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2019年8月15日 (木)

乳がん患者向けヨガの問題点

前回、リハビリやリンパドレナージは病院で個別に行い、教えてもらって自分で行うのが望ましい、そうでなければ自己責任で好きなことを、と書きました。

では乳がん関連で多い、「乳がん患者向けのヨガ」はどうか?

私は勧めません。というかむしろ、やらない方がいい。

何故か?

今回はそのあたりをもっと掘り下げたいと思います。


BCYI(Breast Cancer Yoga Institute)のサイトには、こんな画像が表示されています。


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しかしこれらのポーズは、BCYIの関連団体「日本ヨガメディカル協会」で紹介されている本「メディカルヨガ―ヨガの処方箋」のがんの章(12章)には載っていません。この本にはこんなのが載ってたりします。

Photo_20190808165903 


第一回International Yoga Therapy Day(2018.7.5)のララ先生のクラスは、実践はありませんでした。座学だったので途中で気分転換を兼ねたストレッチのようなことはしましたが。



そこで疑問に思いました。乳がん患者のためのヨガに「標準」ってあるんでしょうか?

試しにGoogleで「breast cancer yoga」と検索してみたら、サイトも動画も大量にヒットしました。

例えば動画ですと、

アメリカのジョンズホプキンス大学のグループのものらしい「LiveWell After Breast Cancer」という動画はイージーオプション入りのサンサルテーションに様々なポーズを入れ込む、いわゆる「アシュタンガヨガ」。

Under Armourのトレーナーさんが担当されてますので強度高めです。最初に"You are performing the exercise in this video at your own risk. "(このビデオの演習は自己責任で行ってください。)との注意書きがあります。



それに比べるとBreast Cancer Heaven(イギリスの慈善団体)の動画はかなり強度の低い「gentle」な(優しい)ヨガになってます。プロップス(ブロックなどの補助具)を多用したリストラティブ系。54秒あたりに"If you feel any discomfort, then you stop" (不快に感じたら止めてください)との注意が。




こちらの本はアメリカ人ヨガ講師によるリストラティブ系ヨガですが、上の動画よりもハードなアサナがいろいろ入ってます。シーケンスは特に記載されてないので、好きなアサナをどうぞ、ってことでしょうか?英文なのでまだよく読み込めてないのですが、19ページに "Always stop for any sharp pain, increased swelling or discomfort. "(鋭い痛みがあったり、腫れが増大したり不快感が増した場合は常に停止してください。)との注意書きに下線が引かれてあることは確認しました。「なか見!検索」でも読める範囲です。

Restorativeyoga
アサナはこんな感じです。ERYT500がどういう資格なのかが分かりますね。リストラティブヨガはアイアンガーヨガとは別物のようです。
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各アサナ毎にBenefitsが書かれています。下記画像はアルダチャンドラ(ハーフムーン)のBenefits。
001-3

機械翻訳しますと


利点
安定性を構築し、調整を改善します
調整とバランス感覚を改善します
リンパ節へのリンパの循環を促進します
体の中心にあるすべての筋肉(腹部、足首、太もも、to部、脊椎)を強化します
広背筋、斜筋、三角筋、台形筋を曲げて強化し、径部、ハムストリングス、ふくらはぎ、肩、胸、背骨を伸ばします
ストレス解消に役立ちます
股関節屈筋を開く腕を伸ばしたときに胸部全体を伸ばします(上下)


これが乳がんにどう影響するのかは分かりません。2014年出版。

下の画像はベルリンの大学教授が出版した本。チャプター毎に目的別の短いシーケンスを紹介しています。上の本より強度は低い印象。アメリカの方々は強度高め、ヨーロッパ系の方々は強度低めを好む印象です。

Yogaandbreastcancer

画像は白黒で数も少ないですが、アサナはベーシックなものが多い印象。

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 004-2  
各章の末尾にこうした表が。
005-2

こちらは機械翻訳だと読みづらかったので、読みやすく変えました。


早見表
第7章 地面から始めよう:姿勢の改善
シャンティアサナ 姿勢柔軟性に慣れるのに役立ちます。
仰向けのヤシの木の姿勢 胸を広げ、呼吸能力を高めることができます。
背中を捻る姿勢 脊椎下部の痛みに苦しんでいるすべての人のための非常に効果的な運動。
股関節の回転 股関節の可動性が向上します。
仰向けの木の姿勢 骨盤を開き、すべての座位姿勢を改善します。
仰向けでの膝の回転 膝関節の骨と靭帯を簡単に調整できます。
膝を胸に 息を深くし、腰椎骨間の間隔を広げます。
脚と腕のストレッチ リンパ郭清後のバイタル組織液が循環に戻り、柔軟性が向上します。脚と腹部の筋肉の柔軟性と強度を高めます。
背側のライオンの姿勢 首と肩の筋肉を強化し、二重顎と戦い、そして気分を改善することが知られています。


最初に2008年から2009年にかけて手術後の乳がん患者100人以上を対象とした研究を行った旨が書かれてました。それを元にした手術後のリハビリ目的のもののようです。2011年出版。

アメリカのDana-Farber Cancer Instituteのサイトでは上半身だけのヨガストレッチを推奨。

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どれもかなり違いますよねぇ。

普通のヨガのイージーオプションとどう違うの?どこが乳がん患者向けなの?

もう、何がなんだか。




結局、「乳がんヨガ」というものを思い立ったものの、何が効果あるのかがさっぱりわからない。

そう、医学的根拠がないので、皆、勝手に好きなことやってる。

体脂肪減らしてエストロゲン対策とか、肉体的にも精神的にもリラックスとか、リンパ浮腫対策とか、手術後の運動障害からのリハビリとか。

ただそれだけ。

そしてそれらが本当に効果出てるか、なんてどうでもいいんです。

ネットスラング風に揶揄するなら、これらは皆



「 ぼ く の か ん が え た 

  さ い き ょ う の に ゅ う が ん よ が 」 。



可動域が広がり、術後のリハビリに繋がることは確かでしょう。

しかし何度も言いますが、「乳がん」そのものの治療に繋がるような「医学的根拠はありません」。

どれをやっても生存率が上がるわけではないし、腫瘍サイズが小さくなるわけでもありません。

これらは全て、その指導者の好みで選んでるだけです。

その「自分好みのヨガ」を、動画を撮影してアップロードしたり、乳がん患者に指導して稼いでたりするわけです。



一方、乳がん関連ヨガで「痛みが出る」根拠はあります。成長ホルモン、IGF-1、TNF-α、IL-6その他のサイトカインの分泌による腫瘍の増大です。以前の記事で書きました。

IL-6、TNF‐αはヨガでは増えなかったという論文はあるようですが。それ以外のホルモン、サイトカインは分かりません。

乳がん関連ヨガには、上記のように、痛みや不快感が出たら「止めてください」との説明があるものがあります。

注意書きをわざわざ入れる、ということは「可能性がある」ことの証です。

その痛みや不快感はなぜ起こるのでしょうか?原因も分からないのに勧められたって、怖くて受けられません。

腫瘍が大きくなって神経を圧迫してきている可能性だってあるんです。

実際私も、痛みが出ました。他にも痛みが酷くなった人がいることは上記「メディカルヨガ―ヨガの処方箋」の202ページにも書いてあります。

僅かに残った腫瘍がもし増大しても、手術で神経切ってたら痛みも感じないかもしれません。だから痛みを訴える人が少ないことの理由の一つである可能性はあります。


乳がんになったヨガインストラクターもいます。ネット上探しただけで数人見つかります。

彼女らは何故、乳がんになったのでしょうか。ヨガによる乳がんリスクの低下はなかったのでしょうか?

彼女らが乳がんになる前に行っていたヨガは、乳がん患者向けヨガと一体どう違うのでしょうか?



