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Sage's List

2019年5月22日 (水)

手術を受けます

今回は「論文の読み方」シリーズは一旦お休みにしまして、乳がん治療の途中経過の報告です。



乳房切除術を受けることになりました。



放射線治療後はマーカーも下がり、副作用の皮膚の炎症も治まり、快方に向かっていると思っていたのですが。

経過確認のためのCTで、右乳房だけでなく左乳房にも腫瘍があることが確認されました。左も右同様、リンパ転移してます。

西洋医学的な治療をすると「がんが怒る」「がんが飛ぶ」と、自然派の方々がよく言いますが

右から左へ飛ぶとは…。

がん細胞も、放射線量が高い所から低い所へと避難したんですね。なかなかの賢さです。

というわけで

左の乳房、全摘出です。リンパ郭清もします。右に残った腫瘍も切除します。

どうなることやら。



手術で切ったからと言って寿命が延びるというエビデンスはない、むしろ転移したりがんが増えたりする、という説もあるようですが。

私の場合、他に腫瘍を縮小させる手立てが見つからないので、やむを得ません。苦渋の選択です。

乳房は私の年齢ではもう不要な臓器ですから、切ってもあまり影響はありませんし。

ガン病棟」に乳房切除することになりパニックに陥る少女のエピソードが出てきますが、今更あのようなこだわりもありませんし。むしろ、なくなった方が楽になるかもしれない、ぐらいに考えております。



今回は、おカネに関してはむしろ加入している保険の関係で、がんで放射線治療やら手術やら入院やらしますと、支払う医療費より入ってくる保険金その他の方が高くなり、全体としての収支はプラスになりますw

保険金詐欺?何をおっしゃいますか。約款通りの請求です、詐欺ではありません。

ただ、主婦業すらまともに出来ない「無職」に入院日額出るのは、引き受ける会社側のモラルが問われるかもしれませんねw

あの有名ながん保険の会社です。保険に関しては以前の記事を参照してください。



ちなみに今、病院からです。手術は明日です。

麻酔の際に口からチューブを入れるとかで口腔外科で診察を受けたり、麻酔科医の説明を受けたり。同意書にサインしたり。明日の手術の準備をいろいろと行っております。



手術が無事、成功しますように。

受ける側としては、麻酔を受けたら後は寝ているだけなので、祈ることしか出来ません。

スクナヒコナノミコト様、お守りください。お願いします。


2019年5月21日 (火)

論文の読み方 関連情報編

今まで三回にわたり、乳がん患者の身体活動に関する下記の論文につきまして、どういうことが書かれているかについての解説をしてまいりました。

Physical activity and survival after breast cancer diagnosis.

今回は、この論文の著者や研究グループが置かれた立場などを推察し、行間を読み解くための周辺情報について、これまで私が調べて知り得た情報を書いておきたいと思います。



まずはNurse's Health Study(NHS)を基にした他の論文について。



この論文を読むにあたり、何かの参考になるかも、と思い、近くの図書館に行き、乳がんに関する疫学について書いてある本をあたってみました。

たまたま見つけたのがこの二冊です。

がんの疫学

新版 乳癌 (図説臨床「癌」シリーズ8)

中身を読んでみますと「がんの疫学」p52-53にはこんなことが書かれています。

>脂肪摂取を減らし血中エストロゲン値への影響を調べる介入研究も,いくつか行われている.1999年に13の介入研究をまとめたメタアナリシスが行われているが2),閉経前,閉経後女性とも脂肪摂取を控えることで,有意なエストラジオールの低下が認められた.

>最近の米国のNurses' Health Study(コホート研究)参加者381名を対象とした横断研究では,脂肪摂取と血清エストラジオール値との間にむしろ負の関連が認められている3). Nurses' Health Study では,脂肪摂取と乳がんリスクとの間に負の関連性が示されており,横断研究での脂肪摂取と血清エストラジオールの関連はこの結果と合致する.

>筆者らは閉経前および閉経後女性を対象に横断研究を行い,脂肪摂取とエストロゲン値の関連について評価を行った.閉経前女性(60名)では,月経開始後11日目の採血を行い,脂肪その他の栄養摂取は月経開始後2-10日目にわたる9日間の食事記録から推定した.総脂肪摂取と血清エストロンおよびエストラジオール値との相関係数はそれぞれr= 0.30 (p=0.02), r=0.26(p= 0.05)で,脂肪摂取が高い女性でエストロゲンが高値であった4). 

NHSの研究では、他の研究と違って何故か脂肪摂取と血清エストラジオールの間に「負の相関」がでているそうです。記載されていたその参考文献がこちらになります。

Dietary fat intake and endogenous sex steroid hormone levels in postmenopausal women.

著者欄にご注目ください。なんと、筆頭著者はHolmes MDさんでございました。偶然図書館で見つけた本に載っているとは…Holmesさんなかなか有名なんですねw



そして図説臨床癌シリーズの「乳癌」、1993年版なのですが、こんな表が記載されておりました。

 002-2_1

脂肪摂取と乳がんリスクの相関、他のグループでは正の相関が出ていますが、アメリカ人看護婦を対象とした研究だけは何故か「負の相関」。おそらくこちらの論文かと思われます。

Dietary fat and the risk of breast cancer.

著者はWillett WCさん。あれ?この名前はどこかで見覚えが。確かつい最近どこかで見たような気が…。そういえば…。

さっきの「がんと疫学」に載ってたこの論文

Dietary fat intake and endogenous sex steroid hormone levels in postmenopausal women.

ここの著者欄で見たのでした。Holmesさんの次の次にWillettさんが名前を連ねています。同じグループだったんですね。

他にも、このお二人、こんな論文出してます。乳製品の摂取と乳がんリスクの関連について。

Intake of dairy products, calcium, and vitamin d and risk of breast cancer.

We found no association between intake of dairy products and breast cancer in postmenopausal women. Among premenopausal women, high intake of low-fat dairy foods, especially skim/low-fat milk, was associated with reduced risk of breast cancer. 

閉経後の女性では、乳製品の摂取と乳がんとの間に関連性は見られませんでした。閉経前の女性では、低脂肪乳製品、特にスキムミルク/低脂肪牛乳の高摂取は、乳がんリスクの低下と関連していました。

へぇ~、牛乳や乳製品の摂取と乳がんには相関なし、「乳がんと牛乳」のジェイン・プラント博士の説とは逆の結果ですねぇ。しかもここではカルシウムだのビタミンDだのって話ばかりでIGF-1は無視してます。

でも実はこの論文の発表と同時期に、Holmesさんはこんな論文も書いています。こちらにはIGF-1が出てきます。

Dietary correlates of plasma insulin-like growth factor I and insulin-like growth factor binding protein 3 concentrations.

Higher fat intake, in particular saturated fat, was associated with lower levels of IGFBP-3. We conclude that higher energy, protein, and milk intakes were associated with higher levels of IGF-I. These associations raise the possibility that diet could affect cancer risk through influencing IGF-I level.

より高い脂肪摂取、特に飽和脂肪は、より低いレベルのIGFBP-3と関連していた。我々は、より高いエネルギー、タンパク質、およびミルク摂取がより高レベルのIGF-Iと関連していたと結論します。これらの関係は、食事がIGF-Iレベルに影響を与えることによって癌のリスクに影響を与える可能性を高めています。

乳がんではなくがん全体のリスクが上がるという表現ですね。しかもIGFBP3/IGF-1比が重要、という説を出してます。これは確かにそうなんですが、プラント博士が本を出す前に気付かなかったんでしょうか?

日本語版「乳がんと牛乳」の原著である「Your Life In Your Hands」の出版は2000年です。そしてHolmesさんグループが乳製品と乳がんリスクに相関はない、むしろリスク下がるという上記の論文出したのは2002年。

1980年代から90年代にかけては脂肪と乳がんの相関ばかり書いてたHolmesさん達のグループが2002年に突然、乳製品との関連を調べ始め、結果はプラント博士の説とは違う結果だった、と。

プラント博士の本を否定したがってるとしか思えないんですが。

ちなみに日本ではどうかと言いますと。

内閣府の食品安全委員会では、IGF-1の発がん性は認めた上で「牛乳や乳製品の摂取ではIGF-1濃度は上がらない」というフランス食品環境労働衛生安全庁ANSESの説を採用し、牛乳に発がん性はないとの見解を出しています。これに関してはHolmesさんの、乳製品摂取でIGF-1が上がり脂肪摂取でIGFBP3が下がりがんリスク上がる、という論文の方が正しいような気がします。アメリカでは遺伝子組み換え肥育ホルモンが使われていてそれがIGF-1濃度を上げるっていう説もありますので、フランスと状況が違う可能性はありますが。何しろ内閣府のサイト、ANSESの報告書へのリンクが切れていて、内容が確認できません。困ったもんです。


そして、Nurse's Health Studyという調査そのものについて。

これはどういう調査かといいますと、英語版Wikipediaによれば、経口避妊薬の長期使用の影響を調べるために開始された調査のようです。

当初は医師の奥様に調査を依頼したのですが、医学的知識が不足していたため調査対象が看護師に変更になり、その後は調査内容を経口避妊薬や心血管疾患に限定せず、徐々に拡大していったそうです。

こんな記述もあります。

>The Nurses' Health Study faced controversy based on its recommendations. The study published in 1985 that taking estrogen as a part of Hormone Replacement Therapy would lead to large decreases in risk of heart disease (a third of the risk of those who did not take supplements).[42] However, the Framingham Heart Study fond the opposite result.[43] This controversy caused a 10 year follow up by the Nurses' Health Study which again concluded that risks of CVD were lower in samples currently taking hormones.[43] However, further studies such as the Heart and Estrogen-progestin Replacement Study found that estrogen tablets actually increase risk for heart disease. This was a double-blind trial following an experimental group of women who were given replacement therapy pills and a control group following the same procedure with placebos.[44] Findings from the study displayed a direct relationship between therapy and risk for heart disease, as opposed to the previously stated benefits.[45] This finding largely opposed the published NHS conclusion.

