最近のトラックバック

Sage's List

« 論文の読み方 Abstract編 | トップページ | 論文の読み方 レファレンス編 »

2019年3月31日 (日)

論文の読み方 本文編

前回に引き続き、論文の読み方について。 前回はAbstractでしたが今回は本文の方です。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

邦訳しますと『乳がん診断後の身体活動と生存』。乳がん診断後、身体活動量で死亡率がどう変わるか?という論文です。

この論文を読むに至った経緯は、前々回の記事をご参照ください。

この論文、前回説明しましたAbstractに続いて、前文のようなものが書かれています。pdfだとAbstractの方が文字が小さく、この前文の方が文字が大きく書かれてます。Abstractのみのpubmedと、Abstractが真っ先に書かれ、続く前文の印象が薄いJAMA(Journal of American Medical Assosiation)のwebバージョンと紙の誌面そのままのpdf、随分イメージが違いますね。

その前文の出だしがこちら。

>Physical activity after a breast cancer diagnosis may reduce the risk of death from this disease. The greatest benefit occurred in women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace, with little evidence of a correlation between increased benefit and greater energy expenditure. Women with breast cancer who follow US physical activity recommendations may improve their survival.. ...

『乳がんの診断後の身体活動は、生活の質の向上と強く関連しています。身体活動が乳がんの女性の生存期間を延ばす可能性があると信じる理由があります。身体活動もまた、乳がんのリスクの低下と関連しています。世界保健機関(WHO)の国際癌研究機関の専門家委員会は、更年期障害の状態、タイプ、または活動の強度にかかわらず、最も身体的に活動的な女性の乳癌発症リスクが20〜40%減少すると推定した。...』

全部訳すと長くなりますので、訳したものをまとめます。ここには、乳がんに関していかに運動がよい影響を与えるか、ということが書かれています。乳がん患者のQOLを上げる、乳がんのリスクを低下させる、ホルモンレベルを下げる、運動しないと体重が増加する、と。そして他のグループ(Rohan他)は診断前の運動と生存率には相関がないことを発見したが、「我々は高いレベルの身体活動はより長い生存期間と関連すると仮定して解析した」とのことです。

ホルモンレベルに関しては、レファレンス読んでみますと著者のHolmesさん、勘違いというか誤解というか曲解というか、理解してないとしか思えないんですけどね…。ちなみにここ、後ほど別記事で解説しますので覚えといてくださいw

次にMethod。具体的な方法が書かれています。

Study Participants「研究参加者」ではまずNHSについての説明。

>In 1976, the Nurses’ Health Study (NHS) cohort was established when 121 700 female registered nurses from across the United States, aged 30 to 55 years, answered a mailed questionnaire on risk factors for cancer and cardiovascular disease. 

1976年に、看護師の健康調査(NHS)コホートが設立されました。これは、30歳から55歳までの全米からの121,700人の女性看護師が、癌と心血管疾患の危険因子に関する質問票に回答したためです。

Wikipediaには”to better understand the effects of long-term use of oral contraceptives on the health of women”女性の健康への経口避妊薬の長期使用の影響をよりよく理解するため』とありますが…「薬の副作用調査」から始まった、ってことは伏せるんですね。

Measurement of Breast Cancer「乳がんの測定」では乳がんの診断に関して。

In the NHS, incident breast cancer was ascertained by biennial mailing of the questionnaire to participants. For any report of breast cancer, written permission was obtained from study participants to review their medical records. 

NHSでは、参加者へのアンケートの2年に1度の郵送によって乳がんの発生が確認された。乳がんのいかなる報告についても、研究参加者から彼らの医療記録をレビューするための書面による許可を得た。』

医療記録の開示にあまり抵抗がないのは、病院勤務の看護師さん達だから、でしょうか。

また、身体活動記録をとり始めたのが1986年からなので、その前の1984年以降に乳がんと診断された人を対象にしたそうです。

Measurement of Mortlity「死亡率の測定」は死亡者の記録の扱いについて。

2002年6月までに死亡した場合はその時点までの記録。回答がなかった場合はNational Death Index(アメリカでの死亡者データベース)で検索され、医療記録を入手。死亡者の98%が特定されてるそうです。