アメリカでは、がんで有名な病院は軒並みヨガを導入しているようです。これはおそらく「手術のマイナスイメージを避けるため」だと思います。

「乳がん手術後は『運動障害からのリハビリ』や『リンパ浮腫予防のためのリンパドレナージ』をしましょう」と書けば「え?運動障害?リンパ浮腫?そんなことがあるの?手術ってコワイ!」ってなりますよね。

ところがこれを「手術後はQOL向上のためにヨガをしましょう」となれば「そうだよね、入院してると気が滅入るからね」なんて納得してしまうでしょう。

そう、「ヨガ」という言葉のイメージを利用しているのですよ。特に乳がん関連のヨガが多いのは、中高年女性が多い乳がん患者達は「言葉のイメージに左右されやすい層」だと思われているせいでもありましょう。

リンパ浮腫予防や手術からのリハビリだけなら、無治療の乳がん患者や、ラジオ波焼灼法や陽子線治療など「手術以外の治療」を選択した乳がん患者には、全く関係のないものです。

同様に、化学療法中や放射線治療中の疲労感や倦怠感を軽くするためであれば、それらの治療を受けてない人は関係ないはずです。

しかし、「リンパ浮腫予防」も「リハビリ」も「疲労感の改善」も、更には「肥満予防」も「フレイル(虚弱化)予防」もすべてひとまとめにして「ヨガ」にする。やりすぎて悪化する可能性はそのままに。

個別にやるよりその方が楽だからでしょう。ヨガの「万能感」がなせる技ではありますが。




こんなこと書いている私も、ヨガは好きです。だからこぞ、効果があって欲しいとの期待を込めて、あちこち調べました。

pubmedでも調べましたし、BCYI(Breast Cancer Yoga Institute)のサイトの「医療者の皆さまへ」「臨床情報」からの

厚生労働省のサイト『「統合医療」情報発信サイト』ヨガへのリンク、「新生物」に掲載されている論文も幾つか読んでみました。

しかし、

一見効果あるように見えても

コントロール群(対照群、ヨガを行った群との比較のためのグループ)が何か他のことを行っていて、そのせいでグループ間で有意差ありとなった可能性があるものとか、

コントロール群の方がステージが高く治療歴が長かったりとか(そりゃ悪い数値も出るでしょう)、

ドロップ率30%近いとか。3割の人が継続不能って…痛みが出たりして止めた人が多かったのか、或いは都合の悪いデータを排除した可能性もないとは言えません。どちらにしても信用できません。

或いはコルチゾールやTNF-αの値、うつ状態からの改善や睡眠障害の改善など、ある調査では有意差が出たものが、他の調査では差が出てないとか

何かいろいろ怪しかったりします。

実験に使われたヨガの内容も、論文によってバラバラですし。



瞑想を含めたヨガを8年以上続けると、左脳の前頭前野に変化があり、認知症の予防につながる可能性があるという論文はあります。瞑想ならQOLは上がる可能性が高いし、悪影響は殆どないものと考えられます。しかし、瞑想法を具体的に指導しているがん患者向けヨガは、いままで探した中では見つかっていません。

瞑想だけなら、座禅でも良さそうです。座禅は、ヨガの技法を仏教の修行の1つとして取り入れたものです。パドゥマアサナでの瞑想(サマーディ)が「禅定」と訳され、転じて「座禅」となったもの。ヨガで一番重要だからこそ、取り入れたのでしょうね。今では「マインドフルネス」などと呼ばれ、海外にも広まっています。



呼吸法も問題です。ヨガの呼吸法は効果ありそうだけど、教えるのが難しい、それ以前に学ぶこと自体が難しいので、教えられる人が殆どいない、そんな状況です。

だから乳がん患者向けヨガに関わる方々はやらないのです。そこまでヨガを極めてないから。

「副交感神経を優位にするので呼吸は重要!」とか言いますが、呼吸の仕方によっては交感神経優位になることもあります。

最近、交感神経は乳がん細胞に関係してるとの報告が出ましたから注意が必要です。

また、呼吸法の指導を間違うと過呼吸になることもあるそうですし、長期的に間違った呼吸法を続けると横隔膜を傷つけたりすることもあるそうです。

そうなった場合に対応できますか?それとも自己責任ですか?


さて

Googleで「乳がんヨガ」と入力すると、こういう表示が出ます。

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そう、まず出てくるのが「指導者養成」。

それは

乳がんヨガは「受ける側」の「乳がん患者」のためのものではなく、

「資格取得して稼ぎたい人向け」…つまり「教える側」のものであることを意味しています。

本当に「乳がん患者」や「乳がんサバイバー」に受けてもらいたいなら、そういう人達の注意を惹くような見出しを付けるはずですので。



何故か?

お分かりですよね。

ただの「資格商法」です。

1人1000円程度の参加費用での乳がん患者向けヨガを行うより、1日7時間3万円の指導者養成の方が儲かるから。

引っかからないでください。君子危うきに近寄らず、です。

これに関する話は長くなりますので、また次回。



どうしてもヨガをやりたい乳がん患者さんには、こちらをお勧めします。

この本の最後の方に、ヨガのシーケンスがいろいろ載っています。がん患者のためのものはありませんが。

Photo_20190809220701

このぐらいの出費なら、まだ許せるでしょう。呼吸法についても少し載っています。

この本では分からない、という方はお近くのアイアンガーヨガのクラスを探してみて下さい。

アイアンガーヨガの指導員は個別対応可能な方ばかりですので、相談に乗ってくれると思います。




乳がんの治療には、いろいろコストがかかります。

だから、資格商法ごときに散財してしまうのはもったいない。

お金はもっと有意義に使いましょう。



次回は、どうしてこんなに「乳がん関連ヨガ」が溢れているのか、もっと深く掘り下げたいと思います。

2019年7月24日 (水)

論文の読み方 考察編

これまで何度かに分けて、下記の論文についてどういう内容が書かれているかレファレンスの内容は、著者らの他の論文は、などの解説をしてきました。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis

今回は、私はこの論文をどう読むか?を書いていきます。かなり批判的な内容になってます。

もちろん異論はあるでしょう。

しかしレファレンスや関連情報からは、私には下記のようにしか受け取れないのです。ご意見のある方は、コメントにてお願いいたします。



論文の主旨は、わかりやすく説明するとこんな感じです。



アメリカ看護師調査(Nurse's Health Study、以下NHSと略す)回答者の中から乳がん患者の記録を調べた結果、

1.運動している患者の方が乳がん死亡リスク、再発リスクともに低かった。

2.ホルモン感受性のないER-HER2+の患者の乳がん死亡リスクは、ホルモン感受性のあるER+の患者の乳がん死亡リスクより高かった。

3.よって運動で死亡リスクが下がるのは、エストロゲンレベルが低下するからであると思われる。参考文献にもそう記載されている。

4.より運動量が増えれば乳がん死亡リスクもより下がると予測したが、15MET/wk以上は横ばいだった。

5.乳がん患者も一日30分以上のエクササイズをすべき。



さて、これらの主張は正しいのでしょうか?



まず、1.の乳がん死亡リスク、再発リスクですが、確かに週9METまでは、身体活動量が増えると死亡リスクも再発リスクも下がる、という結果になっています。

おそらく、エストロゲンよりもむしろインスリンが関係しています(レファレンス40参照)。

ウォーキングなどの軽い運動でインスリン抵抗性が改善され、筋肉が糖を取り込むので血糖値が下がります。その結果、がん細胞に栄養(糖分)が回らなくなったためにがん細胞の増殖が抑えられた、そういう可能性があります。

一方、 運動強度が大きい場合、あるいは運動時間が長く及んだ場合、グルカゴン、カテコールアミンなどのインスリン拮抗ホルモンの分泌が増加し、これらの影響により、血糖値は上昇してしまうそうです。だからやりすぎると効果がなくなります。


そして、週平均の身体活動量が「ゼロ」という人はいったいどういう人か?についても考えてみましょう。

おそらく、体調が悪化して、動けない状態の人です。

病気の進行により、或いは治療の副作用により寝たきり状態であった場合など、死亡率が高いのもやむを得ないように思います。

毎日10分のウォーキング(3MET/wk程度)が出来る程度の人はそういう人達より死亡率が低い、さらに毎日30分程度のウォーキング(9MET/wk程度)が出来る程度に動けるくらい症状の軽い人は、もっと死亡率が低い。

ある意味、当たり前の話のような気もします。体力がある人の方が手術など侵襲性の高い治療に耐えられますし。




2.のHER2+については、年代が問題となります。

この論文で扱ったNHSのデータは、1986年から2002年6月のものまで。

HER2+適応の分子標的薬ハーセプチンがアメリカで認可されたのは1998年。全16年の調査期間中、使われたのは最後の4年間のみです。

使用が広まるまでの期間を考慮すると、調査対象中のHER2+の患者さん達のうち、ハーセプチンが使われていない人は8割以上いるであろうことが予測できます。

そう、この論文でのHER2+死亡者というのは、殆どがハーセプチンの製品化に間に合わず、古いタイプの抗がん剤が使われた可能性が高い患者さん達なのです。

おそらく、1998年前後でHER2+患者の生存率はかなり変化していると思われます。

そして論文が出たのは2005年。

ハーセプチン以前の記憶が薄れてきた頃です。この著者まで忘れてしまっていたのでしょうか?



