も食事療法ではよく言われます。がん細胞はブドウ糖をえさにしています(それを利用したのがPET検査)ので、砂糖のみならずGI値が高いものは避けた方が良いようです。



「水を飲むこと」には若干の疑問が。私は一時期、乳がんに効くという漢方薬を煎じて大量に摂取していましたが、効果があったかどうか分かりません。煎じ薬やお茶ではなく、ただの「水」の方がいいということでしょうか?しかし水の飲み過ぎも胃酸が薄まったりなどの弊害もありますし。よく分かりません。

「太陽光」。これはビタミンDと関連します。浴びた方がいい。入院時に実感しました。



「新鮮な空気。室内の空気を吸い続けると腫瘍は二倍の早さで育つ」…?このあたりから怪しくなります。室内の空気を吸い続けるのが良くないなら、入院治療のみならず、フィットネスクラブでの運動も、病院内での乳がんヨガも良くないってことになりますねw



「週4時間のエクササイズで乳がんのリスクを減らすことができる」何度も言いますが私は毎日のようにフィットネスクラブで運動する生活してて、乳がんになったんですよ。乳がんになってからはむしろ、運動後に痛むことが多々ありました。この件については長くなるので、別途記事にします。



「治癒ホルモンがつくられる 10時から 2時の間に寝ていること

(治癒ホルモンの恩恵を得るためには 9時半にはベットに入っていること)」

えーっと…

「治癒ホルモン」?念のためググってみましたが…コレですか?

「『成長』ホルモン」のことでしょうか?だとしたら、がん細胞をも成長させてしまうホルモンですよ。実際、モーズ軟膏前、出血したり痛みが出ていたりしていた頃は、痛みは夜間に出ることが多かったのですけど。



「ストレスから解放されていること」はい、今はフィットネスクラブ退会しましたので他の会員の方から「ぶつかったでしょ!」とか「私、この人、キライ!」とか言われるストレスからは解放されておりますw



「他者を赦すこと」関係あるんですかね?あるとしたら何故?ストレスやホルモンの関係ですか?医師ならそのあたり解説すべき。



「医師ではなく神を信じること」はい、私は日本書紀や古事記には書かれていない(この辺りには来ていないことになっているが伝承が多数残されている)神を信じています。薬の神様でもあります。



ロレイン・デイもしくはロレーヌ・デイ医師。

検索してみますと、公式サイトが見つかりました。

もしかしてこちらも?


どうやら内海聡医師や近藤誠医師に近い方のようですね。

おそらく、医療の問題点について指摘し、改善すべく活動をされているようです。それはわかります。

しかし

内海聡医師も近藤誠医師も、実は、


がんの「治療」に関しては、大した実績残してないんです。


内海聡医師は確か、妊娠中にがんが発覚した妊婦さんを無事出産させたという報告をFBに上げてたことはありました。

でも、それだけなんです。

毒性の強い抗がん剤や侵襲性の高いリンパ郭清などの手術、強すぎる放射線では確かに、治るものも治りません。

治療に問題あるとして、問題提起するのはいいと思います。

ですが


がんって、自然療法でも、なかなか治らないんですよ。


なので私は、食事療法続けつつ、ホルモン療法、放射線療法などに頼っているわけです。


それと、このロレイン・デイ医師。

もともと「整形外科医」だそうです。

整形外科医が、乳がんの外科的手術を否定するのでしょうか?「手術ががんを発生させる」なら、膝関節の手術やなんかも受けない方がいい?よく分かりません。

非浸潤性乳管がんをごく初期に見つけて手術で切り取ったのを「自然療法で治した」って言ってるんじゃないのかなぁ?デジカメなどが無かった頃の話なので、腫瘍の画像出せないのは仕方ないのでしょうけど。

なあんて思ったりして。


こういうこと書くと、自然派さんからは「あなたは性格が悪いから治らないんだ!」とか言われるんですよね。

はいはい、私が性格悪いのは「遺伝」だと思いますよ~、だから、「性格遺伝子」がいい方向に変わる自然療法見つけてくださいお願いします、とでも書いておきましょうか。

長くなったので、「乳がんと運動」については別途記事にします。

2019年3月 1日 (金)

乳がんブログ?