Measurement of Breast Cancer Reccurence「乳がん再発率の測定」はどういう場合に再発したとカウントしたかの説明。

肺がん、肝臓、骨、または脳への転移は、乳がんが再発したと考えられ、再発扱いに。また、乳がんで死亡した女性は、死亡の2年前に乳がんの再発があったとみなして再発カウントしたそうです。

再発についてもデータとってたんですね。何故Abstractには載せなかったのか?気になります。


Exclusions「除外」はどういう場合にデータから除外されたかの説明。

1984年以前に診断を受けた、身体活動に関する情報が欠落している、診断時ステージIVだった、4つ以上の陽性結節を有するが完全な転移性精査を欠いた女性、病期に関する情報が欠けていた場合など。

100MET以上の活動量の女性はいなかったそうです。もしいたら、その人のデータも除外対象だったということでしょう。ちなみに、乳がん診断前の私は週100METぐらいやってました。抗がん剤の副作用で出来なくなりましたが。

Exposure Assesment「暴露評価」もっといい訳し方がありそうですが、Google翻訳結果がこれでした。身体活動に「暴露された」記録の評価、という意味でしょう。

活動記録の取り方とその活動内容のジャンル分け、METスコア換算法などの説明です。


Physical activity was reassessed in 1988, 1992, 1994, 1996, 1998, and 2000. 

『身体活動は再評価された』とあります。METスコアが1993年に出され2000年に改訂されたので、最新のスコアで計算しなおした、という意味でしょうか?また、『転移性乳がんの診断の直前および直後に身体活動が低下することによる偏りを避けるために、身体活動は更新されていない。』後の方を見ると、治療中は活動量がどうしても減るので、そのバイアスを避けるために転移性との診断前後のデータは入れていないようです。

Covariates「共変量」統計用語です。分散分析を行うときに解析に含めるデータのうち、連続量で量的に表される変数のことをいうそうです。要するに、偏りを修正するための補正に使うデータです。

乳がんに関しては腫瘍の大きさや転移性リンパ節の数、ホルモン受容体陽性かどうか、治療方法など。他の要因としては閉経期の状態、妊娠初期の年齢、出産歴、閉経後ホルモンの使用、経口避妊薬の使用、BMIなど。


Statistical Analysis「統計分析」経時的コックス比例ハザードモデルという分析手法を用いて、死亡の相対リスク(Rerative Risk, RR)、乳がんによる死亡、または生存のための他の危険因子について調整した再発を計算したそうです。

RRは、1週間あたり3 MET時間未満のカテゴリーを参照グループとして、1週間あたりの身体活動のMET時間毎のカテゴリーについて示されています。

そしてそれらを腫瘍の大きさなどの変数による補正を行い、最終的な相対リスクを算出したようです。


そしてResult「結果」。

乳がんと診断された4484人のうち、除外対象となる人(38+305+829+140+78+107)を除いた2987人のデータが解析の対象となりました。

>A total of 2987 women with stages I, II, or III breast cancer were included in the analyses. There were 463 deaths: 280 were from breast cancer. There were 370 breast cancer recurrences. Physical activity assessment occurred a median of 38 months after diagnosis; the 10th and 90th percentiles were 27 and 59 months, respectively. The median length of follow-up for the breast cancer mortality analyses was 96 months; the 10th and 90th percentiles were 47 and 187 months, respectively.

『ステージI、II、またはIIIの乳がんを有する合計2987人の女性が分析に含まれた。463人が死亡しました:280人は乳がんによるものでした。370の乳がん再発がありました。身体活動評価は診断後38ヶ月の中央値で行われた。10番目と90番目の百分位数は、それぞれ27ヶ月と59ヶ月でした。乳がん死亡率分析の追跡期間中央値は96ヶ月でした。10番目と90番目の百分位数は、それぞれ47ヶ月と187ヶ月でした。』


共変量のデータがTable1にあります。PNGデータですが、見づらい方はサイトの論文の方でご確認をお願いします。画面右側の「FIGURES/TABLES」タブをクリックするとグラフと表が出てきます。クリックすると別タブで拡大表示されます。