『看護師の健康調査はその推薦に基づいて論争に直面した。1985年に発表されたこの研究は、ホルモン補充療法の一部としてエストロゲンを摂取すると、心疾患のリスクが大幅に減少することを示唆しています(サプリメントを摂取していない人のリスクの3分の1)。[42]しかしながら、Framingham Heart Studyは反対の結果を好んだ。[43]この論争は看護師の健康調査による10年間の追跡調査を引き起こした。これもまた、現在ホルモンを服用しているサンプルでCVDのリスクが低いと結論付けた。[43]しかし、Heart and Estrogen-progestin Replacement Studyなどのさらなる研究では、エストロゲン錠が実際に心臓病のリスクを高めることがわかりました。これは、補充療法ピルを投与された女性の実験群とプラセボを用いた同じ手順に従った対照群を対象とした二重盲検試験でした。[44]この研究の知見は、前述の利点とは対照的に、治療法と心疾患のリスクとの間の直接的な関係を示した。[45]この発見は公表されたNHSの結論に大きく反対した。』

ほほぉ…エストロゲン錠と心疾患との関連について、他の調査、それも二重盲検での試験と違う結果が出てる、と…。

NHSの方は製薬会社に都合のいい結果だったようですね。Holmesさん達の論文も、特定の食品ががんリスクを上げることはないっていう生産者側に都合のいい結果となっていたり、運動はする方がいいというフィットネス業界に都合のいい結果となっていたり。



てことは。

NHSを利用した疫学調査って…。

本当に、信用できるんでしょうか?

もしかして、医療業界側が、論文捏造するための調査だったりするのでは…?????

 

まぁ…NHSについては各自の判断にお任せします。

他の周辺情報として、この論文が出た頃の乳がん治療の変化について、少し記しておきます。


2000年前後、がん関連では様々な薬が世に出ました。

アメリカでは1998年に認可された乳がん初の分子標的薬、ハーセプチン。HER2+タイプの方はお世話になっていると思います。

今では当たり前に使われるハーセプチンですが、この論文は2002年までのデータを使用しています。なので、この論文で「死亡者」とカウントされたHER2+患者の多くは、ハーセプチンではなく他の抗がん剤を使われていた可能性があります。

つまり、2002年までに死亡したHER2+患者は「ハーセプチンに間に合わなかった」方々なのではないでしょうか。2005年頃にはハーセプチン以前の状況は忘れられていたかもしれませんが。



また、2000年代はホルモン治療にアロマターゼ阻害剤が登場します。タモキシフェンより副作用が少ないということで適応が拡大されていきました。実際にはタモキシフェンのような「子宮体がん」のリスクは低いのですが「心疾患」リスクは上がるうえ、関節痛や骨粗鬆症になったりする薬なんですが。

今回の論文にもアロマターゼ阻害剤などの言葉が出てきます。しかし詳しくは書かれていません。当時はアロマターゼ阻害剤がどういうものか、まだ判断がつかなかったのかもしれません。アリミデックスが初期乳がんにも適用されることになるのは2006年、つまりこの論文が出た次の年です。



さて次回は、この辺りの内容も踏まえた上で、総合的な考察を行いたいと思います。

2019年4月15日 (月)

論文の読み方 レファレンス編

今回も下記の論文の内容についての記事です。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis  

『乳がん診断後の身体活動と生存』

前々回はAbstractについて、前回は本文の内容について、それぞれ解説をいたしました。

お読みいただければ、論文の大まかな内容は把握できるかと思います。



しかし、論文に書かれている内容は、論文本体のみならずその周辺の情報も考慮して解釈せねばなりません。

前回の最後にはArticle Information「記事情報」欄の記述についてご紹介しました。

今回はそのArticle Informationの後の、論文の一番最後に書かれているReferencesの内容について解説したいと思います。

他にも論文に使われたNHS(Nurse's Health Study)とはどういう調査か? といったことや、著者個人及びこの研究チームの他の論文などの実績、論文が出された年代周辺の乳がん治療の動きなども考慮する必要があるのですが、それらの情報や考察などはまた別途記事にします。

論文一つでこんなに幾つもの記事が書けるとは思いもよりませんでした…。はぁ。疲れる…。

気を取り直してReferences「参考文献」。

論文の文中には随所に小さな数字が書かれておりますが、その部分の内容は該当する番号の文献を参考に書いている、という意味です。そしてそれらの文献は論文末尾にまとめて書かれます。それがReferences「参考文献」です。

これらの文献に果たして何が書かれていて、どの部分を参考にしているのかは論文を読み解く上でかなり重要です。しっかり読みこんでみなければ、著者らの考え方が分かりません。中には参考文献と全く同じようなことを書いただけのパクリ論文みたいなものもあったりしますし、参考文献とは明らかに違う結果が出てもそれが何故か分からないという意味不明な論文や、よくわからない結果となってしまったが明らかにするにはこういう調査が必要だろう、などの誤魔化しがある論文はよくあります。

この論文の場合はどうでしょうか。

この論文の参考文献は58本記載されています。ネット上でフルテキスト確認できるもの、登録その他が必要なもの、紙の雑誌からコピーするほかないものなどいろいろありましたが、出来るだけ集めて確認してみました。

この中で重要なのは5,7,31,40。特に40は全文を転載したいぐらい。ネットでフルテキスト読めないのが残念です。

1-3は乳がん診断後のQOLに関する論文。

1はリハビリについて、2は化学療法の予後因子について、3は生存率とQOL測定値の相関について。しかしこの論文ではQOLはあまり重視してないので、ここら辺は興味があったら読む程度でいいでしょう。

4についてはこの著者は『WHOが活動的な女性の乳癌発症リスクが20〜40%減少すると推定した』と書いてますが、元の文献では『癌の約4分の1から3分の1が過剰な体重および身体的不活発の原因であると推定した』つまり身体的な活動だけでなく「過体重」を問題視しているのです。ですが、この著者は無視してます。 

重要なのが5-7

この論文では「身体活動量が増えればエストロゲンレベルが下がる」と書いてあり、参考文献として5,6,7と3本の論文が表示されています。

5は無月経アスリートのホルモンレベルを、正常アスリートや殆ど運動しない女性達と比較したもの。

6大学生28人を対象に、一日4-10マイル(6.4-16.1km) 走らせ、月経やホルモンレベルがどうなるか調べたもの。

7乳がんの過体重および肥満の女性は、痩せてる女性と比較して生存率が劣るので肥満とホルモンの関連を調べてみた、という内容。

えーと。

これらの内容は「運動しすぎると女性ホルモンのレベルが下がって無月経になることがある(ならないこともある)」(5,6)「肥満女性は痩せてる女性よりエストラジオール濃度が高い」(7)という話であって、「運動すればエストロゲンレベルが下がる」とは微妙に違うんですよね…。

しかも5の文献は、月経に異常があるアスリートとそうでないアスリートの違いは「摂取エネルギー量」、つまり無月経アスリートは正常アスリートよりも摂取エネルギーが少ないので、更なる介入調査が必要、と締めくくられています。その後の調査では、無月経になるかどうかは摂取エネルギーとのバランスによるという結果が出ているようです。

ちなみに今回の論文のデータでは9-14.9MET-h/wkのカテゴリの方々が死亡率も再発率も一番低かったのですが、そのカテゴリでの摂取エネルギー(Intake)が一番多くなってました。おかしいですね、これではエストロゲンレベルは下がらないはず。しかしこの著者は何らコメントしていません。

7は性ホルモン濃度は体重と相関がある、性ホルモン結合グロブリン濃度は体重と逆相関がある、という内容です。もしエストロゲンレベルが低い方がリスク下がるなら、体重は少なければ少ない方がリスク下がるはずですが、他の参考文献(40)ではBMI22-25あたりの「標準的な体重の女性」が一番乳がんリスクが低いと出ているのです。このあたりの齟齬に関してもコメントなし。

8-9の番号の所には『乳がんと物理的にアクティブな女性の間で低エストロゲンのレベルは、潜在的に、生存率を向上させることができます。 』とありますが、

8はエストロン(E1)とエストラジオール(E2)の比率やエストロゲンレベルとの再発までの期間の相関の話であって、「物理的にアクティブ」とは関連ありません。

9は手術前のエストロゲン値の話。エストロゲン値低い方が生存率が高いというデータではありますが、手術を受けた後しばらく運動できない状態が続いた後での再発率等も手術前のエストロゲン値と関連があった、という話ですから「物理的にアクティブ」とは関連ありません。

10は、化学療法を受けた乳がん患者の体重増加と身体活動の欠如との関連。特にサルコペニック肥満について。

11,12は、体重増加は予後が良くないという内容。

13-22は診断時の過体重、診断後の過体重と体重増加がいかにリスクを上げるか、という内容。

私の場合、該当しないんですけどね…。乳がん発覚時から種々の治療を経てもなお乳がんが進行してる今まで、BMI25超えたことないんですよ。BMI18に下がったこともあるぐらいで。小林麻央さんも激痩せしてましたしね。

「体重増えるのは良くない」と繰り返し、そのためには「運動が良い」と刷り込み、「体重少なければいいのね!」と思い込ませることで「激しい運動で痩せすぎる」方向へ向かわせ、結果として「リスク上がる方」へ誘導してる、みたいな印象受けるのは私だけでしょうか?私自身、一時期はその流れに乗っかってしまいまして、それを反省している所なんですが。

23身体活動と食事の摂取量およびそれらの体重との関係を評価したコホート研究のメタアナリシスにより、低レベルの身体活動が摂取エネルギー過多よりも体重増加や肥満のリスク増加と関連している、という内容。コホート研究での摂取エネルギー量の多くは自己申告ですから、あまり信頼できませんけどね。

24Rohanら の論文は、フルテキストがまだ見つかりません。pubmedでAbstractを読む限りでは、死亡率は身体活動量とも個々のレクリエーションとも相関はない、という論文らしいのですが。


25,26,27は調査に対し無回答の患者のデータをNational Death Indexで検索し、死因コード等から患者の情報を把握するための方法について。乳がん患者の死亡率を死因コードから確定するのは難しいようです。ただ、NHSでは対象者の医療情報を得る許可を得ているので、これらの方法で死亡者の98%を確定できたとのことです。ちなみに27はタイトルと著者などしか登録されておらず、内容については未確認です。

28は今回の調査での再発率が妥当なものかどうかの比較のため別な調査と比較したそうですが、その調査の内容です。放射線治療の是非を調べるための調査のようです。 

29は身体活動と乳がんリスクについてのCollege Alumni Health Studyという、ペンシルベニア大学卒業生対象の調査の結果を解析した論文。閉経前の女性は身体活動量(カロリー換算)と乳がんリスクに関連はなかった、という内容。50歳未満では身体活動量が高い(1000kcal/wk超)と相対リスクが上がる(1.83,CI 0.77-4.31 P trend=0.14 )、BMI<22の女性では500-999kcal/wkで相対リスクが1.22(1.22 CI 0.66-2.27 P trend=0.41)、他は相対リスク1未満。1998年に出されたものです。

30はMETスコアについての論文。どのスポーツはどのぐらいのMET数か、という一覧が載っています。

31は更年期女性の股関節骨折を予防するための運動について。ウォーキングが勧められています。あれ?運動でエストロゲンレベルが下がるなら、ウォーキングでもエストロゲン下がるわけで、そうしたら更年期障害である骨粗鬆症は、予防するどころか進行してしまうのでは…???