3.のエストロゲンに関しては、レファレンス編で説明しましたが、女性アスリートの話(レファレンス5)です。アスリートでない普通の女性でも毎日10マイル(16km)走るようなハードトレーニングをしていると無月経になる可能性がある(レファレンス6)、という話です。

「身体活動量に比例してエストロゲンが減少」という話ではなく「身体活動量が多すぎる場合」限定、それも摂取エネルギーとの相関であり摂取エネルギーが少ないアスリートの話で、摂取エネルギーが多ければ無月経にはならないのです。

つまり、乳がん患者が食事を変えずにウォーキングのような軽い運動をしただけでは、エストロゲンが減少する可能性はかなり低いと思われます。

しかもこれは閉経前女性の、卵巣からのエストロゲン分泌の話です。



閉経後の女性のホルモンレベルを運動群とコントロール群で比較した文献(レファレンス38)では「有意差はない」程度に下がった、という結果でした。

そしてこれは「濃度」の話。エストロゲン総量がどれぐらい作られてたのか、という視点からの論述はありません。

閉経後は脂肪細胞でエストロゲンが作られるので、月経のようなホルモン量の指標がありません。

アロマターゼ阻害剤の副作用で関節痛が出たり骨粗鬆症になったりする人は、アロマターゼ阻害剤服用以前は軟骨の再生や骨の分解予防に寄与するエストロゲン量が多く作られ、消費されていたと推測できますが、そのあたりの説明がないのです。

ただ、閉経後はエストロゲンは脂肪細胞でアンドロゲンから作られますので、体脂肪を減らせばエストロゲン生成量は減るようです。実際、レファレンス38にもそう書いてあります。そういう意味で、もともと体脂肪量が多い人には、運動も効果があるのかもしれません。

しかし肥満予防はむしろ食事で行うべきでしょう。脂肪分が多い食事はエストロゲンを増やすとの論文も多数あります。Holmesさん達のグループでは違う結果(脂肪分が多い食事はエストロゲンを減らす)でしたが、他のグループは軒並み脂肪摂取とエストロゲンの正の相関を指摘しています。

そのため、エストロゲンを減らしたければ脂肪分の摂取を控えた方がいいであろうことは予測できます。




4.「15MET/wk以上は横ばいだった」については明らかなウソです。グラフにしてみましょう。
    Photo_20190724160901    
    

確かに身体活動量9MET/wkまでは下がっています。しかし15MET超えると、死亡リスクも再発リスクも上がっています。

それを無視して、横ばい(flat)であると言い切ってしまっています。


なのに5.では上限を設けずに運動を勧めている。



これは一体どういうことでしょうか?



15MET/wk超えると死亡率、再発率が増加した分は、上記のインスリン拮抗ホルモン以外にも、インスリン様成長因子(IGF-1)の影響が考えられます(レファレンス40参照)。

論文中では有意差はないとされておりますが、IGF-1濃度が高いと死亡リスクも再発リスクも若干上がっています。

同じ文献では、エストロゲン濃度が低い方がむしろ死亡リスクが若干上がってます。これも有意差はない程度ですが。

エストロゲンに関しては、濃度ではなく総量で考えれば納得がいきます。

エストロゲン受容体が多い、或いは活発であるような、エストロゲンの消費が多い人は、アロマターゼによるエストロゲンの生産が追い付いておらず、空腹時のエストロゲン濃度は低くなる、という可能性があるのではないでしょうか。

そして身体活動とエストロゲンの関連についてはこちらの論文が参考になります。

The role of cytokines in regulating estrogen synthesis: implications for the etiology of breast cancer


運動すると分泌されるマイオカイン、インターロイキン6(IL-6)が酵素であるアロマターゼを活性化し、エストロゲンの分泌を促すとのことです。

むしろ、運動で乳がん細胞中のエストロゲンは増える、と。
 

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2005年以前に発表された論文なので、世界的に有名な研究者であるHolmesさんがご存知ないはずはないと思うのですが。

一方、IL-6は卵巣においてはアロマターゼ活性を阻害するようです。女性アスリートの月経障害にも関係している可能性があります。


また、IL-6そのものにもがんを進行させる作用があるそうです。活動量が増えると死亡率も再発率も上がるのはIL-6の増加が影響している可能性もあります。

IL-6だけではありません。

成長ホルモン(GH)もインスリン様成長因子(IGF-1)も、乳がん細胞を増殖させます。また、アディポネクチンというサイトカインには抗がん作用があり、低アディポネクチン血症は乳がんの発がんと関連がありますが、アディポネクチンは握力や脚伸展筋力と逆相関の関係にあり、運動して筋力がつくと逆に減ってしまうのです。

さらに、動き過ぎるとインスリン拮抗ホルモンであるグルカゴン、カテコールアミンなども分泌されます。上記のようにこれらはインスリンの作用を阻害し血糖値を上げますので、がん細胞の増殖に繋がります。

このように、運動するとがん細胞を増殖させる方向に働く物質が多くあります。

運動して分泌されるサイトカインの中では唯一、SPARCという物質には抗がん作用があるようです。しかし大腸がんでは運動でのSPARC分泌による予防効果は確認されているのですが、乳がんでは論文を検索しても殆ど出てきません。「化学療法(nab-パクリタキセル)の効果を向上させる」程度のようです。

以上の理由により、「身体活動量が増えるとエストロゲンが減り、再発リスクも死亡リスクも下がるので乳がん患者には運動を勧めるべき」は殆どウソであることがわかります。



ところで。

私のような素人が読んでもわかるような論文のウソを、どうして厚生労働省の優秀な官僚の皆様には見抜けなかったのでしょうか?

或いは、厚生労働省が参考にしたという書籍

「がんに効く」民間療法のホント・ウソ

の著者である医師達には、何故見抜けなかったのでしょうか?

おそらく、見抜「け」なかったのではなく、見抜「か」なかったのです。

ハーバード大学、或いはその研究資金を提供したアメリカNIHに対する「忖度」ですよ。

なにしろ日本の医療は中曽根政権時のMOSS協議以降、アメリカ追従せざるをえない状況になっているので、否定するのは難しいでしょう。

このあたりもそのうち書きます。



それにしても、乳がん患者はいったいどれだけバカにされているのか。

以前、乳がん患者には運動がいいとする論文を検証し、QOL改善だけじゃん!と指摘しましたが。

今回は、もっとひどい結果となりました。悪化する可能性を隠しているとは…。

はぁ~…ため息が出ます。

ため息とはこういう時に自然と出るものです。わざわざ出すものではありません。



しかし。著者のHolmesさん、実は根はいい人なのではないかと思ったりもします。

何しろ、レファレンスのチョイスが最高です。しっかり読めばカラクリが分かるようになっています。

新元号発表後にネット上にいろいろ噂が流れましたが、それに近いものを感じました。

レファレンスを読んでいて、とでも勉強になりました。紹介して頂き、ありがとうございました。



せっかくの頭脳と知識を、忖度論文にしか生かせないのはもったいないとは思いますけども。

2019年5月21日 (火)

論文の読み方 関連情報編

今まで三回にわたり、乳がん患者の身体活動に関する下記の論文につきまして、どういうことが書かれているかについての解説をしてまいりました。

Physical activity and survival after breast cancer diagnosis.

今回は、この論文の著者や研究グループが置かれた立場などを推察し、行間を読み解くための周辺情報について、これまで私が調べて知り得た情報を書いておきたいと思います。



まずはNurse's Health Study(NHS)を基にした他の論文について。



この論文を読むにあたり、何かの参考になるかも、と思い、近くの図書館に行き、乳がんに関する疫学について書いてある本をあたってみました。

たまたま見つけたのがこの二冊です。

がんの疫学

新版 乳癌 (図説臨床「癌」シリーズ8)

中身を読んでみますと「がんの疫学」p52-53にはこんなことが書かれています。

>脂肪摂取を減らし血中エストロゲン値への影響を調べる介入研究も,いくつか行われている.1999年に13の介入研究をまとめたメタアナリシスが行われているが2),閉経前,閉経後女性とも脂肪摂取を控えることで,有意なエストラジオールの低下が認められた.