Joc50040t1

Table1には身体活動量のカテゴリ毎に、喫煙者や経口避妊薬使用者がどのぐらいいるか、ホルモン療法や化学療法を受けた割合、などのデータが載っています。

著者が言及したのは次の3点。

より活発な女性はより低いBMIを持ちより多くのタンパク質を消費し、そして診断時から活動評価時までの間に体重が増加した可能性は低かった』まぁそうですね。摂取エネルギー一番多いのは相対リスクが一番低かった9-14.9MET群ですが、これについては言及せず。

1週間に3 MET時間未満の女性は喫煙者である可能性が高かった』これは確かにそうですね。健康に関心がないのか、そういう環境で育ったか。


身体活動高いカテゴリーの女性(≧15MET)は、ステージIIの疾患を持つ可能性が高かった』逆に喫煙者が多く活動時間が少ない<3MET群にはステージⅠが多い、と。ステージⅢはあまり偏りはないようですがこれには言及されてません。

これらの変数を使用して出した結果がTable2。相対死亡リスク、相対再発リスクが載っています。

Joc50040t2 


運動量順に
相対死亡リスクは 1.0、0.80、0.50、0.56、0.60(Abstractに載ってた数字) 
相対再発リスクは 1.0、0.83、0.57、0.66、0.74

だそうです。

えっ?

相対死亡リスク同様、9-14.9METまでは相対再発リスクも下がってはいるけれど。それを超える活動量だと…???
しかしその説明は

>Despite a significant linear trend, the RR was relatively flat in the 3 highest activity categories.

『著しい直線的傾向にもかかわらず、RRは3つの最も高い活動カテゴリーで比較的横ばいでした。』

何?0.57から0.74が「横ばい(flat)」ですと??ハーバード大ではそういうデータ解釈をするのでしょうか???

私には、運動量が週15MET超えると逆に再発率上がってるように見えますが…死亡率もわずかだけど上がってるし…。私がおかしいのかな…???

この論文では、グラフは上の表をそのままプロットするのではなく、カプランマイヤー法による死亡率の折れ線グラフ(Figure.)を使用しています。生存率グラフだと100から下がってくるのですが、このグラフは「死亡率」なので最初はゼロ、徐々に上がっていきます。

Joc50040f1

>The cutoff of 9 MET-hours per week was chosen for these analyses because this was the predetermined category that divided the cohort almost in half. The RR of death for women who engaged in 9 or more MET-hours per week of physical activity was 0.63 (95% CI, 0.48-0.81) compared with less than 9 MET-hours per week.

『1週間あたり9 MET時間のカットオフがこれらの分析のために選択された。なぜならこれはコホートをほぼ半分に分けた所定のカテゴリーだからである。1週間に9時間以上の身体活動を行った女性の死亡率は、1週間に9回未満のMET時間と比較して、0.63(95%CI、0.48-0.81)でした。』


要するに、週9METが境目だと。何故なら、人数の問題。半数がそれ未満、半数がそれ以上だから。

で、9MET以上の3つの群は、合算でのグラフ作成。せっかく5つのカテゴリに分けたんだから、5つのまま出せばいいのに。

しかもこれも、再発率については出てない。

まぁ、とりあえずTable3に移りましょう。

Joc50040t3

BMI25未満とそれ以上で分けた場合の相対死亡リスク。

かなりバラついてますね…。BMI<25、9-14.9METの0.35(0.18-0.68)ぐらいですね、「有意に下がってる」って言えるのは。BMI≧25の3-8.9METなどは相対リスク1.0超えてます(1.01(0.66-1.55))。

他は、ばらつきの上が1を超えてたりもするので、何とも言えません。リスク下がる人数の方がリスク上がる人数より多いから、平均すると「下がる」ような印象も受けます。

おやぁ?これ、前々回私が書いた「IGF-1陽性だと運動リスク上がる説」を裏付けてくれそうな…?


著者のコメントは以下の通り。

Among women with a BMI of 30 or higher and compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of physical activity, the RR of death from breast cancer was 0.63 (95% CI, 0.26-1.52) for 3 to 8.9 MET-hours per week; 0.78 (95% CI, 0.20-3.04) for 9 to 14.9 MET-hours per week; 0.22 (95% CI, 0.03-1.82) for 15 to 23.9 MET-hours per week; and 0.36 (95% CI, 0.08-1.55) for 24 or more MET-hours per week (P for trend = .09). These results suggest additional benefit of physical activity for obese women; however, this analysis was limited by the small number of breast cancer deaths (n = 38) among women with a BMI of 30 or higher.