を見ると、閉経後ホルモン(おそらくエストロゲン剤)使用者は最初からリスクが低い。非使用者は運動強度を上げていくとリスクが下がり、ホルモン使用者と同じ位になる。コメント欄には、『脂肪組織のアンドロゲンのエストロゲンへの転換 』とあります。活動的な女性はエストロゲンの服用者と同じぐらい股関節骨折から保護される、とも書いてあります。エストロゲンが脚周りで発生することが重要なのかな…???

このあたりからデータの信頼性について書かれています。『前年度全体の活動を評価する活動アンケートの能力は、151人の女性のサンプルでテストされました。』 『この年齢の女性の主な活動である歩行については、個人内相関は0.70(95%CI、0.49-0.84)でした。 』これをどう読むか?参考文献、いろいろ紹介されています。

32、これ面白いですね。自己申告した活動量の再現性。読んでみたいんですが、フルテキストは登録制なので読めずにおります。何しろテストと再テストであまり変わらない数字だから再現性は保たれているという結論なんですが、数字自体が0.79と0.83とか、0.52と0.55とかなので、何と比較しての0.79、0.83なのか、詳しい方法を読まないと分からないのですよ。余裕があったら登録してみますが、疫学の雑誌なんですよね。乳がん関連の疫学、怪しいのが多いからなぁ…。(このあたり後述します)


33、乳がん関連の疫学で怪しいのって、こういうのです。『診断後の食事の多変量解析では、脂肪摂取量と死亡率の間に明らかな関連性は見られませんでした。』とありますが、他の研究では脂肪摂取量との相関が認められてたりするんですよ。(それも複数。詳細は別途記事の予定)
。脂肪摂取量によるエストロゲン増加との関連が指摘されています。誰だよこんなの書いたのは…!と思ったら筆頭著者がHolmes MD、なんと今回読んでるPhysical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis の著者でもあるHolmesさんではないですかw しかもまたしてもNHSですwww

34は食事量の再現性について。これも面白そう、読んでみたいけどフルテキスト見つかりません。

35これはアルコール摂取量の再現性について。32、34と同じStampfer MJ 先生のグループの論文です。いろいろ調べてますね。

36はウォーキングが心筋梗塞、冠状動脈疾患などの心疾患のリスクを下げるという内容。 ウォーキングの万能感すごい。

コメント欄には『過体重の閉経後の女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンおよびエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。』とありますが。

37は閉経後のホルモン療法をしない過体重の女性のアンドロゲン濃度が、運動でどう変わるかを調べた調査。45分週5日の中/強程度の運動を含む週171分の運動により、有意差とは言えない程度減少したとのこと。この運動量でこの結果では…。それにアンドロゲンは筋肉の再生にも使われますが、エストロゲンにも変化します。減った分はどう使われたのか、も重要なのでは?

同じ著者による38はエストロゲン濃度について。

運動者は、コントロールの変化なしまたは濃度の増加に対して、それぞれ、3.8、7.7、および8.2%のエストロン、エストラジオール、および遊離エストラジオールの減少を経験した(P= 0.03、0.07、0.02)。12か月時点で、効果の方向は同じままでしたが、差異はもはや統計的に有意ではありませんでした。効果は、体脂肪を失った女性に限定されていました。

要するに運動で体脂肪が減ればエストロゲンも減りますよ、という内容。同じ調査で、アンドロゲン(アンドロステンジオン、テストステロン)とエストロゲン(エストロン、エストラジオール)両方測定して、論文は2本に分けたみたいです。

面白いのは、対照群が「週に45分のストレッチ、それ以外の運動をしない」人達であること。この方々のエストラジオール濃度は殆ど変わってません(-0.6%)w しかも、エストロンは増えてます。

かといって運動した群でも若干下がってはいるものの、有意差があるわけでもなく。

これらの参考文献を挙げておいて『過体重の閉経後の女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンおよびエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。』と書いてしまうHolmesさん。これはもう、確信犯としか…。

39はドイツの文献。まず最初に『身体活動乳がん リスクとの間の認められた逆の関係の重要な側面はまだ議論中です。』とあります。ドイツでは運動で乳がんリスクが上がる、と言われているようですね。他の幾つかの論文にもありました。しかし『活動の種類による分析は、最高レベルのサイクリング活動を報告した女性に対する有意な保護効果を明らかにしました(調整オッズ比= 0.66、95%信頼区間:0.45、0.97)。 』なのでまだ調査が必要、とのこと。フルテキスト見つからないので詳細は分かりませんが、他の運動では保護効果が認められていないようですね。

そして『身体活動はまた、インスリン抵抗性の急性および慢性の改善ならびに高インスリン血症の減少を通じて生存を改善するかもしれない。ホルモンレベルを抑制するためのアロマターゼ阻害剤の使用は、より人気になると私たちが観察された関連は、時間の経過とともに変化することがあります。

ここで40が参考文献として挙げられていますが。ここに書いてあるのは驚くべき内容。

空腹時インスリンレベルが高い乳がん患者は再発までの期間や死亡の相対リスクが高い。えっ?エストロゲンじゃないの?

エストラジオール濃度は、再発とも死亡とも相関がない!えっ???

フルテキストを医学系の図書館でコピーしてきました。空腹時インスリン、IGF-1、IGF-2、エストラジオール、BMIと乳がん再発までの期間の長さ、死亡率から相対リスクを算出したもの。

出ましたIGF-1!

この結論に至ったデータの内容はと申しますと

 001-2
 

ご覧ください。この表は、各測定値を上から順に人数を揃えて4つのグループに分け、どのグループの相対リスクが高いかを比較しています。

まず、空腹時インスリン。高い群は明らかにリスク上がってます。相関ありです。このあたり考察編で解説する予定です。

IGF-1。有意とは言えないレベルですが、死亡率の相対リスクがわずかに上がり、再発の相対リスクがそれより高く上がっています。

これ、今回の論文の、週9MET以上のデータと重なりますね。

そしてエストラジオールレベルは再発、死亡リスクと相関はない、という結果。むしろ高い人の方がリスク若干下がってる。

どういうこと?絶対量ではなくプロゲステロンとのバランスが問題なのでしょうか。私が飲んでたアロマターゼ阻害剤は…いったい…???

BMIとの相関は下のグラフの通り。
  002-2
 
インスリン、IGF-1についての詳細は後ほど別記事にて。

41は乳がん診断後の治療で身体活動量がどう変わるか。大幅に減少するそうです。

42は化学療法中は安静時代謝率が低下するという内容。食欲が落ちるので体重はそれほど変わらないけど筋肉も落ちるので安静時代謝が落ち、治療が終わっても戻らない、という内容のようです。

要するに化学療法で筋肉落ちるから、疲労感があっても運動しなさいね、ということのようです。なら化学療法しなくていいのに…。ってか、化学療法中に運動すると血行良くなって薬の効果が高まるので、筋肉落ちやすいんですけど(経験者は語る)。がん利権とフィットネス利権、繋がってるようですね。

43は前回も紹介しました。『より高い病期と診断された女性は、in situ乳がんと診断された女性と比較して総身体活動に15%多く費やされた時間を報告しました(p = 0.031)(表2b)。この総身体活動量の増加は、家庭活動の違いによるものと思われます。

household「家事」が乳がんのステージを上げてしまったのだとしたらその原因はストレスか、或いは手を動かすことによるホルモン分泌の可能性があるのではないでしょうか。胸周辺の筋肉を動かすことで成長ホルモンやIGF-1、アンドロゲンからのエストロゲン分泌が盛んになった結果かと。この文献にはそんな考察は一切書いてありませんが。

44のタイトルは『運動、上気道感染症、そして免疫システム。』強度の高い運動は、上気道感染症リスクが上がるそうです。まったく運動しない場合よりも、運動しすぎる方がリスクが上がるのだとか。このあたり、今回の論文にも影響ありそうですが、Holmesさんは否定してますね。
  003-2

454647は高齢者の運動はいい影響を与えるんだから、もっと運動しなさいという内容。フルテキスト読んでないんですが、Abstractからは良いことばかり書いてあって、転倒による骨折のリスクなどはあまり書かれていないような印象を受けます。ちなみに47には『1日に30分の中程度の強度の運動をしている人は、もっと運動すればさらなる健康上の利益を達成する可能性があります。』と書かれていますが、この研究はNIH(アメリカ保健福祉省国立衛生研究所)の助成金を受けています。


48糖尿病女性の間で身体活動心血管疾患のリスクを減少させるかどうかという研究。これも40の文献と同様、4つの群に分けて相対リスクを算出してます。何故Holmesさんは四分割ではなく二分割にしたか?それが問題。 