>最近の米国のNurses' Health Study(コホート研究)参加者381名を対象とした横断研究では,脂肪摂取と血清エストラジオール値との間にむしろ負の関連が認められている3). Nurses' Health Study では,脂肪摂取と乳がんリスクとの間に負の関連性が示されており,横断研究での脂肪摂取と血清エストラジオールの関連はこの結果と合致する.

>筆者らは閉経前および閉経後女性を対象に横断研究を行い,脂肪摂取とエストロゲン値の関連について評価を行った.閉経前女性(60名)では,月経開始後11日目の採血を行い,脂肪その他の栄養摂取は月経開始後2-10日目にわたる9日間の食事記録から推定した.総脂肪摂取と血清エストロンおよびエストラジオール値との相関係数はそれぞれr= 0.30 (p=0.02), r=0.26(p= 0.05)で,脂肪摂取が高い女性でエストロゲンが高値であった4). 

NHSの研究では、他の研究と違って何故か脂肪摂取と血清エストラジオールの間に「負の相関」がでているそうです。記載されていたその参考文献がこちらになります。

Dietary fat intake and endogenous sex steroid hormone levels in postmenopausal women.

著者欄にご注目ください。なんと、筆頭著者はHolmes MDさんでございました。偶然図書館で見つけた本に載っているとは…Holmesさんなかなか有名なんですねw



そして図説臨床癌シリーズの「乳癌」、1993年版なのですが、こんな表が記載されておりました。

 002-2_1

脂肪摂取と乳がんリスクの相関、他のグループでは正の相関が出ていますが、アメリカ人看護婦を対象とした研究だけは何故か「負の相関」。おそらくこちらの論文かと思われます。

Dietary fat and the risk of breast cancer.

著者はWillett WCさん。あれ?この名前はどこかで見覚えが。確かつい最近どこかで見たような気が…。そういえば…。

さっきの「がんと疫学」に載ってたこの論文

Dietary fat intake and endogenous sex steroid hormone levels in postmenopausal women.

ここの著者欄で見たのでした。Holmesさんの次の次にWillettさんが名前を連ねています。同じグループだったんですね。

他にも、このお二人、こんな論文出してます。乳製品の摂取と乳がんリスクの関連について。

Intake of dairy products, calcium, and vitamin d and risk of breast cancer.

We found no association between intake of dairy products and breast cancer in postmenopausal women. Among premenopausal women, high intake of low-fat dairy foods, especially skim/low-fat milk, was associated with reduced risk of breast cancer. 

閉経後の女性では、乳製品の摂取と乳がんとの間に関連性は見られませんでした。閉経前の女性では、低脂肪乳製品、特にスキムミルク/低脂肪牛乳の高摂取は、乳がんリスクの低下と関連していました。

へぇ~、牛乳や乳製品の摂取と乳がんには相関なし、「乳がんと牛乳」のジェイン・プラント博士の説とは逆の結果ですねぇ。しかもここではカルシウムだのビタミンDだのって話ばかりでIGF-1は無視してます。

でも実はこの論文の発表と同時期に、Holmesさんはこんな論文も書いています。こちらにはIGF-1が出てきます。

Dietary correlates of plasma insulin-like growth factor I and insulin-like growth factor binding protein 3 concentrations.

Higher fat intake, in particular saturated fat, was associated with lower levels of IGFBP-3. We conclude that higher energy, protein, and milk intakes were associated with higher levels of IGF-I. These associations raise the possibility that diet could affect cancer risk through influencing IGF-I level.

より高い脂肪摂取、特に飽和脂肪は、より低いレベルのIGFBP-3と関連していた。我々は、より高いエネルギー、タンパク質、およびミルク摂取がより高レベルのIGF-Iと関連していたと結論します。これらの関係は、食事がIGF-Iレベルに影響を与えることによって癌のリスクに影響を与える可能性を高めています。

乳がんではなくがん全体のリスクが上がるという表現ですね。しかもIGFBP3/IGF-1比が重要、という説を出してます。これは確かにそうなんですが、プラント博士が本を出す前に気付かなかったんでしょうか?

日本語版「乳がんと牛乳」の原著である「Your Life In Your Hands」の出版は2000年です。そしてHolmesさんグループが乳製品と乳がんリスクに相関はない、むしろリスク下がるという上記の論文出したのは2002年。

1980年代から90年代にかけては脂肪と乳がんの相関ばかり書いてたHolmesさん達のグループが2002年に突然、乳製品との関連を調べ始め、結果はプラント博士の説とは違う結果だった、と。

プラント博士の本を否定したがってるとしか思えないんですが。

ちなみに日本ではどうかと言いますと。

内閣府の食品安全委員会では、IGF-1の発がん性は認めた上で「牛乳や乳製品の摂取ではIGF-1濃度は上がらない」というフランス食品環境労働衛生安全庁ANSESの説を採用し、牛乳に発がん性はないとの見解を出しています。これに関してはHolmesさんの、乳製品摂取でIGF-1が上がり脂肪摂取でIGFBP3が下がりがんリスク上がる、という論文の方が正しいような気がします。アメリカでは遺伝子組み換え肥育ホルモンが使われていてそれがIGF-1濃度を上げるっていう説もありますので、フランスと状況が違う可能性はありますが。何しろ内閣府のサイト、ANSESの報告書へのリンクが切れていて、内容が確認できません。困ったもんです。


そして、Nurse's Health Studyという調査そのものについて。

これはどういう調査かといいますと、英語版Wikipediaによれば、経口避妊薬の長期使用の影響を調べるために開始された調査のようです。

当初は医師の奥様に調査を依頼したのですが、医学的知識が不足していたため調査対象が看護師に変更になり、その後は調査内容を経口避妊薬や心血管疾患に限定せず、徐々に拡大していったそうです。

こんな記述もあります。

>The Nurses' Health Study faced controversy based on its recommendations. The study published in 1985 that taking estrogen as a part of Hormone Replacement Therapy would lead to large decreases in risk of heart disease (a third of the risk of those who did not take supplements).[42] However, the Framingham Heart Study fond the opposite result.[43] This controversy caused a 10 year follow up by the Nurses' Health Study which again concluded that risks of CVD were lower in samples currently taking hormones.[43] However, further studies such as the Heart and Estrogen-progestin Replacement Study found that estrogen tablets actually increase risk for heart disease. This was a double-blind trial following an experimental group of women who were given replacement therapy pills and a control group following the same procedure with placebos.[44] Findings from the study displayed a direct relationship between therapy and risk for heart disease, as opposed to the previously stated benefits.[45] This finding largely opposed the published NHS conclusion.

『看護師の健康調査はその推薦に基づいて論争に直面した。1985年に発表されたこの研究は、ホルモン補充療法の一部としてエストロゲンを摂取すると、心疾患のリスクが大幅に減少することを示唆しています(サプリメントを摂取していない人のリスクの3分の1)。[42]しかしながら、Framingham Heart Studyは反対の結果を好んだ。[43]この論争は看護師の健康調査による10年間の追跡調査を引き起こした。これもまた、現在ホルモンを服用しているサンプルでCVDのリスクが低いと結論付けた。[43]しかし、Heart and Estrogen-progestin Replacement Studyなどのさらなる研究では、エストロゲン錠が実際に心臓病のリスクを高めることがわかりました。これは、補充療法ピルを投与された女性の実験群とプラセボを用いた同じ手順に従った対照群を対象とした二重盲検試験でした。[44]この研究の知見は、前述の利点とは対照的に、治療法と心疾患のリスクとの間の直接的な関係を示した。[45]この発見は公表されたNHSの結論に大きく反対した。』

ほほぉ…エストロゲン錠と心疾患との関連について、他の調査、それも二重盲検での試験と違う結果が出てる、と…。

NHSの方は製薬会社に都合のいい結果だったようですね。Holmesさん達の論文も、特定の食品ががんリスクを上げることはないっていう生産者側に都合のいい結果となっていたり、運動はする方がいいというフィットネス業界に都合のいい結果となっていたり。



てことは。

NHSを利用した疫学調査って…。

本当に、信用できるんでしょうか?

もしかして、医療業界側が、論文捏造するための調査だったりするのでは…?????

