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2019年9月14日 (土)

乳がん患者がやるべき身体活動 2 手術からのリハビリ

乳がん患者、乳がんサバイバーなどと一口に言いますが、治療法もサブタイプも人それぞれです。

ですが、手術は多くの人が受けています。私も3ヶ月ほど前に受けたばかりです。



なので今回は、手術を受けた人向けのリハビリを自分の経験も含め、幾つかご紹介いたします。

乳がん関連ヨガも、もともとは手術後のリハビリから始まったようですので。



参考にしたのはこちら

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アメリカの理学療法士さんが書いた本ですが、数人の患者さんの症例をもとに、どの場合にどのリハビリを勧めるか、という内容が書いてあります。

アメリカの医療本の場合、患者さんが実名で登場するんですよね。日本だと架空の人物だったり匿名だったりするんですが。

その分リアリティはあります。



ただ、この本は理学療法士さんが書いたものですので

症状や治療法など、専門用語が多く出てきます。一般の乳がん患者さんには少し読みにくいかもしれません。

その分、説得力はあります。病院で習ったリハビリも幾つか含まれていましたので、看護師さん達は読んでいるのかもしれません。

患者さんとのやり取りの実例から、この著者の理学療法士さんはリハビリと同時にカウンセリングも行っている実態が見てとれます。患者としてはなかなか興味深い所です。



さて、ではこの本に書かれている具体的なリハビリの方法についてみていきます。

まずは手術直後から行ってよいもの。



「深呼吸」
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これは一番最初に行うことを勧められてます。

まず、口からゆっくり長く吐いて、その後吸い込む。

腹式かどうかとかは具体的には書いていません。「出産時の呼吸と同じ」だそうです。

「横隔膜を使う」などの記述から腹式だとは思いますが、

健康な人でも呼吸法は難しいのに、手術後の乳がん患者にいきなり複雑な呼吸が出来るわけありませんから、あまりこだわらないのでしょう。

「自然呼吸」でもいい、ということでしょうね。



実は、

乳がん切除後、特に乳房全摘出した後は、かなり呼吸が苦しいのです。

何しろ、胸の皮膚を「縫い縮めてる」わけですから、胸郭が締め付けられているような状態なのです。

ですので、肺を空気で満たすような深い呼吸は出来ません。

なので吐くことだけに集中し、吸うのは少しずつにしようと思っています。

無理して肺いっぱいに空気を入れようとすると交感神経を刺激してしまう「胸式呼吸」になりかねないので危険ですし。

ゆっくり、呼吸の練習をしながら、皮膚を伸ばしましょう。

 

「棒の挙上」

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手術後にまず困るのが、腕が上がらないこと。いわゆる「運動障害」。

着替えも大変、ヘアケアも大変、洗濯物干したり高い所にある調理器具を取ったりなどが出来ずに落ち込む日々でした。

まずはそれを改善します。腕が上がれば、動作はあまり問題なくなるそうです。

仰向けになって腕を垂直に上げ、それを頭の方へ向けて少しずつ動かしていく。手が床について仰向けで万歳できればいいのですが、手術後はおそらく45度ぐらいの角度で止まってしまうと思います。

棒を持つのは多分、左右の腕を同じように動かすためだと思われます。

これ、私は棒なしでやりました。

ベッドのヘッドボード(または壁、テーブル、ソファなど)に手をつけて、しばらくそのままストレッチ。

毎日1回でも続けていくと、少しずつ可動域が拡大していきます。



「壁のぼり」

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これも目的は手を上げること。前と横、両方行います。

「棒の挙上」とこれで、かなり可動域拡大します。

ある程度上がるようになったら、洗濯物干しなど、実生活で手を上げる動作を多くしてリハビリを兼ねてもいいそうです。

私も実践してます。

手を上げたりするリハビリは、3ヶ月以上は続けるのが望ましいようです。リンパの流れが悪くなると「リンパ浮腫」「石灰沈着性腱板炎」(これはこの本の記載ではなくネット情報)になったりするらしいので、あくまで強度は軽めに、期間は長めにするのがいいようです。



「おじぎストレッチ」
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手術後に筋肉の「攣縮(れんしゅく)」がおきて痛みが発生することがあるそうです。それが改善した例が載っていました。

アドムカウィラアサナ。リラックスして筋肉を伸ばすのには良いポーズですね。



この本、放射線治療前の人や乳房再建した人など、いろんなケースについて書かれてるので参考になります。

痛みの表現の仕方とか、痛みのパターンについても書いてあります。

今まで自分では「痛みのパターン」を把握しようと試みたりしていたものの、医療関係者からはあまりそういう話を聞いたことはなかったし、こういうことを具体的に書かれた本は初めて読みました。