49身体活動と総脳卒中および脳卒中サブタイプのリスクとの関連性を調べた研究。48と同じ著者です。結果も同様、長時間または早く歩いた方がリスクが下がるという結果。 

50はNHSからの身体活動と乳がんリスクの関連調査。『身体活動の増加は、主に循環卵巣ホルモンへの累積生涯曝露を減らすことによって、乳がんを予防すると仮定されています。しかし、疫学的所見は矛盾しており、身体活動を定量化するための最善の方法についてはコンセンサスがありません。』とあります。活動量はMETではなく時間です。結果は、週7時間以上で相対リスクは0.82(95%信頼区間、0.70-0.97、P = 0.004)。 これもNIHからの助成金の支給を受けてますね。

51はNHSからの余暇活動、BMIと結腸癌リスクの関連調査。余暇活動が多い、BMIが低いとリスクが下がるのだそう。NIHからの助成金支給あり。

52Health Professionals Follow-up Study健康専門家追跡調査 、HPFS)とNHSからの身長、BMI、身体活動量と膵臓がんリスクの関連調査。この論文に似ています。NIHからの助成金支給あり。

53はNHSからの身体活動と不妊症の関連調査。DISCUSSIONにこう書かれています。『長期間の身体活動習慣は、持続的な体重増加、インスリン抵抗性の増加、および生殖能力障害を含む症候群を予防する可能性がある。我々のデータは、競争力のある運動トレーニングを除いて、女性が妊娠しようと試みる前の数年間の活発な活動の習慣は出生率を減少させず、そしておそらく増強するかもしれないことを示唆している。

「競争力のある運動トレーニングを除いて」が重要なポイントですね。ちなみにこれもNIHからの助成金支給あり。

54はNHSからの身体活動と胆石の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

55はNHSからの身体活動と認知症の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

56,57はNHSからの身体活動と総死亡率の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

58はこれらの論文を基にした年代別の身体活動ガイドライン。CDC(アメリカ保健福祉省疾病管理予防センター)のサイトです。

どうも、NIHは身体活動と疾病に関して、たくさんの論文書かせてるようですね。そしてその多くにNHSが使われている。そしてCDCはそれを基に身体活動ガイドラインを定める。

しかし。今回のこの論文は、かなり、「こじつけ」が強いような気がしました。

もしかして他の論文もそうなんでしょうか?だとしたら…???


とりあえず次回は、参考文献からの情報を基に、この論文のデータを私なりに読み解いてみたいと思います。

これからまた治療に入るかもしれませんので、公開まで時間がかかるかもしれません。ご了承ください。



2019年3月18日 (月)

論文の読み方 Abstract編

前回、運動と乳がんの関係について、下記の論文をご紹介しました。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

この論文には、一体どんなことが書かれているのでしょうか。

論文の内容が理解できないと、間違った解釈で引用されたりした場合に、それを見抜くことが出来ませんよね。(たまにいるんです、論文の内容を明らかに曲解して紹介してる人が)

というわけで

今回は、この論文には何が書かれているか?ということを説明しつつ、そもそも科学系の学術論文とはどういうものか、どこに注目し、どう解釈すべきなのか?そのあたりについて書いてみたいと思います。

私、医学関連は素人ですが、これでも大学では理系の研究室に所属しておりましたので。



さて。上記の論文を見てみましょう。PCの方はリンクを別のタブまたはウィンドウで開けてみて下さい。スマホの方も、とりあえず目を通してみましょう。

Pubmedでこの論文を検索しますと、Abstractのみが表示されます。


Abstractとは「要旨」「要約」などのことです。これを読めば大まかな内容は把握できます。

もっと詳しく知りたい場合は画面右上の方に「full text link」が表示されますので、そちらにアクセスすれば全文読むことが出来ます。

※PubMed(パブメド)は生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載するMEDLINEなどへの無料検索エンジンです。 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館(NLM)が情報検索Entrezシステムの一部としてデータベースを運用しているそうです。

「full text link」が表示されない論文もあります。また、「full text link」のリンク先は全てフリーで見れるとは限りません。無料でも登録が必要な場合もありますし、有料の場合もあります。

医学部のある大学の図書館では、レファレンスカウンターで調べてもらい、印刷してもらうことも可能な場合があります。一般人でも使える大学図書館もありますし、公立図書館でも検索依頼を受け付けてくれる場合もあります。読みたい論文のある方は、お近くの図書館へお問い合わせを。



では、論文の中身を読んでみましょう。

この論文のAbstractは、「Context」「Objective」「Design, Setting, and Participants」「Main Outcome Measure」「Results」「Conclusions」に分かれています。

まずContext。これは「文脈」の意味ですが、論文の場合「背景」と訳されます。Backgroundという言葉が使われることもあります。現状はこうなので、我々はこの点を調べてみた、というような内容が書かれることが多いです。

>Physical activity has been shown to decrease the incidence of breast cancer, but the effect on recurrence or survival after a breast cancer diagnosis is not known.

Google翻訳しますと、(以下、『』内はGoogle翻訳結果)

『身体活動は乳がんの発生率を低下させることが示されていますが、乳がんの診断後の再発または生存への影響は知られていません。』

身体活動は乳がんの発生率を「上げる」という論文も「下げる」という論文もあるのですが、ここには「下げる」と書かれています。

ということは、彼らは「身体活動は乳がんの発生率を低下させる」方の論文を支持した上で調査研究し、この論文を書いた、ということです。短い文章ですが、これだけで筆者らの考え方や、どういう説を支持しているのかが分かるわけです。

次にObjective。これは論文においては「目標」ではなく「目的」です。

>To determine whether physical activity among women with breast cancer decreases their risk of death from breast cancer compared with more sedentary women.


『乳がん女性の身体活動が、座りがちな女性と比較して乳がんによる死亡リスクを減少させるかどうかを判定すること。』

sedentaryを「座りがちな」と訳してくれました。和製英語の「デスクワーク」を英語では”sedentary job”と表現したりするそうです。

乳がん患者のことですから、運動してない場合でも「デスクワークしてる」というよりは「安静にしてる」というイメージですけどね。

次にDesign, Setting, and Participants。直訳すると「設計、配置、参加者」となります。ここは英語でもMethodなどいろいろな単語が出てきますが、「手法」「実験方法」など、実験や調査に関する具体的な方法の記述をするところです。

この論文は大規模なアンケート調査の結果を解析していますので、その調査はどのようなものだったか、対象者の属性や人数、調査対象期間、調査内容などが書かれています。

>Prospective observational study based on responses from 2987 female registered nurses in the Nurses’ Health Study who were diagnosed with stage I, II, or III breast cancer between 1984 and 1998 and who were followed up until death or June 2002, whichever came first.

アメリカで1984年から1998年の間にステージI、II、またはIIIの乳がんと診断された看護師さん達の追跡調査(看護師健康調査 Nurse's Health Study,以下NHSと記します)を元にしたものだそうです。診断から2002年6月まで、その前に亡くなられた方は亡くなった時まで。

Main Outcome Measureは「主な調査結果」。今回はアンケート調査なので、そのデータ解析で何を得たか、が書かれています。

>Breast cancer mortality risk according to physical activity category (<3, 3-8.9, 9-14.9, 15-23.9, or ≥24 metabolic equivalent task [MET] hours per week).

『身体活動のカテゴリーによる乳がん死亡リスク(3、3〜8.9、9〜14.9、15〜23.9、または24以上の代謝同等課題[MET] 1週間あたりの時間)。』

死亡リスクを身体活動の量(MET)毎に5段階に分けて計算してみました、ということです。

どんな数値を得られたか、次のResult「結果」を見てみましょう。

>Compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of physical activity, the adjusted relative risk (RR) of death from breast cancer was 0.80 (95% confidence interval [CI], 0.60-1.06) for 3 to 8.9 MET-hours per week; 0.50 (95% CI, 0.31-0.82) for 9 to 14.9 MET-hours per week; 0.56 (95% CI, 0.38-0.84) for 15 to 23.9 MET-hours per week; and 0.60 (95% CI, 0.40-0.89) for 24 or more MET-hours per week (P for trend = .004).

『週に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較して、乳がんによる死亡の調整相対リスク(RR)は3〜8.9で0.80(95%信頼区間[CI]、0.60〜1.06)であった。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.50(95%CI、0.31-0.82)。毎週15から23.9 MET時間の間0.56(95%CI、0.38-0.84)。1週間に24時間以上のMET時間で0.60(95%CI、0.40-0.89)(傾向に対するP = 0.004)。』

乳がん死亡率を運動量(MET)で比較すると

0-3METでは 1.0(これが基準)

3-9METでは 0.80

9-15METでは 0.50

15-24METでは 0.56

24-METでは 0.60

であった、と。

しかしこの数字、「適正な運動量だと死亡率が下がるけど、上げすぎると死亡リスクも上がる」印象ですが。

>Three MET-hours is equivalent to walking at average pace of 2 to 2.9 mph for 1 hour.

『3 MET時間は、1時間に平均時速2〜2.9マイルで歩くことに相当します。』

1マイルは1.6kmなので、3.2-4.64km/h。普通に歩くぐらいですね。

> The benefit of physical activity was particularly apparent among women with hormone-responsive tumors. The RR of breast cancer death for women with hormone-responsive tumors who engaged in 9 or more MET-hours per week of activity compared with women with hormone-responsive tumors who engaged in less than 9 MET-hours per week was 0.50 (95% CI, 0.34-0.74).

『身体活動の利点は、ホルモン反応性腫瘍を持つ女性の間で特に明白でした。週9 MET時間未満のホルモン反応性腫瘍を有する女性と比較して、週9 MET時間以上の活性を有するホルモン反応性腫瘍を有する女性の乳がん死亡のRRは0.50(95%)であった。 C.I。、0.34〜0.74)。』

えっ?ER+のみ対象?HER2+やトリプルネガティブは?

しかも私、ER+なのに運動は効かなかったけど…。

> Compared with women who engaged in less than 3 MET-hours per week of activity, the absolute unadjusted mortality risk reduction was 6% at 10 years for women who engaged in 9 or more MET-hours per week.