BMIが30以上の女性で、1週間に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較した場合、乳がんによる死亡のRRは3〜8.9で0.63(95%CI、0.26〜1.52)でした。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.78(95%CI、0.20から3.04)。週に15から23.9 MET時間の間、0.22(95%CI、0.03-1.82)。1週間に24時間以上のMET時間で0.36(95%CI、0.08-1.55)(傾向に対するP = 0.09)。これらの結果は肥満女性のための身体活動のさらなる利益を示唆しています。しかし、この分析は、BMIが30以上の女性の乳がん死亡数の少なさ(n = 38)によって制限されていました。

表にはBMI25で分けた数字しか出してないのに、表の解説に何故かBMI30以上の女性のデータを出してきました。

運動でエストロゲンが減るにしても、BMIの高低には関係ないはずなんですが…。BMI30以上だと

相対死亡リスク 1.0 0.63 0.78 0.22 0.36

ばらつきが多い、としか言いようがないと思います。

「BMI30以上の女性の乳がん死亡者の少なさによって」分析が制限されたなら、人数の少ない死亡者(280人)ではなく人数の多い再発者(370人)で解析してみたらどうかと思いますが。何故か人数の少ない死亡者データによる「相対死亡リスクのみ」の算出。「相対再発リスク」のデータ、隠しているんでしょうか?

Table4は閉経前か後か、ホルモン受容体の状態、ステージ別の死亡率を活動量9METで区切って表示したもの。死亡者数が少ないので9METで分けることにしたそうです。

Joc50040t4

Physical activity appeared beneficial to women whose tumors had both estrogen and progesterone receptors (RR, 0.50; 95% CI, 0.34-0.74) and not to women whose tumors lacked hormone receptors (RR, 0.91; 95% CI, 0.43-1.96). 

腫瘍がエストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の両方を有する女性(RR、0.50; 95%CI、0.34-0.74)には身体活動は有益であると思われたが、腫瘍にホルモン受容体を欠く女性(RR、0.91; 95%CI、0.43-1.96)には有益ではなかった。

Negative for estrogen and progesteron receptors『腫瘍にホルモン受容体を欠く女性』の方が死亡率が高かったから、運動でエストロゲン
レベルが下がって死亡率が下がった、っていう解釈をしたようですね。私は『腫瘍にホルモン受容体を欠く女性』の死亡率が高かったのは違う理由があると考えてますが…これも別記事にします。

閉経前の女性よりも閉経後の女性の方が死亡率の差が少ないのは、運動すると卵巣からのエストロゲン分泌が減るから、という解釈のようですね。脂肪細胞でアンドロゲンから作られるエストロゲンは減りにくいようで。

ステージⅢだと運動の効果が高い?これは何故でしょうね。

人数が少なくて…とか言い訳してますが、ここでも人数の多い再発者データ使っての再発率は算出しない不思議。

Table5は、ウォーキングがいいのか激しい運動(1時間当たり6MET以上の)がいいのか?を調べるための表。

ウォーキングなどの強度の低い運動を週に0.7MET未満行った人を基準に、強度の低い運動ばかり時間を多く行った人と、強度の低い運動は少なく激しい運動が多い人、両方多い人、の死亡率を出してます。

著者は『ウォーキングと活発な活動の両方が、乳がん死のリスクの低下に貢献しました。』としか書いてませんが、この表の数字だけ見ると、ウォーキング時間が少なく(週に0.7MET未満)激しい運動が多い(≧7.0)群が0.30と一番低くなってますね。しかしばらつきが大きいので(0.07-1.25)人による、という感じでしょうか。他の群もばらつきは大きく、上は1.0前後ばかり。ああやっぱりIGF...。

最後にComment「解説、論評」。

We found that any category of activity higher than the reference category of less than 3 MET-hours per week was associated with a decreased risk of an adverse breast cancer outcome. 