また、手術後のリンパや筋肉の状態など、痛みの原因が詳しく書かれているので参考になります。



一方で、ストレッチに関する解剖学的なことはあまり書かれていないのが残念です。



日本語版の出版は1997年。英語の原著は1995年、Windows95が発売された年です。

「乳がんと牛乳」(原著は2000年発行)よりずっと前ですね。



そういう古い本ですので、その頃は画像処理があまり進んでいなかったから書籍化の際に載せるのが難しかった、だから省略した、という可能性はありますが。

リハビリの動作も、全て上記のようなモノクロイラストで描かれていました。ボブ・アンダーソンの「ストレッチング」の真似をしたのかも。



また、その時代はおそらく、サイトカインだのマイオカインだのが乳がんに与える影響が、まだ明らかになっていない頃です。

ですので、軽い筋トレも含まれています。ダンベル持たせたり。



しかし、このあたりは最新の乳がん関連のリハビリではどうなのか?と思いネット上をあちこち探してみたのですが、なかなか見当たりません。



ちなみに私、ケロイド体質のようです。手術の傷跡が赤く腫れあがったような感じで盛り上がってます。この周辺に痒みを感じることがあります。

ケロイド体質とは、どうもコラーゲン生成過多であることが原因の一つのようです。

コラーゲンの生成にはエストロゲンが関与しています。

一方私は、関節痛が出やすい体質でもあります。

どうも私の場合、骨や皮膚を形成する1型コラーゲンはできやすく、軟骨の主成分である2型コラーゲンができにくい体質のようです。

2型コラーゲンが足りないのでどんどんコラーゲンを生成するためホルモンやサイトカインが出されるのだけど、1型ばかりできて2型はやっぱり足りない、これは遺伝体質のようです。



だから私のような体質の乳がん患者は、運動をしてもストレッチをしても、1型コラーゲンばかりできてケロイド悪化、しかも関節の軟骨はすり減るので2型コラーゲン生成のためのエストロゲンが過剰分泌されてしまい、乳がんは進行する方向へ向かってしまうのではないでしょうか。

そのためヨガをやるなら極力身体を動かさないリストラティブタイプのものを、自分に合った形で行うしかないと考えています。

ジョンズホプキンス大学の動画にあるような立ちポーズの多いアシュタンガ系のヨガなどは、関節痛が余計悪化しそうですので絶対やりません。



乳がんの手術には、上に示したようなリハビリを行わなければならない「障害」を負ってしまうというデメリットがあります。

しかし

抗がん剤の害については知られるようになっても、手術による運動障害についてはあまり知られていません。




ただ、上述しましたようにリハビリ関係の最近の本の出版はありません。医療関係者も恐らく、乳がん患者にはどこまで運動させていいのか良くわからない、というのが本音ではないでしょうか。

しかもそれは人によって違いますから。

安易にサイトに書いたり本を出したりは出来ないのでしょう。

アメリカは本の出版に関しては割と厳しくファクトチェックするらしいですし。そうはいってもファクトとしての「論文」が間違ってる場合もありますから何とも言えませんが。



一方、乳がん関連ヨガについては前々回も書きましたが書籍、動画、ネットサイトでの解説など多数あります。

リハビリが必要であることに加えて副作用の緩和についてもケアせねばならず、その中で「ヨガでまとめてやってしまってはどうか」という話が出てきたとしても、流れとしては不思議ではありません。



しかし、前回前々回も書きましたように、乳がん関連ヨガの「インストラクター」の質に関しては甚だ疑問です。

少なくとも私が受けた「乳がんヨガ」のインストラクターの知識は、この本の著者の足元にも及びません。

医療側はそれを分かっているのでしょうか?

もしかして、そういうインストラクターに任せることで「ヨガをやりすぎて乳がんが悪化して病院に戻ってくる」ことを、狙ってたりしませんか?



万一やりすぎて悪化しても、「治療」のための「医療」ではなく「QOL向上目的」のための「ヨガ」だから自己責任或いはヨガインストラクターの責任として病院側の言い逃れは可能、だからリハビリではなく「ヨガ」、という可能性は十分あると思います。

乳がん関連ヨガに関わる医師の言葉に「2012年にアメリカで発表された研究では、ホルモン療法を受けているがん患者さんが、ヨガを行うことによって関節や筋肉の痛みを和らげることができたという結果が出ています。2)」とあります。

しかしその根拠となる資料をネット上で確認しましたところ、

ここの動画(12分頃から)、最後の方に「Translational research」(橋渡し研究)が必要となっていて、メカニズムはまだわかってないようなこと言ってますよね。

分かってないのに勧めてるんですよ。



でもこれって私が思うに、ヨガで筋肉や関節に負荷がかかり、その回復のためにエストロゲンが出た、そのせいで筋肉痛や関節痛が改善されたのではないのですか?



もしそうだとしたら、筋肉痛や関節痛の痛みは治まっても、乳がんは悪化しますよ。



放射線療法や化学療法中にヨガを行うとある程度効果が上がるのは、血行が良くなるからです。

しかしそれだってIGF-1陽性だとどうなるかわかりません。

しかもこの本「乳がん手術後のリハビリ」には、痛みを改善するための「超音波治療」について書かれています。

「超音波治療」は局所的に超音波を当て、温熱作用で血行を良くして痛みをとる、という手法らしいのですが、ハツカネズミの実験では連続して超音波を当てると腫瘍が増大するというデータがあるそうです。血行が良くなってがん細胞にも血液が回るようになるから、とか。

安易に血行を良くすればいいというわけでもないようです。

だから、乳がん患者がヨガをやるとしたら、「放射線治療中」か「化学療法中」だけに限るべきなんですよ。

少なくとも無治療の人はやらない方がいい。

これは患者としての私の実感でもあります。



とにかく

乳がんの手術後は最低限のリハビリを行い運動障害の改善とリンパ浮腫予防をはかる。

それだけで十分だと思います。いや、それだけにとどめておいた方がいいと思います。



乳がん関連ヨガで痛みが出てもヨガインストラクターは責任とろうとはせず、言い逃れするだけでしょう。

皆さんも気を付けてください。






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  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

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  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
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    あるプログラムでの使用曲。
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