『1週間当たり3 MET時間未満の活動に従事していた女性と比較して、未調整の死亡率リスクの絶対減少率は、10年間で1週間当たり9 MET時間以上に従事している女性で6%でした。』

死亡リスクが「6%」下がる…まぁ、そんなもんでしょう。


Conclusions「結論」にはこうあります。

>Physical activity after a breast cancer diagnosis may reduce the risk of death from this disease. The greatest benefit occurred in women who performed the equivalent of walking 3 to 5 hours per week at an average pace, with little evidence of a correlation between increased benefit and greater energy expenditure. Women with breast cancer who follow US physical activity recommendations may improve their survival.

『乳癌診断後の身体活動は、この疾患による死亡のリスクを減らす可能性があります。最大の利益は、平均的なペースで週に3〜5時間歩くことと同等の行動をとった女性に生じ、利益の増加とより大きなエネルギー消費の間には相関関係の証拠はほとんどない。米国の身体活動に関する推奨事項に従っている乳がんの女性は、生存期間を延ばすことができます。』

ふーむ。3〜5時間の歩行が一番メリットがある、と。しかし強度上げたからといって、よりメリットがあるわけではない、と。

いや、強度上げると死亡率上がってるけど。そこはスルー?あと、再発率とかは?調べてないのかな?



Abstractはここまでです。若干の疑問がありますので、更なる情報をフルテキストの方を読んで探っていきたいと思います。

印刷して読みたい方はpdfファイルをどうぞ。



長くなりましたので、本文の方はまた後程。

 

2019年3月11日 (月)

5年生存達成記念「乳がんと運動」

2011.3.11、あの東日本大震災から、今日で8年が経ちました。

そして私が乳がんの診断を受けたのは2014.3.11。今日で満5年になります。

抗がん剤の副作用が酷く、一度は西洋医学と決別。食事療法、漢方薬、陶板浴、ヨガ、その他もろもろ試行錯誤し、最近はまた西洋医学のお世話にもなりながら、何とか生きながらえております。

一時はかなり悪化したにもかかわらずここまで生きながらえたのは、抗がん剤での失敗以降、通説によらず自分で調べて実践してきた結果だと思っています。



「運動」を「軽めのウォーキング」に変えたのもその一つ。



前回の記事で書きましたが、自身の乳がんを自然療法で治したというロレイン・デイ医師、乳がん自然治癒のために「週4時間のエクササイズ」を勧めているそうです。

しかし私の実感では、エクササイズで痛みが増すことこそあれ、腫瘍が小さくなったりすることはありませんでした。

5kmのマラソンに参加した後、大量に出血したり。

乳がんにエクササイズがいいというのは本当なのか?と色々調べてみたのですが、

その根拠となったであろう論文はこちらのようです。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

この論文は、一時期「乳がんヨガ」のサイトに貼られていた厚生労働省による

がんの補完代替医療 ガイドブック 第3版

そこに参考図書として記載されていた本

「がんに効く」民間療法のホント・ウソ(住吉義光・大野智/著:中央法規出版、2007年)

に参考文献として記載されていたものです。

調査の内容は、 1984年から1998年の間にステージI、II、またはIIIの乳がんと診断された看護しさん達の追跡調査。2002年6月まで(死亡の場合はその時点まで)追跡調査された2987名の回答に基づく調査です。

余暇にどのような身体活動をしたかを調査して、METスコア換算で計算しています。

METスコアとは身体活動のエネルギーコストを評価するための尺度です。3METが1時間のウォーキング、7METが1時間のジョギングに該当するのだとか。詳しくはこちらを参照してください。

その結果が、下記の通り。

Google先生に翻訳してもらったものを張り付けてみますね。

>週に3 MET時間未満の身体活動に従事している女性と比較して、乳がんによる死亡の調整相対リスク(RR)は3〜8.9で0.80(95%信頼区間[CI]、0.60〜1.06)であった。 1週間あたりのMET時間 1週間あたり9から14.9 MET - 時間で0.50(95%CI、0.31-0.82)。

>コホートの残りの部分のような活動の最も高いカテゴリーの女性は主に歩行者でしたが、彼らはより長い期間歩いていました。45%が週5時間以上の歩行、28%が週1時間以上の自転車走行、28%が週1時間以上のエアロビクスクラスへの参加を報告しています。

ふーむ…。ウォーキング、ですか。「乳がんヨガ」の根拠としては薄いような。

他に似たような研究はないか?

そう思い、色々調べてみたら、こんな文献を発見しました。

Epidemiologic issues related to the association between physical activity and breast cancer.

乳がんと身体活動の関連についての21の研究のうち、15の研究で運動は乳がんリスク下げるとの結果、4件の研究で効果なし、2件では身体活動に関連した乳がんのリスク増加が見られたとのこと。

リスク低下も、リスク増加もあり?



さて、これはどういうことか?



運動といえば成長ホルモン。Wikipediaで調べますと、こう書いてあります。

>標的器官に直接働く場合と間接的に働く場合がある。間接的に働く場合、成長ホルモンが肝臓などにはたらきかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を分泌させ、それらが標的器官に働きかける。

IGF-1!懐かしい。

抗がん剤の副作用を受けた後食事療法を試みることに決めたのですが、どれも経験則からの主張ばかりで科学的根拠に乏しく、信用できるのかどうか不安に感じていた頃、見つけたのがジェイン・プラント博士の「乳がんと牛乳」でした。

そこには、牛乳に含まれるIGF-1が乳がん悪化の原因となる、と書かれていました。

ははぁ…。これか。

そこで、IGF-1とがんの関連を調べてみたところ、いろいろ見つけました。

Growth hormone, the insulin-like growth factor axis, insulin and cancer risk

(Google翻訳)
>成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子I(IGF-I)、およびインスリンは、腫瘍の成長と進行を促進する可能性があります

The Insulin-like Growth Factor Axis, Adipokines, Physical Activity, and Obesity in Relation to Breast Cancer Incidence and Recurrence

(Google翻訳)
>IGF軸の変化は癌の危険性と進行を増大させる可能性があります。疫学的研究からの結果は、より高い循環レベルのIGF - Iが乳癌のリスク増加と関連していることを示している。

やはり、関連あるようです。そして

IGF1陽性の乳がんは食事療法の効果がある

IGF-1陽性の乳がん患者の炭水化物摂取と再発率とは相関するそうです。

IGF-1陽性の乳がん患者と、IGF-1陰性の乳がん患者がいて、IGF-1陽性の患者は低炭水化物食を処方されたグループの再発率が1/5に低下したとのこと。

IGF-1は「インスリン様成長因子」。インスリン同様、血液中の糖を使って細胞分裂を促します。なので、IGF-1陽性の乳がん患者は、糖分を減らす食事をすると予後が改善される、と。



納得しました。

私は運動以外では、甘いものを食べると具合が悪くなります。

これは、おそらく私は「IGF-1陽性」だということでしょう。

だから、医療関係者からは否定されがちな「玄米食(=低糖質食)」の方が調子がいいのだと思います。



そしてIGF-1の活動は成長ホルモンと関連しています。

Wikipediaにも成長ホルモンがIGF-1を「肝臓から分泌させる」と書かれてました。



そして成長ホルモンが分泌されるのは言うまでもなく「運動」です。

それも有酸素運動よりも無酸素運動、無酸素運動の中でも特に負荷の高い筋力トレーニング或いはそれに準じたスロートレーニング、加圧トレーニングなどで特に分泌量が上がるようです。

私の場合も、レスミルズプログラムなどの激しい運動による成長ホルモンの分泌で、IGF-1陽性の乳がん細胞が増殖した可能性があるのですよ。



上記の低糖質食の論文では、IGF-1陽性と陰性の患者の比率は半々ぐらい。

人種での差もあるようなので日本人で調べてみると、大腸がんでは35.6%とのデータがありました。IGF-1陽性だと肝臓転移しやすいそうです。

「運動は効果ある!」と声高に主張する乳がん患者、治療者がいる一方で、私のように「運動すると痛む」「出血する」乳がん患者もいる。

その理由は「IGF-1陽性か、陰性か」の違いにあるようです。ようやく分かりました。



ドイツの研究では、運動を推奨できる乳がん患者は1/3だそうです。

おそらく、「乳がんヨガ」が効果あるのも1/3程度でしょう。

残りの2/3にも勧めるのでしょうか?そしてBCYIは某社の協力も得ているようですが、もし乳がんヨガで乳がんが悪化したら「これでも飲んでね」ってことなのでしょうか?イギリスでは認可されてない薬のようですが。



乳がん患者「全員」がやってもいいのはヨガの中ではおそらく、呼吸法や瞑想法ぐらい。

運動全体の中では、最初の論文にあったような週に一時間程度の「ウォーキング」。

ウォーキングはごく軽い有酸素運動ですので、成長ホルモンをあまり分泌させません。

しかし、血糖値を下げる効果はあります。そのため低糖質食同様、IGF-1の活動が抑制されたのではないでしょうか。

私の場合、運動による痛みに気付いてから徐々に運動強度を落としてきたのですが、結局ウォーキングに落ち着きました。

どうやら、間違ってはいなかったようです。

アロマターゼ阻害剤の副作用による関節痛のため、連続して歩けるのは10分程度。この副作用には困ったものですが、その結果最適な運動とその量を見つけることが出来たのは「ケガの功名」でしょうか?