我々は、1週間に3 MET時間未満の参照カテゴリーよりも高いあらゆるカテゴリーの活動が、有害な乳がん転帰のリスク低下と関連していることを見出した。

そうですね。ただ、週に1時間も歩けない人がどんな人なのか、ただ単に運動嫌いなのか、それとも病気の進行や治療の副作用等で外出もままならないような人だったのか、っていうのが少し気になりますけど。

>A randomized trial of physical activity among overweight postmenopausal women demonstrated declines in serum levels of androgen and estrogen.

過体重の閉経後女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンとエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。

その割には、閉経前の女性の方が運動による死亡率がより低下してます(Table4)が。そしてBMI高い人の方が運動の効果は少ない(Table3)ように見えますけど?

Physical activity might also improve survival through acute and chronic improvements in insulin resistance and reduction in hyperinsulinemia. The associations we observed may change over time as the use of aromatase inhibitors to suppress hormone levels becomes more popular.

身体活動はまた、インスリン抵抗性の急性および慢性の改善ならびに高インスリン血症の減少を通じて生存を改善するかもしれない。ホルモンレベルを抑制するためのアロマターゼ阻害剤の使用がより一般的になるにつれて、我々が観察した関連性は時間とともに変化するかもしれません。

そうですよね。「運動がエストロゲンを減らすから」乳がん死亡率を低下させる効果があるとするなら、閉経後はアロマターゼ阻害剤を服用してれば運動しなくていい、ってことになります。むしろインスリンなどとの関連の方があるのではないですか?

ちなみに、この論文が出た翌年、アロマターゼ阻害剤の適用範囲が拡大されます。

放射線療法や化学療法で治療中の人は疲労感を感じやすいし、転移した人は活動がしづらい可能性があるので除外した、とあります。週に1時間歩くことも出来ない人は、化学療法の後遺症で疲労感が抜けなかった人、なのではないのかなぁ…?

>A recent report of physical activity levels among breast cancer survivors in the Health, Eating, Activity, and Lifestyle (HEAL) study found that women diagnosed with a higher stage of disease reported 15% more time engaged in physical activity compared with women diagnosed with in situ disease, although this difference was accounted for by household and not by recreational activity.

『健康、摂食、活動、および生活習慣(HEAL)の研究における乳がん生存者の身体活動レベルの最近の報告では、より病期の高いと診断された女性は、女性と診断された女性と比較して15%多く身体活動に従事していると報告した。この差は娯楽活動によるものではなく、世帯によって説明されたが、原位置病。』

自動翻訳がバグってますが、要するに「他の報告ではステージが高いと診断された女性は15%多く身体活動してたが、これは家事の問題であって運動の問題ではない」とのこと。

こちらのレファレンスの、Table 2aの下に書いてありますね。身体活動が余暇か家事かで女性ホルモンレベルに影響があるというのでしょうか?余暇なら良くて家事がダメなのだとしたらそれはストレスの影響ですよね。だとしたらエストロゲンよりも、コルチゾールやオキシトシン、セロトニン、ドーパミンあたりの方が関係してるのではないでしょうか?

Women in the highest category of activity like the rest of the cohort were primarily walkers but they walked for longer periods. Forty-five percent reported walking 5 or more hours per week, 28% reported bicycling 1 or more hours per week, and 28% reported participating in aerobics classes 1 or more hours per week. 

コホートの残りの部分のような活動の最も高いカテゴリーの女性は主に歩行者でしたが、彼らはより長い期間歩いていました。45%が週5時間以上の歩行、28%が週1時間以上の自転車走行、28%が週1時間以上のエアロビクスクラスへの参加を報告しています。

アメリカ人はスポーツ好きで、普段からさまざまなスポーツしたり筋トレしたりしてるもんなんですが、この調査の対象者はウォーキングばかりしていました。これも不思議なんですよね…。

>Overall, given the uniform evidence of the benefits of moderate physical activity to health, we believe that it is unlikely that exercise at the highest levels is detrimental to women with breast cancer.

『全体的に見れば、健康に対する中程度の身体活動の恩恵の一貫した証拠を考えると、我々は、最高レベルの運動が乳がんの女性にとって有害で​​あるとは考えにくいと考えています。』

なんで…?せっかく出した数字を無視するわけ…???