 

まぁ…NHSについては各自の判断にお任せします。

他の周辺情報として、この論文が出た頃の乳がん治療の変化について、少し記しておきます。


2000年前後、がん関連では様々な薬が世に出ました。

アメリカでは1998年に認可された乳がん初の分子標的薬、ハーセプチン。HER2+タイプの方はお世話になっていると思います。

今では当たり前に使われるハーセプチンですが、この論文は2002年までのデータを使用しています。なので、この論文で「死亡者」とカウントされたHER2+患者の多くは、ハーセプチンではなく他の抗がん剤を使われていた可能性があります。

つまり、2002年までに死亡したHER2+患者は「ハーセプチンに間に合わなかった」方々なのではないでしょうか。2005年頃にはハーセプチン以前の状況は忘れられていたかもしれませんが。



また、2000年代はホルモン治療にアロマターゼ阻害剤が登場します。タモキシフェンより副作用が少ないということで適応が拡大されていきました。実際にはタモキシフェンのような「子宮体がん」のリスクは低いのですが「心疾患」リスクは上がるうえ、関節痛や骨粗鬆症になったりする薬なんですが。

今回の論文にもアロマターゼ阻害剤などの言葉が出てきます。しかし詳しくは書かれていません。当時はアロマターゼ阻害剤がどういうものか、まだ判断がつかなかったのかもしれません。アリミデックスが初期乳がんにも適用されることになるのは2006年、つまりこの論文が出た次の年です。



さて次回は、この辺りの内容も踏まえた上で、総合的な考察を行いたいと思います。



5/30 追記

乳製品摂取と乳がんに関するHolmesさんの論文

Intake of dairy products, calcium, and vitamin d and risk of breast cancer.

これに対する反論は「乳がんと牛乳」p150-152に訳者注として掲載されていました。読み飛ばしておりました。

以下、引用します。

>酪農業界にとっては一大事なので、プラント教授の「乳製品主犯説」(本書の初版は2000年)を撃破するために多くの知識人が動員されたらしい。その際、反対論者が強力に援用したのはハーバード大学の「乳製品と乳がんに関する研究」であった。その理由は、この研究がアメリカ国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて、ハーバード大学という超一流の研究機関が、8万8691人もの看護師の乳がん発生を16年にわたって追跡した大規模疫学研究(Harvard Nurse's Health Study:HNHS)であり、しかもその成果が、アメリカがん研究所雑誌(Journal of the National Cancer Institute)という一流のがん学術誌に掲載されたからである。

>この論文を批判的に読んでみよう。

>本来のコホート研究(前向き研究)なら、乳製品をとっていないグループととっているグループのあいだで乳がんの発生率を比較するのが筋であるが、この研究では、乳がんの発生した女性が発生前に乳製品をどのぐらい摂取していたかということだけを問題にして、乳がんが発生しなかった8万5209人の食生活はまったく問題にしていない。

>乳がんが発生する前の乳・乳製品の摂取量を3~5段階にわけ、摂取量別に乳がんリスクを計算している。摂取量のもっとも少ない人の乳がんリスクを1.00として、摂取量が増えるとリスクがどうなるかを計算したのである(相対リスクという)。

>この研究で、乳製品の摂取量が多い人、あるいは少ない人というのはどんなひとなのだろうか。一般に成人女性の1日あたりの摂取カロリーは日本でも1800~2000キロカロリーとされているが、驚いたことに、乳がんの発生が多かった牛乳の少量摂取群の女性たちの1日あたりの平均摂取カロリーはたったの1398キロカロリーであった。この人たちの平均体重は記録されていない。身長だけである。身長164センチメートルの看護師が、1日1400キロカロリーの摂取カロリーでまともな看護労働ができるだろうか。しかも、この人たちの脂肪のエネルギー比(脂肪カロリーが総摂取カロリーに占める割合)は47.1パーセントである。総摂取エネルギーのほぼ半分を脂肪から摂取していることになる。こんなにたくさんの脂肪をとっている人が乳がんになりやすいことは肯ける。脂肪摂取量がかくも多い人には肥満が多いからである。しかし、体重の記録がない。1日にわずか1400キロカロリーの人が肥満であるわけはない。この論文は矛盾に満ちている!

>この研究が採用した食品接種頻度調査には大きな欠陥がある。調査票に記載されている食品の摂取量と頻度を自己記入して郵送するという方式であるが、回答者が食品の摂取頻度を正確に記入しているという保証はまったくない。

だそうです。

「この論文は矛盾に満ちている!」

まさに、この一文に尽きますね。

2019年3月 1日 (金)

乳がんブログ?

小林麻央さんが乳がん公表後、ブログを書いていたことは広く報道されました。実際に読まれた方も多いのではないでしょうか。

一方、芸能人ではない一般の乳がん患者が書いたブログも多数あります。

私も、自分でブログを書きながら、いろいろ検索してみたりしています。特に、抗がん剤治療の継続を断ってからしばらくして、がんが悪化し始めた頃、自然療法関連の乳がんブログを読み漁っていた時期がありました。

中には、ご家族の方からの「ブログ主は〇月〇日、…」という記事が最後になっているものも…。

乳がんの5年生存率、10年生存率は、他のがんと比較すれば高い数字ではあるものの、小林麻央さんやさくらももこさんのように、平均寿命には程遠い年齢で鬼籍に入られる方も少なくありません。

いまこの瞬間も、乳がんの治療を受けている患者さんは日本各地に大勢いらっしゃると思います。そして、その経験をブログにつづられている方も。

しかし。

これらのブログ、本当にそのがん患者本人が、自身の経験をもとに、書いているんでしょうか?

そう疑問に感じるようなブログを、発見してしまいました。

Thinkpink_6

リンクは貼らずに画像のみにしますね。画像のURLは加工してないので、この通りにタイプすれば行けるはずです。

2019-2-12の記事には、こんなことが書かれてます。

>しこり全体を覆うようにラップを貼って、その上からガーゼのハンカチをあてて、1日に何度か取り替えていますが、

>10枚あると、うまくローテーションできるし、足りなくなりそうな時もすぐに乾くので、

>日によっては血が滲むこともあるのですが、この洗剤でつけおきすると、すっきりと汚れが落ちるので安心です。

はい?

ええと。

一日に「何度か」という表現だと「2、3度」よりは多そうですよね。5、6回ぐらい?分かりやすく5回としましょうか。

つけ置き洗いなので、交換してすぐには洗えません。しばらく放置。その後、ガーゼ一枚で洗濯機回すわけにもいかないでしょうから、まとめ洗い。

一日終わったら、或いは翌朝、洗濯して干す。そして残りの5枚を使用。

その日、もし、雨が降っていたら?ガーゼですよね。乾きますか?

洗濯関係の記事には風呂場に干すとか書いてありましたが…。

これでローテーション?かなりなヘビーローテーションですねぇ。

私が以前出血していた時は、基本は一日1回交換の布ナプキン5枚でも足りなくなることがありました。洗濯物が少なく洗濯機を回さない日や、交換後つけ置きを忘れていた時、雨天続きが重なったり外に干したものが雨でぬれてしまった場合など。

しかも、当ててるだけでは落ちたりズレたりします。テープで止めます。そのテープがすぐなくなります。外出時、持っていくの忘れると交換できません。面倒です。

私はモーズ軟膏による治療でかなりの部分の腫瘍を削り、放射線治療でさらに改善し、今は下着に少しシミがつく程度になりましたが。

この方は、一日何度もラップとガーゼ交換してるんですよね…相当、手間ですよ。面倒ですよ。長時間の外出なんて出来ませんよ。ましてや仕事なんて(でもブログ主仕事してるらしい2018-11-21参照)。



なんか…怪しいなぁ…。



上記記事にはハンカチと洗剤、洗濯の記事(2018-11-27)には洗剤が複数紹介され、それぞれネット販売先へのリンクが貼られていました。他にもまこも茶とかヒマシ油とか、いろいろと。



あぁ…仕事ってのはアフィ(以下略)。



そうか…だからそのための…。

私も昔いろいろ貼ったのをそのままにしてますから、他人様のことは言えませんけどねwww



しかし、こういうの放置しておくと、読んで真に受けた乳がん患者さんが出血してても治るかもしれないと放置して、出血性のショックで救急搬送されないとも限りません。



困ったもんです。

2018年6月21日 (木)