「息を吸って~、吐いて~。」との声かけだけなら、今どきはマッサージチェアでもやってくれます。

乳がん患者に「乳がんヨガ」などの特殊な運動を勧める人は、その患者の乳がんがどんなタイプなのか、しっかり見極めてからにするべきだと思います。

患者個人の考え方や性格のせいにする前に。

2019年3月 5日 (火)

アメリカの自然派女性医師

前回の記事で、妙な自然派乳がん患者のブログを紹介しました。

このブログでは、自分の乳がんを自然療法で治したロレイン・デイ医師のYouTube動画が紹介されています。

そしてその医師の実践内容を記載しているんですが、その内容がこちら。

・よい食べ物による適切な栄養摂取、動物性食品の排除
・砂糖抜き。砂糖は免疫機能を低下させる
・水を飲むこと。よくなりたかったら身体を脱水させてはいけない
・太陽光。体内の腫瘍を縮小させ、免疫力を高める
・新鮮な空気。室内の空気を吸い続けると腫瘍は二倍の早さで育つ
・週4時間のエクササイズで乳がんのリスクを減らすことができる
・治癒ホルモンがつくられる 10時から 2時の間に寝ていること
(治癒ホルモンの恩恵を得るためには 9時半にはベットに入っていること)
・ストレスから解放されていること
・他者を赦すこと
・医師ではなく神を信じること(身体を創ったのは、医師ではなく神だから)



「動物性食品の排除」はいいでしょう。乳製品にはエストロゲン、IGF-1その他乳がんを増殖させるホルモンが含まれてますし、肉にもそういったホルモン、サイトカイン類が含まれていたりします。酷いものになると肥育ホルモン剤が入っていたりしますし。



「砂糖抜き」も食事療法ではよく言われます。がん細胞はブドウ糖をえさにしています(それを利用したのがPET検査)ので、砂糖のみならずGI値が高いものは避けた方が良いようです。



「水を飲むこと」には若干の疑問が。私は一時期、乳がんに効くという漢方薬を煎じて大量に摂取していましたが、効果があったかどうか分かりません。煎じ薬やお茶ではなく、ただの「水」の方がいいということでしょうか?しかし水の飲み過ぎも胃酸が薄まったりなどの弊害もありますし。よく分かりません。

「太陽光」。これはビタミンDと関連します。浴びた方がいい。入院時に実感しました。



「新鮮な空気。室内の空気を吸い続けると腫瘍は二倍の早さで育つ」…?このあたりから怪しくなります。室内の空気を吸い続けるのが良くないなら、入院治療のみならず、フィットネスクラブでの運動も、病院内での乳がんヨガも良くないってことになりますねw



「週4時間のエクササイズで乳がんのリスクを減らすことができる」何度も言いますが私は毎日のようにフィットネスクラブで運動する生活してて、乳がんになったんですよ。乳がんになってからはむしろ、運動後に痛むことが多々ありました。この件については長くなるので、別途記事にします。



「治癒ホルモンがつくられる 10時から 2時の間に寝ていること

(治癒ホルモンの恩恵を得るためには 9時半にはベットに入っていること)」

えーっと…

「治癒ホルモン」?念のためググってみましたが…コレですか?

「『成長』ホルモン」のことでしょうか?だとしたら、がん細胞をも成長させてしまうホルモンですよ。実際、モーズ軟膏前、出血したり痛みが出ていたりしていた頃は、痛みは夜間に出ることが多かったのですけど。



「ストレスから解放されていること」はい、今はフィットネスクラブ退会しましたので他の会員の方から「ぶつかったでしょ!」とか「私、この人、キライ!」とか言われるストレスからは解放されておりますw



「他者を赦すこと」関係あるんですかね?あるとしたら何故?ストレスやホルモンの関係ですか?医師ならそのあたり解説すべき。



「医師ではなく神を信じること」はい、私は日本書紀や古事記には書かれていない(この辺りには来ていないことになっているが伝承が多数残されている)神を信じています。薬の神様でもあります。



ロレイン・デイもしくはロレーヌ・デイ医師。

検索してみますと、公式サイトが見つかりました。

もしかしてこちらも?


どうやら内海聡医師や近藤誠医師に近い方のようですね。

おそらく、医療の問題点について指摘し、改善すべく活動をされているようです。それはわかります。

しかし

内海聡医師も近藤誠医師も、実は、


がんの「治療」に関しては、大した実績残してないんです。


内海聡医師は確か、妊娠中にがんが発覚した妊婦さんを無事出産させたという報告をFBに上げてたことはありました。

でも、それだけなんです。

毒性の強い抗がん剤や侵襲性の高いリンパ郭清などの手術、強すぎる放射線では確かに、治るものも治りません。

治療に問題あるとして、問題提起するのはいいと思います。

ですが


がんって、自然療法でも、なかなか治らないんですよ。


なので私は、食事療法続けつつ、ホルモン療法、放射線療法などに頼っているわけです。


それと、このロレイン・デイ医師。

もともと「整形外科医」だそうです。

整形外科医が、乳がんの外科的手術を否定するのでしょうか?「手術ががんを発生させる」なら、膝関節の手術やなんかも受けない方がいい?よく分かりません。

非浸潤性乳管がんをごく初期に見つけて手術で切り取ったのを「自然療法で治した」って言ってるんじゃないのかなぁ?デジカメなどが無かった頃の話なので、腫瘍の画像出せないのは仕方ないのでしょうけど。

なあんて思ったりして。


こういうこと書くと、自然派さんからは「あなたは性格が悪いから治らないんだ!」とか言われるんですよね。

はいはい、私が性格悪いのは「遺伝」だと思いますよ~、だから、「性格遺伝子」がいい方向に変わる自然療法見つけてくださいお願いします、とでも書いておきましょうか。

長くなったので、「乳がんと運動」については別途記事にします。

2019年1月20日 (日)

「乳がん」とは?

前回、ある本からの引用で「がん」とは何か、について書きました。

炎症による活性酸素大量発生ががん化の原因である、と。しかしホルモン依存性のがんはその限りではないそうで、ではどうなっているのか?その本には書いてありませんでした。

仕方なく、今度はこのあたりの本を読んでみました。

医者も知らないホルモンバランス 増補改訂版

医者も知らない乳がんとホルモン療法

分厚いハードカバー本で、論文の引用が多く専門用語が多数出てくるので、こちらもなかなか読み進められなかったのですが。

乳がんの発症機序について、著者であるリー博士は、カヴァリエリ博士の研究内容から説明されています。

こちらの論文

Molecular origin of cancer: Catechol estrogen-3,4-quinones as endogenous tumor initiators

には、エストロゲンがどのように変化していくかが説明されています。

図を見ると分かりやすいかと思います。

エストロゲンには三種類あります。エストロン、エストラジオール、エストリオール。エストロンをE1、エストラジオールをE2、エストリオールをE3と略したりするそうです。

これらがどういう代謝経路をとるか?

特に、エストラジオールとエストロンの二つ。

これらはシトクロムP450ヒドロキシラーゼという酵素によって、4ヒドロキシエストロゲン(カテコールエストロゲンとも呼ばれる)になります。

そこに活性酸素(フリーラジカル)が作用するとエストロゲン-3,4-キノンに変化します。これはとても不安定な物質で、それがDNAと結合してしまうと、エストロゲンDNA付加生成物となります。

こうしてDNA損傷が発生することにより乳がんが発生する、と。そういうことらしいです。



ふーむ

活性酸素はここにも出てくるんですねぇ。

乳がん患者の乳房内の細菌叢は、健康な女性の細菌叢と比較すると、乳酸菌などが少なくブドウ球菌、大腸菌などが多いという論文がありましたが、このあたりに関係しているのかも。




しかし。

「エストロゲンの代謝が問題」

もしかしたらここで、疑問に思う方もいるかもしれません。



「更年期って、エストロゲン減るんじゃないの?補充療法したりするぐらいなんだから。なら、乳がんにはなりにくくなるのではないの?」



そこが医療業界のなせる業。更年期で減るのは実際にはエストロゲンではなく、プロゲステロンの方なのだそうです。なのに何故か、エストロゲンが不足しているかのような宣伝ばかりされるのだとか。



リー博士によると、こんなことのようです。

卵巣で作られる女性ホルモンには、二種類あります。

エストロゲンと、プロゲステロンです。

エストロゲンは、卵胞ホルモンとも呼ばれています。月経出血後に多く分泌されるホルモンで、卵胞が卵子の成熟を促す間に、子宮内の組織形成と血液供給を促します。

プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれています。排卵後、空になった卵胞は黄体と呼ばれますが、それは文字通り黄色いから。プロゲステロンは黄体で作られ、月経周期後半に多く分泌されます。

月経周期前半はエストロゲン優勢、後半はプロゲステロン優勢。これが一般的な女性のホルモンバランスです。

エストロゲンは卵胞を成長させる作用、つまり細胞増殖作用があり、プロゲステロンは子宮内膜をアポトーシス(細胞死)させる作用があるとのことです。

しかし、先進国の女性ではプロゲステロンが不足して、エストロゲンが優勢であるケースが多いそうです。

それは何故か、と言いますと。

プロゲステロンはエストロゲンの元になります。他にも、副腎皮質ホルモンの材料にもなります。

栄養が不足しているとエストロゲンはあまり作られません。しかし先進国の女性は栄養過多なのでエストロゲンは十分作られていて、エストロゲンが不足しているケースは少ないそうです。

さらに先進国の女性は、ストレスにより副腎皮質ホルモンの需要も多く大量に作られ消費されます。プロゲステロンはこれらの材料でもあります。なのでプロゲステロンがこれらのホルモンに代わってしまうことにより、不足しがちになるようです。

おまけに、先進国では「環境ホルモン」が問題になっています。環境ホルモンとは、体内であたかもホルモンのようにふるまい、ホルモンバランスを崩す化学物質のことです。外因性内分泌攪乱物質などとも呼ばれます。ダイオキシンやPCB、ビスフェノールAなどが有名ですが、他にもたくさんあります。

それら環境ホルモンの多くは、エストロゲン様の作用をするそうです。エストロゲンとプロゲステロンのバランスが、ますます悪くなります。

そして、月経が終わり更年期となると、一般的にはエストロゲンが不足するように思われてますが、実はエストロゲンはあまり減りません。エストロゲンは脂肪組織内でアンドロゲンからも作られます。なので、卵巣で作られなくなる分が減る、ということでエストロゲンは40~60%減るだけだそうです。

一方、生理が止まるということは、卵巣が働かなくなる、ということ。つまり排卵が行われず黄体も作られなくなります。すると黄体ホルモンであるプロゲステロンは、殆ど分泌されなくなるそうです。

つまり「あまり減らないエストロゲン」と「激減したプロゲステロン」によりホルモンバランスが崩れている。それが問題だ、と。

しかし更年期は何故かエストロゲンが不足しているかのような宣伝が行われ(それに反する記事を書こうとしたブリティッシュ・コロンビア大学のプライオア博士は、編集者に拒否されたそうです)ホルモン療法と称してエストロゲン補充療法が行われ、天然のプロゲステロンではなく人口のプロゲスチンなどが使われ、それが乳がんや子宮がんのリスクを上げているそうです。