小林麻央さんが乳がん公表後、ブログを書いていたことは広く報道されました。実際に読まれた方も多いのではないでしょうか。

一方、芸能人ではない一般の乳がん患者が書いたブログも多数あります。

私も、自分でブログを書きながら、いろいろ検索してみたりしています。特に、抗がん剤治療の継続を断ってからしばらくして、がんが悪化し始めた頃、自然療法関連の乳がんブログを読み漁っていた時期がありました。

中には、ご家族の方からの「ブログ主は〇月〇日、…」という記事が最後になっているものも…。

乳がんの5年生存率、10年生存率は、他のがんと比較すれば高い数字ではあるものの、小林麻央さんやさくらももこさんのように、平均寿命には程遠い年齢で鬼籍に入られる方も少なくありません。

いまこの瞬間も、乳がんの治療を受けている患者さんは日本各地に大勢いらっしゃると思います。そして、その経験をブログにつづられている方も。

しかし。

これらのブログ、本当にそのがん患者本人が、自身の経験をもとに、書いているんでしょうか?

そう疑問に感じるようなブログを、発見してしまいました。

Thinkpink_6

リンクは貼らずに画像のみにしますね。画像のURLは加工してないので、この通りにタイプすれば行けるはずです。

2019-2-12の記事には、こんなことが書かれてます。

>しこり全体を覆うようにラップを貼って、その上からガーゼのハンカチをあてて、1日に何度か取り替えていますが、

>10枚あると、うまくローテーションできるし、足りなくなりそうな時もすぐに乾くので、

>日によっては血が滲むこともあるのですが、この洗剤でつけおきすると、すっきりと汚れが落ちるので安心です。

はい?

ええと。

一日に「何度か」という表現だと「2、3度」よりは多そうですよね。5、6回ぐらい?分かりやすく5回としましょうか。

つけ置き洗いなので、交換してすぐには洗えません。しばらく放置。その後、ガーゼ一枚で洗濯機回すわけにもいかないでしょうから、まとめ洗い。

一日終わったら、或いは翌朝、洗濯して干す。そして残りの5枚を使用。

その日、もし、雨が降っていたら?ガーゼですよね。乾きますか?

洗濯関係の記事には風呂場に干すとか書いてありましたが…。

これでローテーション?かなりなヘビーローテーションですねぇ。

私が以前出血していた時は、基本は一日1回交換の布ナプキン5枚でも足りなくなることがありました。洗濯物が少なく洗濯機を回さない日や、交換後つけ置きを忘れていた時、雨天続きが重なったり外に干したものが雨でぬれてしまった場合など。

しかも、当ててるだけでは落ちたりズレたりします。テープで止めます。そのテープがすぐなくなります。外出時、持っていくの忘れると交換できません。面倒です。

私はモーズ軟膏による治療でかなりの部分の腫瘍を削り、放射線治療でさらに改善し、今は下着に少しシミがつく程度になりましたが。

この方は、一日何度もラップとガーゼ交換してるんですよね…相当、手間ですよ。面倒ですよ。長時間の外出なんて出来ませんよ。ましてや仕事なんて(でもブログ主仕事してるらしい2018-11-21参照)。



なんか…怪しいなぁ…。



上記記事にはハンカチと洗剤、洗濯の記事(2018-11-27)には洗剤が複数紹介され、それぞれネット販売先へのリンクが貼られていました。他にもまこも茶とかヒマシ油とか、いろいろと。



あぁ…仕事ってのはアフィ(以下略)。



そうか…だからそのための…。

私も昔いろいろ貼ったのをそのままにしてますから、他人様のことは言えませんけどねwww



しかし、こういうの放置しておくと、読んで真に受けた乳がん患者さんが出血してても治るかもしれないと放置して、出血性のショックで救急搬送されないとも限りません。



困ったもんです。

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Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
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