乳がんヨガ

先日、こんなイベントがあるのを発見しました。

【募集開始】乳がんヨガ指導者養成講座 つくば市

ほぉ。以前、ヨガとは言えないヨガセラピーの講師を務めた方が、今度は「指導者養成」ですと。

なーにやってんだか。

と思ったら。

乳がんヨガ」、大々的に宣伝してやってるんですね。

しかも、サイトでは「術後の回復にリハビリとしてのヨガを推進しています」とありますが、指導者養成講座へのリンクの画像には「乳がん患者さんにヨガを教えてみませんか」とあり、対象が「乳がん経験者」なのか「乳がん患者」なのかハッキリしません。

一応、サイトでの文章読む限りは対象は「乳がん経験者」のようです。おそらく医療広告ガイドライン対策でしょう。

どうやらこの「メディカルヨガ」。こちらの本を教科書にしているようです。

メディカルヨガ-ヨガの処方箋

中古品を買って読んでみました。amazonよりヤフオクが安かったのでブックオフヤフオク店からの購入です。

この本自体は、真面目な本です。ヨガの基本も書かれているし、各症例に応じた内容は医学的根拠を伴って書いてあります。食事のアドバイスもありますし、安全にも配慮しています。

しかし「乳がん」の章はありません。

あるのは「がん」の章。第12章です。

その章の最初のページ(p200)に、ある乳がん患者さんが「慢性病患者にヨガを教える正看護婦(原文ママ)」からヨガセラピーを受けることになるまでの経緯が記載されています。

手術後の、化学療法中に受け始めたのだそうです。

次のページには「ヨガができること」という項目があり、こう書かれています。

以下引用

-----

ヨガを通じ、がん患者は化学療法などの治療の期間やその後のストレスを和らげ、副作用を乗り切ることができるでしょう。がん治療を受けている人は通常、力強い動きのヨガは行いませんが、ヨガのポーズはそれぞれの身体の状態に合わせて調整できます。心身回復の姿勢と簡単な呼吸法(プラーナヤーマ)は活力を与え、なおかつ、リラックス効果があり、また身体に負担をかけることはほとんどありません。瞑想やイメージ・トレーニングには、深いリラックス効果があり、不安を和らげることができます。

-----

この後、瞑想、呼吸法などのについての記述が続きます。

注目すべきはここです。

>ヨガを通じ、がん患者は化学療法などの治療の期間やその後のストレスを和らげ、

化学療法を受けていることが前提のようです。

何故か?

以前書きましたね。乳がん患者が運動するとどうなるか。

実際、p202には「痛みがひどくなったとの否定的なコメントをした人がいました。」との記述があります。

科学的根拠としては、よくある「QOLの向上」と、p203で「悪性黒色腫患者の疲労感、抑うつ感、精神的混乱を大きく和らげ、がんと闘うナチュラルキラー細胞の働きを活発にすることがわかりました。」
とあるのみです。

6年後の追跡調査で、悪性黒色腫患者のうち認知行動療法(ヨガとは書かれていない)を受けた34人のうち死亡者は3名、比較対照群、つまり認知行動療法を受けなかった34人のうち死亡者は10名。
悪性黒色腫とは皮膚がんの一種で、メラノーマと呼ばれるものです。オプジーボが適用されることでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

ほくろのような黒いシミが特徴。紫外線曝露と機械的刺激が影響しているのではないかと考えられているようです。

NK細胞が増えたとはいえ、6年後の死亡率が1割弱。行わなかった場合と比べて確かに減ってはいます。

おそらく、紫外線曝露が多かった方がそれを減らし、認知行動療法を行うことで免疫が改善した、ということはあるのかもしれません。

ですが、機械的刺激でメラノーマ発症された方が、認知行動療法による機械的刺激で悪化された可能性はないのでしょうか?

さらには、確か、NK細胞はただ増やしただけでは効果なかったのではありませんでしたか?

呼吸法や「マインドフルネス瞑想法」による効果はあるでしょう。もしかしたら免疫チェックポイントを改善する方向にはたらくこともあるかも知れません。それならそれで、アサナを行う前にしっかり呼吸法や瞑想法を行っておくべきです。



何故なら、p212を見てください。



「スーダ・キャロリン・ランディーンはクリパル・ヨガの指導者で、三度にわたり乳がんを克服したのですが、手術後1週間はストレッチを控えることを勧めています。また、自らの経験から、控えめにヨガを楽しむことの重要性を述べています。」



この記述からは何ともいえませんが、おそらくこのスーダ・キャロリン・ランディーンは、ヨガの指導者として働きながら、乳がんが再発した経験を持っているのではないでしょうか。

だから、自分の経験から、ヨガは控えめにしなさいよ、とアドバイスしているのではないでしょうか。



メラノーマや内臓系のがんなど、ホルモンが関連しないがんも含めた「がんヨガ」ではなく、ホルモンの影響の大きい「乳がん」患者や経験者を対象とした「乳がんヨガ」。

大病院が率先して行うのも理解できます。何しろ抗がん剤やホルモン療法などとの併用必須ですからね。併用しなければ悪化します。間違いないです。



ちなみに、他にもいろんなヨガやってるらしいですが、「メディカルヨガ」の本に出てくる「うつ病」「不眠症」「糖尿病」「繊維筋痛症」などのクラスはないようですね。

「うつ対策ヨガ」なんて流行りそうですが…

何故やらないか?反西洋医学系の人ならピンとくるでしょう。



「向精神薬が売れなくなるから」



結局、こういうことです。あー疲れた。アイアンガーヨガの本に載ってたアサナでリラックスしよう。

機会があれば、「メディカルヨガ」と「アイアンガーヨガ」の違いも書くかも知れませんが、それは、問い合わせの返事が来てからですね。

2017年12月12日 (火)

祝 受賞!

先日、医師兼ジャーナリストの村中璃子さんが、マドックス賞を受賞されましたそうで、おめでとうございます。

ところで

「医学界のピューリッツァ賞」という表現も散見されるこの「マドックス賞」ですが、私は失礼ながらその存在を村中さんが受賞するまで存じませんでした。

さて、どのような賞なのでしょう?

ジョン・マドックス賞(Wikipediaより)

ジョン・マドックス賞は、公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる国際的な賞[1]。
賞に名の冠された、ジョン・マドックス(en:John_Maddox)は、科学雑誌『ネイチャー』の編集長を22年務め、同誌を一流専門誌に育てた。熱意とたゆまぬ努力をもって科学を守り、困難な議論に関わり、他の人々もそこに加わるようインスピレーションを与えた人物である。書き手であり編集者としての長い人生を通じて、人々の態度と考え方を変え、科学の理解と認知を高めるために戦い続けた。
本賞は、マドックスが長年編集者を務めた科学誌『ネイチャー』と、王立協会での交流のあったマドックスの友人、ラルフ・コーン卿の設立した「コーン財団」、マドックス卿が2009年に他界するまで役員を務めた「センス・アバウト・サイエンス」の共催によるものである。
マドックス卿について、友人で科学者のウォルター・グラッツァー氏はこう語っている。
マドックスは、科学的発見や技術の進歩における、ありとあらゆる新しいこと、刺激的なことについて、誤り、不誠実、偽物であると信じたことは恐れずに批判しながらも、精力的に書きつづけた。その仕事はユーモアと優雅さにあふれるものだったが、決して難しい議論から逃げることは無く、むしろそれを楽しんだ。彼の率直さは、時には敵を生み、しばしば上層部を怒らせたが、それよりももっと多くの仲間をもたらした。人々の態度や考え方を変え、社会が科学をより深く理解するよう戦い続けた。[1]

ふむ。

Natureはともかく、この「コーン財団(the Kohn Foundation)」と「センス・アバウト・サイエンス(Sense about Science)」ってのは何ぞや?またしても私の知らないものが出てきました。

センス・アバウト・サイエンスについては英語版のWikipediaにありました。アストラゼネカやファイザーなどの製薬会社からの寄付で運営されてるそうです。

For example, for the fiscal year ending 5 April 2008, the trust received £145,902 in donations. Disclosed corporate donations comprised £88,000 with pharmaceutical company Astra Zeneca donating £35,000.[71] Previous donations included other pharmaceutical industries such as Pfizer.[71]

ふーん。もしかしたらGSKやメルクも?

まぁいいや、ではコーン財団はどうなんでしょう。

…?

検索してもヒットしない…?