また、エストロゲン不足の場合は、乳がん予防などの観点からエストリオールを勧めてらっしゃいますが、これもあまり研究が進んでいないとのこと。



ジョン・R・リー博士のこの一連のホルモン関係の本、ものすごく面白いです。

難しい論文を分かりやすく解説してくれてますし、なにしろ、医療業界側の欺瞞が暴露されまくってるw

というわけで、次回はそのあたりのご紹介もしていきたいと思います。

2019年1月 8日 (火)

新年のご挨拶 2019

新年あけましておめでとうございます。

昔は「初売り」といえば正月二日だったものですが、最近は元日から初売りが始まるようですね。おかげで今年の正月はショッピング三昧でした。

当然、食事は外食になります。

最近、食に関しては多少のものなら受け入れられるようになったので、とあるフードコートで、天ぷらとうどんをいただいたのですが…。

うどんのおだしなどは特に問題なく食べられました。

しかし、十分程経った頃でしょうか?どうも、お腹の具合がおかしい。

胸がムカムカするのです。

普段、胸やけなどはあまりないのですが…。

そして、げっぷが出てきました。しかも何度も出て、なかなか止まらない。

買い物どころではなくなってしまいました。

翌日もそれが続き、さらには転失気が大量に発生。「転失気(てんしき)」の意味が分からない人は調べてみてください。


この現象。思い当たるフシはありました。

最近どうも、体内、それも消化器系内で発生したガスを呼気として排出する機能が衰えてきたらしく、微発泡酒など頂いてもその翌日は転失気が大量発生します。

ベーキングパウダー加えた手作りの焼き菓子を食べた時もげっぷが出て、翌日は転失気も出ました。

恐らく、フードコートで食べた天ぷらの衣か、或いはうどんに、重曹もしくはベーキングパウダーが加えられていたものと思われます。


内臓が弱るとこうなるんです。

重曹など、安全と言われている添加物でも、こんな風になるんです。

だから、うっかり外食も出来ない。

やれやれ…。

大腿ヘルニア手術後からの現象なんですが、何故こうなったのかは分かりません。


しかし。問題はこれだけではありません。

ネットでげっぷについて調べてみて、驚きました。


「げっぷ 原因 食べ物」で検索しても、重曹やベーキングパウダーの話は出てきません。

「吞気症」「逆流性食道炎」「慢性胃炎」「胃潰瘍」「胃がん」などのワードばかり。

「げっぷ おなら 多い」で検索しても同様。


もちろん、「げっぷ 重曹」で検索すればいろいろ出てきます。どうも、胃酸が十分に出ているかどうかの判別のために、重曹を使うことがあるようです。

しかし、その仕組みを説明してくれているサイトはほとんどありませんでした。

ただ一つだけ見つけたのが、これ。化学の教科書か何かのようです。


さらに。自然派の方々の中には「重曹水を飲めばがんは治る」などとおっしゃる方がいます。

はっきり言います。重曹水飲むだけではがんは治りません。

上記のように、胃酸が中和されてげっぷが出て終わりです。

体液をアルカリ性にするために重曹を、ってことらしいですが、そのためには別の方法が必要です。


ネット上には情報が氾濫してますが、正確な、有益な情報にはなかなかたどり着かない。

治療法に関して大ウソが書かれていたり、悪い病気ではないかと脅されるような文章が並んでいたり。

ベーキングパウダー入りの菓子が好きで毎日食べてる人が、げっぷがよく出るからと言って病院に行ったら、果たしてどうなるか。

もしかしたら、胃カメラやらCTやらいろいろ受けさせられて、はては胃がん細胞診などされてしまうかも。


ネット上も書籍上もリアルな医療関係者の間でも、誤った情報が多く流れていることを憂いて始めたブログですが、まだまだ先は長そうです。

今年の三月で、乳がんの診断から五年になります。五年生存率上昇には貢献出来そうですが、まだまだ分からないことだらけです。


今年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


2018年12月 7日 (金)

メディア上の「罠」とは何か

こんな記事が出ました。

家族が、自分が、がんになったとき。ネットに危険な「罠」が待つ

笑えますね。

紙の新聞や雑誌に書くなら分かりますけど、これ載せてるBuzzFeed Japanはネットのみのメディアですから。

内容はお決まりの「免疫療法」批判。

本庶佑先生がノーベル医学・生理学賞受賞されてから「免疫療法」って言葉があちこちで使われるようになりました。

そして、そういう現象について「好ましくない」「従来からの免疫療法と免疫チェックポイント阻害剤を使った治療を一緒にするな」との批判も出ました。

しかし


メディア側が鍵カッコつけただけの「免疫療法」ってしか書かないんでは、そりゃ一般の患者さんだって一緒にするでしょ、ってなもんですw

ってか、このライターの朽木さん、免疫療法にはどんな種類があるのか、それぞれどう違うのか、価格はどうなのか、がん種ごとの有効率は、エビデンスはあるのかないのか、って全部調べて書いてるんでしょうか。

調べておいてこの書き方ではジャーナリストとしてどうかと思いますし、調べてないならなおさらどうかと思いますが。

ちなみに私、免疫療法擁護的なことを書くことが多いのですが、免疫療法を受けてはいません。

何故なら、免疫療法どれも、有効率それほど高くないので。しかも乳がんは他のがんと比較してさらに低いので。

しかし私は、これらの療法、特に否定はしません。

だって、資料請求すればしっかり情報提供してくれるから。

そして、有効率高くない代わりに酷い副作用もない。そして確率低くても、もし効果あった場合は、その効果はかなり絶大ですし。高須クリニックの院長のようなお金持ちなら、否定する理由はないでしょう(実際、試されてます)。オプジーボだって相当高いんだし。


対して

私がシクロフォスファミドの点滴受けた時は、病院側からは、どんな副作用が出ますとかこういう時はこういう薬飲んでくださいとかこんな医療用ウィッグがありますとかの情報提供はありましたが、

その中に有効率とか、それが書かれた添付文書などはありませんでした。



ネットでは検索すれば添付文書は出てきます。但し、最近の抗がん剤の添付文書からは、有効率の記載は省略されています。何故でしょうねぇ。低すぎるから?


ついでに私の経験を書きますと。

このブログ読んでる方はご存じでしょうが、シクロフォスファミドで酷い副作用を受けた後、それがかなり毒性の強い薬で、副作用で死亡することもあるような危険なものであると知ったのは、ネット上の情報が最初でした。

そののち、ネットでいろいろ調べまして、抗がん剤では治らないことも判明(まともな医師なら賛同してくれるでしょう)。なので西洋医学には頼らず食事療法を試してみることにしました。

他にも、がんにいい、と言われることはとりあえずやってみました。しかし副作用からの回復はみられるものの、がんそのものには効いていない。

運動もその一つ。がん発覚前から運動はしてました。運動はがんの予防になるはずなのに何故乳がんになったのか不思議だったのですが、乳がんに関しては運動は関係ない、むしろ運動で悪化する遺伝体質もあると知ったのは、

ネット上を徹底的に調べてからです。

「がんと運動 」あたりの記事に書いてありますので、興味のある方は読んでみてください。


他にも、一時期、漢方薬を試したこともありました。補中益気湯と、十全大補湯。

これも、ネットではよく一般患者向けに「抗がん剤の副作用の軽減のため」に使われると書いてあります。

これを読んで、どう受け取るでしょうか?西洋医学系の人は言葉通りに受け取るかもしれませんが、私は漢方薬はよく使う方で。「本当は効果があるけど薬事法などのせいで効能が書けないのだろうな」と判断しておりました。

しかし、ここに落とし穴が。もともとあった出血が十全大補湯でひどくなりました。よくよく調べたらホルモン作用のある生薬もあるそうでアメリカでは乳がんにはハーブは使わないとかで…中国ではまた違った薬(天仙液など)があるそうですが、これも乳がんでの有効率はそれほど高くないとかで…。

結局、一時は離れていた西洋医学系の病院でお世話になることに。「モーズ軟膏」というものがあると教えられ、疑り深くなってた私はネットで調べ上げて、モーズ軟膏による治療を受けることに決定、一時期はかなり安定しました。

同時に別の生薬を試すも、こちらはあまり効果なし。どうやら乳がんに届く前に肝臓で分解されてしまう模様。カフェインは分解してくれないのに生薬の有効成分はあっさり分解してくれる私の肝臓。私に似てひねくれ者のようでw

モーズ軟膏受ける前、出血についても調べました。すると、自然派系のサイトでは「悪い血は全部出さないと治らない」等とありましたが、西洋医学の論文では出血性のショックで死亡する乳がん患者もいることを知りました。

いえ、「自然派」系、嫌いではないです。添加物や農薬などの危険性は自然派のサイトでないと載ってないので参考にしたりしてます。それらの「社会毒」をどうやって避けるべきかという具体的な方法は、そういった自然派のサイトや「ハーブでガンの完全治癒」などの書物が役に立ちます。

添加物や農薬などが何故がんを引き起こしてるのかは、解明されつつあります。そのうちブログネタにしようと思ってはいるのですが、なにしろ難しくて。特に乳がんや前立腺がんなどはホルモンが強く影響するので、消化器系のがんとは性質が違うようですし。

また、発がん性のある「放射線」を使った治療は当初は毛嫌いしておりましたが、最近は機械の性能も上がって海外では手術に代わる治療法として使われているようで、これも調べて調べて納得の上で受けました。やけどのような跡はまだありますが、腫瘍マーカーはかなり下がりました。おかげさまでQOLも上がってきています。


というわけで、ネット上の情報は玉石混交、どれを選択するかは個人のリテラシーにかかっています。

「悪い血出さないと乳がんは治らない」「ヨガは乳がんに効果ある」などの明かなニセ情報は出す側に問題があるのですが、何しろ「言論の自由」ってものがありますから。規制は困難でしょう。

それを朽木さんは「罠」と表現しているのかもしれません。

しかし、それを言ったらBuzzFeed Japanだって相当なもんですよ。

HPVワクチン推進記事をやたらと書いてます。ウソばっかりなんでリンクは貼りません。

ヨミドクターとかいう医療系のコラムで、時系列が間違ってるというとんでもない記事を出してさんざん批判されたにも関わらずBuzzFeed Japanに転職、さらにHPVワクチン推進記事をいくつも書いてる人がいますから。

こういうBuzzFeed Japanの記事を読んだ女性が、「子宮頸がんはワクチンで予防できる!受けなきゃ!」とワクチン受けて、もし、副反応被害が出たら?