Our study was limited by the fact that physical activity was self-reported. 

私たちの研究は身体活動が自己申告であるという事実によって制限されていました。

それもあります。ですが、運動した群とそうでない群を比較した研究でも、運動の効果は「QOL向上」しか出てませんよね?死亡率や再発率や腫瘍サイズの変化は出てないんですよ。もっと違う視点が必要なのではないですか?

>Our results suggest that physical activity after a breast cancer diagnosis may lower the risk of death from that disease. The benefit was seen particularly among women who had tumors overexpressing estrogen receptors and progesterone receptors.

『我々の結果は、乳がんの診断後の身体活動がその病気による死亡の危険性を下げるかもしれないことを示唆しています。特にエストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体を過剰発現している腫瘍を有する女性の間で有益性が見られた。』

当時はホルモン治療はタモキシフェン(エストロゲン受容体阻害剤)が主流だったようですが、そのタモキシフェンの効果は少ないが運動は効果がある、ということ?或いは、運動がタモキシフェンの効果を上げる、ということですか?ちなみにこの調査のエンドポイントである2002年は、ハーセプチンが認可(1998年)されて間もない頃です。

>The maximal benefit occurred among women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace (2-2.9 mph) with little evidence of increased benefit for more exercise.

『最大の利益は、平均的なペース(毎時2〜2.9マイル)で1週間に3〜5時間歩くことと同等のパフォーマンスを示した女性の間で起こり、より多くの運動に対する利益の増加の証拠はほとんどなかった。』

>Women with breast cancer who follow the Centers for Disease Control and Prevention recommendations for all individuals in the United States to exercise at moderate intensity for 30 or more minutes per day for 5 or more days per week may survive longer.

『米国のすべての個人に対する疾病管理予防センターの勧告に従い、1週間に5日以上、1日に30分以上中程度の強度で運動することを推奨する乳がんの女性は、より長く生き残ることができます。』

3-5時間の歩行が最大の利益。しかしそれ以上は『利益の増加の証拠はほとんどなかった。』???

要するに「いっぱい運動した方が相対リスク下がるはずなんだけどな、そういう結果にならなかったな。おかしーなー?」ってことですよね。

自分の立てた仮説が正しいと証明するための証拠となるような結果が出なかった。だとしたら、何故出なかったのか、その理由を考えるのが研究者ってもんでしょうが!

彼らは何故、それをしようとしないのか…?

Article Information「記事情報」の欄にこんな記載があります。

Funding/Support: The research for this article was funded by grant CA87969 from the National Institutes of Health.

資金/支援:この記事のための研究は国立衛生研究所からの助成金CA87969によって資金を供給されました。

アメリカ国立衛生研究所は、Wikipediaによれば、アメリカ合衆国の保健福祉省公衆衛生局の下にあり、1887年に設立された合衆国で最も古い医学研究の拠点機関。

論文の最後に書かれていた「1週間に5日以上、1日に30分以上中程度の強度で運動することを推奨する」というアメリカ疾病管理予防センターは、Wikipediaによれば、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにある保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所。公衆衛生局内の機関なのだそう。

ということは。

結局、アメリカ保健福祉省公衆衛生局管轄の「国立衛生研究所」が、乳がん患者も、同じアメリカ保健福祉省公衆衛生局「疾病管理予防センター」の勧告に従いなさい!という論文を、アメリカ最古の大学であるハーバード大学の研究者にカネ出して書かせた、ということ…?



論文、きちんと読んでみるものですね。

前文の『我々は、乳がん診断後のより高いレベルの身体活動はより長い生存期間と関連すると仮定した。』からのあのデータ、この結論。「この仮定は絶対に間違っていない、今回は証拠が出なかっただけ」という著者らの主張。

そしてその理由が、最後の最後になって判明しました。

こういったさまざまな周辺情報も、この論文の解釈には重要なものとなってくるようです。「周辺情報」と「考察」、別途記事にして上げる予定です。

« 論文の読み方 Abstract編 | トップページ | 論文の読み方 レファレンス編 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 論文の読み方 本文編:

« 論文の読み方 Abstract編 | トップページ | 論文の読み方 レファレンス編 »

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
無料ブログはココログ