ここのサイトのリンクは切れてますね。

仕方なくツイッターを検索してみると、こんなツイートが。

@MedecineLibre
John Maddox prize attributed to MD @rikomrnk for her great work to reaffirm anti-HPV vaccine safety in Japan. Problem: this prize awarded by @senseaboutsci is funded by The Kohn Foundation who owns £145.366 of HPV vaccine producer @GSK shares. Her work deserved a COI free prize.

COIとは「利益相反」のこと。

GSK(グラクソスミスクライン)はHPVワクチン「サーバリックス」のメーカーです。

そのGSKの株式を所有しているコーン財団が、HPVワクチン推進派の村中さんに賞を出したことを

「利益相反の自由賞」

と皮肉っているのですねw

なるほどぉ~www


しかし、受賞者の村中璃子さん。何かいろいろご不満があるようです。

メディアが一切報道しない!というのがその理由。

@rikomrnk
N社は巨大で影響力も大ですが、良識ある記者のいる他のメディアから取材も来てます。日本の記者だけ低レベルで世界に取り残されてるなんて思いたくない。私の受賞は大メディアのカルト化を前にメディア界が危機感を新たにし、専門家と社会をつなぐいい記者がたくさん育つきっかけになると信じてます

大メディアが「カルト」なんですと。

まぁ、ある意味では当たってますが…ちょっと違うんじゃないの?

でも、私も正直いって、もう少し報道されるかと思ってました。だって大メディアは製薬会社とズブズブだから。しかし、今回のこの受賞はなかなか報道されない。

なんでだろう?

ということで、再検索。

村中璃子さんのWikipediaページ

村中 璃子(むらなか りこ)は、日本の医師、ジャーナリストである。WHO(世界保健機関)の医療社会学者、外資系製薬会社の疫学調査担当ディレクターを経て、臨床医並びにペンネームでのフリージャーナリスト活動を行う。

東京都生まれ。父は政治記者。外祖父は医師。一橋大学出身の探検家兼外科医の関野吉晴の本を読んだのをきっかけに、一橋大社会学部に進学。在学中は中東などに一人で訪れ、国際社会学の梶田孝道教授のゼミに1期生として参加。同学部卒業後、一橋大学大学院社会学研究科国際社会学専攻修士課程修了、社会学修士。同博士課程進学[1]。

一橋大学大学院社会学研究科博士課程中退後、北海道大学医学部卒業。医師免許取得後、世界保健機関西太平洋地域事務局(WPRO)新興・再興感染症チームでアウトブレイクサーベイランスやパンデミック対策に従事。報道監視業務や、医療社会学者の肩書でのアウトブレイク後の農村調査などを行った[2]。

日本に帰国後、外資系製薬会社のディレクターとなり2年間肺炎レンサ球菌の疫学調査に従事するが、2009年新型インフルエンザの世界的流行を機に世界保健機関に戻る。その後大学時代の友人である新聞記者に、メディア関係者の懇親会に招かれたのを機に、フリーのジャーナリストとなる。2014年の西アフリカエボラ出血熱流行の際には、バイオセキュリティーの観点から論考を発表し、読売新聞の「回顧論壇2014」で、遠藤乾による論考三選の一本に選ばれた[3]。2016年京都大学大学院医学研究科非常勤講師[4][5]。

2017年、ヒトパピローマウイルスワクチンの問題を扱ったことなどが評価され、『ネイチャー』誌等が主催し、「公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人」に対して贈られるジョン・マドックス賞を、日本人として初めて受賞した[6][7]。

公式ページのプロフィールはこちら

下の方に一橋大の広報誌へのリンクがありますね、pdf形式の。

そこを開くと、こんなことが書かれています。

東京で生まれ育った村中。父親は政治記者として活躍した根っからのジャーナリストだ。故・大平正芳元首相と親交が深く、大平氏の葬儀を伝えるテレビニュースでは、親族と並んで最前列に立つ姿が映された。

一方、母親の家系には祖父母の代から医者が多い。現在の村中の職業は、まさにそんな両親の血が混ざり合った産物のように思える。

ふーん、ジャーナリスト活動は親の七光…いやいや、優秀な家系のお家にお生まれになったのですね。一般庶民としては実に羨ましい。

一橋大在学中の話は、詳細に語ってますね。

修士まで出てるし、一橋大の広報誌なんだから当然といえばですが。

海外旅行しまくり。いいですね経済的余裕のある人は。ああこれも僻みになってしまいますねぇお恥ずかしいw

しかし、医学生として、医師としての記述はこれだけ。

6年間、札幌で暮らしながら医学を学んだ村中は、縁あってWHOで働くことになる。
『臨床医としての仕事も興味深く、やりがいのある経験でした。しかし、社会学を学んだ経験も活かし、何らかの形で海外医療に携わりたいという初心は変わっておらず、WHOで働かないかという話をもらった時には二つ返事で引き受けました』

…?

そういえば。

以前から、「村中璃子」はペンネームであり、本名を公開しない、名刺すら持たないジャーナリストということで、一部で話題になってはおりました。

「村中璃子」さんはジャーナリストなのだろうか?

医師兼ジャーナリストなら、どちらにおいても自らの言論に責任を持つ、という意味で本名で活動するのが筋では?という内容。私も同意見です。

しかも、医師資格に関してはこんなことも。

◆村中 璃子(中村理子)さんが医師免許を有してるかについて

村中璃子さんの本名は「中村理子」らしいとの噂。

しかしその名前での医籍登録は一名のみ、年齢的にどうなの?本当に医師免許持ってるの?という内容。

ちなみに医籍登録されている中村理子さんは、村中璃子さんとは別人のようです。

@Puku_Pukuro
村中璃子の本名が中村理子とはわかっていますが、医師とは確認できていませんよ。医師等資格確認検索で「中村 理子」を検索すると1件(平成6年に医籍登録)出ますが、この方は佐賀医科大学出身の精神科医です。吉村猛先生はどうやって彼女が医師と確認したのでしょうか。

ふーん…

ん?

てことは

村中璃子さん、医師免許持ってないの?????

個人の公式サイトには「医師、ジャーナリスト」ってしっかり書いてありますが…。

???

医師法 第18条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

前にも書きましたが、本名明かさないで医師として活動するのは、この条文に反してる可能性があるんですよね。

メディアが書かないのも分かります。医師として活動してるのに、医師免許が確認できないような人のニュース、怖くて出せないでしょう。ましてそういう人が書いた本の出版なんて無理。

近藤誠医師がワクチン本出した時には村中さん、自分は出せないのに、と怒ってらっしゃいました。

医師免許を持っていることが証明できれば、出版も可能なのでは?と思いますけど。

医学部卒業しただけで国家試験受けてない、或いは受けたけど落ちた、って可能性もありますね。

その辺、北海道大学としてはどうなんでしょうねぇ?

でも、HPVワクチン推進してるのがこういう人だと判明して、むしろ納得しました。

だって、テレビで見たHPVワクチン被害少女達。YouTubeでは世界中のHPVワクチン被害者の動画が見れますが、あの症状を

「心因性」

「ヒステリー」

それで片付けるって…とても医師とは思えませんから。

しかも「日本だけ」って言い張ってるし。

今後、HPVワクチンがどうなっていくのかは分かりません。

しかし、子宮頸がん予防にはワクチンを打つのではなく、性生活も含め生活習慣を悪化させないことで予防していく、という方法が賢明だと思います。



最近わりと流行ってる、昔は少なかったであろう明るい色の「おばあちゃんの着物」をお召しになってマドックス賞を受賞された村中璃子さん。

受賞、お目出度うございます!!!

2017年7月26日 (水)

標準治療と代替療法 2

お久しぶりです。

ひと月ほど前の話ですが、小林麻央さんがお亡くなりになりましたね。ご冥福をお祈りいたします。

彼女のブログによると、最初は手術を拒否、抗がん剤治療したものの改善が見られず、結局手術、放射線治療も行ったもののお亡くなりに、ということらしいです。

メディアはこういう報道はせずに、気功がどうの水素温熱療法がどうのと騒いでますが…医療業界に牛耳られると「報道の自由」なんてどこへやら。国ではなく企業集団による言論統制。これが「資本主義」なんですね。

さて

小林麻央さんも受けた、手術・抗がん剤治療・放射線治療をがんの「三大療法」といい、日本ではこれが標準になっています。

ところで、どうしてこれらの治療法が「標準療法」で、温熱療法や食事療法などは「代替療法」、標準に代わるものという扱いなのか、ご存知ですか?