WHOには全世界からの被害の訴えが届いているそうです。

にも拘らず、ネット上ではHPVワクチン副反応被害を訴えている方々は、匿名の(自称)医療関係者からバッシングを受けています。曰く「反ワクチン」だとか。ワクチンの効果を信じて打った方々なのに。

しかも、HPVワクチン受けたのにも関わらず、子宮頸がんになってる方がいっぱいいます。高橋メアリージュンさんもその一人。

この方は幸い寛解されてお仕事も再開されているようですが、ワクチン副反応被害を受けた上に子宮頸がんになって仕事どころではない方もいらっしゃるようです。

この副反応被害も、脳神経内科の先生方が副反応被害の解明に尽力されてます。そのうち関連が明らかになるかもしれません。


HPVワクチンは子宮頸がん予防には無力です。海外では、接種層に子宮頸がん罹患者が増えているのだそうです。

しかし、HPVワクチン以外の「がん予防のための方法」は、ネットでもテレビでも新聞でも、大手メディアは殆ど扱いません。

何しろ、食品添加物も農薬も洗剤も化粧品も、放射線も電磁波も、さらには医薬品にも発がん性があったりしますので、スポンサーが売ってるそれらのものを避けましょう、なんて記事は出せるわけがない。



だから、「予防」ではなく「早期発見早期治療」を勧めるのです。

こんな状況ですから

ネット上、いやメディア上の「罠」はむしろ、「がんになる前」からあるのです。しっかり認識しておきましょう。

2018年11月 6日 (火)

がんとハーブと寄生虫

先日、某所でとある本を読んでいたところ、ハルダ・R・クラークなる人物が「がんの原因は寄生虫だ」と述べている、との記述を発見しました。

気になったので少し調べてみました。

そして見つけたのがこの本です。

ハーブでガンの完全治癒

ネットには70万部売り上げたベストセラーなどと書いてあるサイトもありましたが、既に絶版になっているらしく、図書館から借りてきました。

この本によると、ファシオロプシス・ブスキー(Fasciolopsis buski)という腸内吸虫が、イソプロピルアルコールなどの化学物質の影響により腸内から肝臓に移動した結果、がんが発生する、とのこと。

なので黒クルミの殻のチンキ・ニガヨモギ・クローブ、この3つのハーブで寄生虫を駆除することで完全治癒する、と。

そしてファシオロプシス・ブスキーは化学物質によりあちこち動き、他の器官に移動するとまた別の病気になるのだそうです。

え?

あまりに突拍子もない内容なので最初は驚きました。

しかし、

ヨモギには抗腫瘍活性のある化合物が含まれていることは知っていましたし、寄生虫ががんの原因となっているケースもあることも知ってはいましたので、半信半疑で読んでみました。

が…。

この本、間違いが多すぎます。

まず、著者ががんの原因とする寄生虫、ファシオロプシス・ブスキー。

医科学事典で調べましたところ、日本語では「肥大吸虫」。1843年にイギリスのBuskがインド人水夫の腸内から発見した吸虫です。水生植物に付着したメタセルカリアを経口摂取することにより感染します。

分布は中国、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、インドなど東洋に限られています。水生植物(ヒシの実など)や豚から感染します。アメリカやカナダのがん患者から検出される可能性は、かなり低いのではないでしょうか。

しかも、大きさは20~75mm×8~15mm。この大きさで、腸内から肝臓や他の器官への移動は難しいと思います。



でも、他の寄生虫を調べてみて分かったのですが。

ハルダ・R・クラーク先生…もしかしたら、寄生虫全てを混同されてないでしょうか?

例えば、肥大吸虫と同じ科に肝蛭(かんてつ Fasciola hepatica)という吸虫がいます。肝蛭は牛や羊などに寄生する吸虫で、肝臓に寄生します。これは欧米諸国で多く確認されています。

肝吸虫はタニシや川魚の生食などで感染し、胆管がんを発症するケースもあります。ハムスターを使った実験では、タイ肝吸虫とジメチルニトロソアミン(発がん剤)の投与で100%胆管がんを発症するとの報告があります。

肺吸虫はサワガニやイノシシ肉などから感染し、その症状は肺がんに類似し、皮下など他組織へ迷入することもあり、脳に迷入すると重篤な神経症状が出るのだそうです。

住血吸虫の中には膀胱周辺に寄生するものもあり、膀胱がんの確率が30倍になる他、女性だと子宮頚部や卵管などに病変を生じることもあるそうです。

日本住血吸虫は脳血管内に虫卵が塞栓すると脳腫瘍類似の症状となり、大腸がんと肝細胞がんの発生が高まるとも言われていました(否定的見解も出ているようです)。

また近年、ダニ媒介寄生虫であるタイレリアやボレリアがリンパ球をリンパ腫に変換させたり、クリプトスポリジウム原虫と大腸がんの関連が指摘されたりしています。

(同じリンクが貼ってある箇所がありますが、リンク先が長文なので、書いてある箇所が違うだけです。間違いではないのでよく読んでくださいね。)

残念ながら、乳がんと寄生虫の関連を示す文献は見つかりませんでした。しかしこうして調べてみると、肥大吸虫は間違いであっても「寄生虫ががんの原因である」という説はあながち間違いでもなさそうです。



では、この本に書いてある寄生虫駆除プログラムは、有効なのでしょうか?

黒クルミの殻、ニガヨモギ、クローブを使った駆虫方法。



これらのワードで検索しただけでは、残念ながら有効な情報は得られませんでした。

何故なら、これらのサイトは皆「ハーブでガンの完全治癒」そのままの内容ぐらいしか書いてないケースが殆どだからです。



なので、他の単語で調べてみました。

すると、面白いことが分かりました。



これらの3つのハーブは、漢方薬にも似たものが存在しました。

まだ青いうちの黒クルミの殻は「胡桃青皮(ことうせいひ?ことうじょうひ?)」、ヨモギは種類により「艾葉(がいよう Artemisia princeps Pamp ? Artemisia vulgaris ? )」「青蒿(せいこう Artemisia annua ? オトコヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン)」「苦艾(くがいArtemisia absinthium ニガヨモギ)」があり、クローブは「丁香(ちょうこう)」と呼ばれています。ヨモギの学名は分類学者によって異なるそうで、はっきりしません。



中医学では胡桃青皮は殺菌、解毒、殺虫などの効果があると言われています。また、クルミの成分の一つであるJuglone(ユグロンまたはジュグロン)にはアレロパシー活性(他の生物の成長を阻害する作用)があり、体内での寄生虫や真菌の増殖を抑制するそうです。最近ではPin1阻害剤として使用することで抗がん活性が認められています。Pin1とはプロリン異性化酵素、Pin1が高発現しているがん患者は予後が悪く、特にアンドロゲン非依存性の前立腺がんへの効果が期待されるようです。



ヨモギは昔から万能薬として使われていました。艾葉は止血、鎮痛などの効果があり、青蒿はマラリアに効果があるそうです。

マラリアは細菌やウイルスによる感染ではなく「マラリア原虫」に感染することで発症します。これも寄生虫の一種で、蚊が媒介します。

青蒿の成分の一つであるArtemisinin(アルテミシニン)から抗マラリア薬を開発したのは中国中医研究院中薬研究所の屠呦呦という女性研究者のグループです。

ベトナム戦争の際にベトナムからマラリア薬の開発を依頼された中国が国家プロジェクトとして抗マラリア薬の開発を開始、古来から抗マラリア薬として使われていた植物など多数試して、ようやくヨモギの抽出液からアルテミシニンを発見、単離抽出。しかしその安定化などに苦労したようです。現在はその誘導体が抗マラリア薬として利用されており、その功績により屠呦呦は2015年のノーベル医学・生理学賞を受賞しています。



近年、アルテミシニンは抗腫瘍活性があるとの報告が相次いでいます。乳がんにも効果があるようです。マラリア原虫との関連は分かりませんが、実用化を期待します。

ニガヨモギからはサントニンという回虫駆除薬も作られました。1830年代にサントニンを単離精製したのはドイツの研究者メルク。そう、あのMSDのメルクです。今はもうサントニンは使われていないようですが。



丁香(クローブ)にはEugenol(オイゲノール)という成分が含まれています。オイゲノールは動物用鎮痛剤として広く使われていますが、防虫効果やヤギの寄生虫の殺卵効果があるとの報告があります。肺がん乳がんに対する抗がん活性も報告されています。しかし毒性もあるようなので多用は禁物ですが。
さて…

こうして調べてみると、「黒クルミの殻」「ニガヨモギ」「クローブ」を「寄生虫駆除」または「がんの治療」に使うというのもそれほど的外れな話ではないように思いました。

もちろん、有効成分が含まれるとはいっても精製はしていないわけですから効果は弱いでしょう。ステージが進んでしまうと難しいかもしれません。

しかし初期のがんなら、治る可能性もあるのでは?特に消化器系のがんは経口摂取の成分が効きやすいので、ダメもとで試してみるぐらいの価値はあるかもしれません。

ちなみにこれらのハーブ、ネットで購入可能です。



ハルダ・R・クラーク博士、「ファシオロプシス・ブスキー」なんて珍しい寄生虫持ち出してきたのは、もしかしたら「言葉遊び」だったのではないでしょうか?

ファシオロプシス・ブスキーの英語名は「giant intestinal fluke」。吸虫を意味する「fluke」は、ビリヤードで偶然ポケットに球が入ったことを意味する「fluke(日本では『フロック』)」と同音異義語で、「まぐれ」と訳されたりします。

虫下しに効く民間薬が偶然、がんにも効くものだった。そんな意味を込めて、違うと知っていてあえてファシオロプシス・ブスキーを出してきた。そんな気がします。
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Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
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