「そりゃ、三大療法が効果があるからでしょ?」とお答えになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、残念ながら違います。

日本も戦前は、漢方医学や鍼灸などで病気を治すケースもありました。

しかし戦後はアメリカの言いなりです。

では、アメリカではどうしてこれらが標準となったか?

ユースタス・マリンズ著「医療殺戮」を参考に説明いたします。

19世紀末までは、医者は自由契約で診療していたそうです。ですが患者は殆ど金持ち階級、一般庶民は殆ど医者にはかかりませんでした。

王様の病気を治せば莫大な富が得られます。しかし反面、失敗したら殺されることも。

このようなリスクを減らすため、医者は少数精鋭の同業者と集まり情報交換し、仕事上のメリットとリスクを平均化しようと試みたらしく、医療独占支配を始めました。イギリス国王ヘンリー八世の時代です。

1511年に定められた法律で、「専門委員団」の許可なしに内科や外科を開業してはいけない、と定め、続いて医科大学を設置し、医師資格者とそうでない者を分け始めました。

ところが、この法律に基づいて排除されていったのが、貧しい者達を相手にしていた無資格の医者。無資格であっても貧しい者達を救っていた者がいなくなり、甚大な被害が出ました。そのためイギリスでは「無資格の医師の罪」を免除しました。

しかしアメリカでは違いました。

19世紀の医学校では、ホメオパシー(同種療法)が主流でした。

「ホメオパシーって、レメディっていう砂糖玉なめるアレ?」という声が上がるかもしれません。

それも一種のホメオパシーなのですが、ホメオパシーとは、「その病気や症状を起こしうる薬(やもの)を使って、その病気や症状を治すことができる」とする、18世紀末から19世紀初期にかけてザムエル・ハーネマンが唱えた治療法です。

例えば花粉症の治療に「舌下免疫療法」というのがありますね。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含むエキスを舌の下に投与し、体内に吸収させる方法で、この投与を継続的に行うことで症状を軽減させていくものです。これもホメオパシーの一種。それらを全て含めての「ホメオパシー」です。

「でも、ホメオパシーってアレルギー以外に効くの?」って疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

1854年のコレラの大流行の際、ホメオパシー治療では死亡率16.4%だったのに対し、アロパシー(対症療法、今の日本での標準医療)治療では50%だったとか。

また、猩紅熱、ジフテリア、百日咳、はしかによる小児死亡率が90%も低下したのは1860年から1896年の間。抗生物質や予防接種の導入前の話。ホメオパシー医療もこれらの死亡率の低下にかなり貢献したと思われます。

1847年の米国医師会設立当時も、ホメオパシー医師がアロパシー医師の二倍以上いたそうです。

ところが、米国医師会は、ホメオパシー医師を排除しだします。

どちらも効果がある治療法なら、共存可能なはずだし、得意分野毎での棲み分けも可能かと思われますが…。

医療を独占支配したのは、石油独占支配に成功したジョン・D・ロックフェラーでした。

そして、消滅寸前だった米国医師会を、製薬会社を巻き込んで支配し強大な権力を得たのがジョージ・H・シモンズ博士。悪名高い「ニセ医者」で、実際はジャーナリストでろくに診察したことはないそうです。しかも当初は、ホメオパシー医師である旨、広告に記載しておりました。

このシモンズ博士と、片腕だったモリス・フィッシュべインは、薬の認可などで製薬業界から多大な利益を得ました。

製薬会社の株を買う→薬を認可→株が上がる→下がる前に売り抜け

なんてインサイダー取引w

こうして、製薬会社と癒着して危険な薬でも何でも認可する、という体制が出来たのです。

例えば、メルク社の「トリパルサミド」という薬。

梅毒の症状を抑えるための薬でしたが、ヒ素を含んだ危険な薬でした。実際、開発者のポール・エリックはこの薬のせいで視神経が委縮して失明する恐れがあることを発見してこの薬を放棄しました。しかしエリックが警告しても、米国医師会やメルク社、ロックフェラー医学研究所は受け入れず、販売を続けました。

薬害はこの頃から、だったんですねぇ…。

逆に、ヨーロッパで実績のある敗血症の薬、スルファニルアミドはなかなか認可されませんでした。

製薬会社がフィッシュベインの望みどおりの対応をしなかったので。

ルーズベルト大統領の家族の一人が敗血症になりかかって急遽取り寄せて使用、ようやく認可されたそうです。

さらに、1962年、議会は製薬会社に、医薬品の効能の証明を義務付ける厳しい規制法案を可決しました。

困ったのは製薬会社です。何しろ効能のない薬を売っていたものですから。

米国医師会は「小競り合いをすればよい」というアドバイスを与えました。

薬の効能の証明から目をそらすために、他をけん制しろ、という意味だったようです。

「ニセ医療撲滅戦争」勃発です。どこかの匿名医師みたいですねw

具体的には

・カイロプラクティック撲滅
・「ビタミンをもっと摂取しましょう」などと食事療法めいたビラ配りも禁止
・薬草などを原料とした膏薬、民間薬の規制(薬害報告などは一切出ていない)

特に「レアトリル」(ビタミンB17、枇杷の葉や種、梅干の種などに含まれる天然の抗がん物質)を扱う業者は徹底的に「手入れ」を行われました。がんは当時から製薬会社のドル箱、抗がん剤をもっと売りたいのにこういうものが売られていては邪魔だったからです。

反面、石油系製薬会社の薬は保護されました。

しかし、この「ニセ医療撲滅戦争」は長くは続きませんでした。

薬草を細々と販売する老人を刑務所に入れる、などという恐怖政治への反動が起こったのです。


では、放射線治療はどうでしょうか。

放射線治療の始まりはメモリアル・スローン・ケタリング病院と関わりのあるフェルプス・ドッジ社会長のジェームズ・ダグラスが、自分の鉱山に放射性物質の鉱床を発見したことがきっかけで、政府の鉱山局を動かし、国立ラジウム研究所を設立したあたりから始まります。

ジェームズ・ダグラスは、メモリアル病院に10万ドルの寄付を約束しました。但し自分の主治医を雇う事と、メモリアル病院をがん治療専門とし、がん治療にラジウムを使うという条件付きでした。

メモリアル病院はこれを受け入れました。

当初は放射線はがんに効果がある、と信じてのことでした。

1924年、メモリアル病院では18000ドル分のラジウムを治療に使い、70000ドルの治療費を請求したそうです。

しかしどれだけ実験しても治療しても、効果は確認できませんでした。

「症状が重いため放ったらかしにされた患者の方が、症状が軽くて治療を受けた患者よりも、実際の生存期間は長くなっている」

元上院議員のヒューバート・ハンフリーは1973年に膀胱がんが見つかり、X線照射の治療を受けて1976年に主治医は「われわれの見る限り、上院議員のがんは完治した」と発表しました。さらに放射線治療の宣伝のために頻繁に引き合いに出されました。薬剤師の資格を持った議員なので医療業界の広告塔となったのでしょう。

しかし本人は、死ぬ直前には放射線治療に幻滅していました。その後ハンフリーは抗がん剤治療を受けて衰弱、最後にはメモリアル病院に戻ることをきっぱりと拒絶しました。そして1978年1月に亡くなりました。

さてこのような「標準治療」ですが、1987年、米国ガン協会の理事も務めたアンナ・ローゼンバーグがガンの治療法を「外科手術・抗がん剤・放射線療法」に限るべき、と言い出しました。

しかし1988年2月にはワシントン・ポスト紙に「がん治療は有害」という記事が掲載されます。

どうやらこの頃から、「外科手術・抗がん剤・放射線療法」ではがんは治らない、ということが一般庶民にもわかってきたようです。

最近になってようやく「ホリスティック医療」という、病気を身体の組織全体でとらえる新しい動きが起こってきました。

しかし日本ではまだまだです。何しろアンナ・ローゼンバーグの「がんの治療法を『外科手術・抗がん剤・放射線療法』に限るべき」という発言、これを「がん対策基本法」で実施してしまっていますから。

しかもこの法律の制定は平成18年、2006年です。「乳がんと牛乳」などの著書がすでに出ていた時期です。欧米では既に三大療法以外の治療法へ舵を切った後に、です。

敗戦国だから仕方ないとはいえ、上記のようなアメリカ発の滅茶苦茶な医療を押し付けられてばかりでは、助かる命も助かりません。

小林麻央さん。改めて、ご冥福をお祈りいたします。

2019年8月
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Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
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