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Sage's List

2019年4月15日 (月)

論文の読み方 レファレンス編

今回も下記の論文の内容についての記事です。

Physical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis  

『乳がん診断後の身体活動と生存』

前々回はAbstractについて、前回は本文の内容について、それぞれ解説をいたしました。

お読みいただければ、論文の大まかな内容は把握できるかと思います。



しかし、論文に書かれている内容は、論文本体のみならずその周辺の情報も考慮して解釈せねばなりません。

前回の最後にはArticle Information「記事情報」欄の記述についてご紹介しました。

今回はそのArticle Informationの後の、論文の一番最後に書かれているReferencesの内容について解説したいと思います。

他にも論文に使われたNHS(Nurse's Health Study)とはどういう調査か? といったことや、著者個人及びこの研究チームの他の論文などの実績、論文が出された年代周辺の乳がん治療の動きなども考慮する必要があるのですが、それらの情報や考察などはまた別途記事にします。

論文一つでこんなに幾つもの記事が書けるとは思いもよりませんでした…。はぁ。疲れる…。

気を取り直してReferences「参考文献」。

論文の文中には随所に小さな数字が書かれておりますが、その部分の内容は該当する番号の文献を参考に書いている、という意味です。そしてそれらの文献は論文末尾にまとめて書かれます。それがReferences「参考文献」です。

これらの文献に果たして何が書かれていて、どの部分を参考にしているのかは論文を読み解く上でかなり重要です。しっかり読みこんでみなければ、著者らの考え方が分かりません。中には参考文献と全く同じようなことを書いただけのパクリ論文みたいなものもあったりしますし、参考文献とは明らかに違う結果が出てもそれが何故か分からないという意味不明な論文や、よくわからない結果となってしまったが明らかにするにはこういう調査が必要だろう、などの誤魔化しがある論文はよくあります。

この論文の場合はどうでしょうか。

この論文の参考文献は58本記載されています。ネット上でフルテキスト確認できるもの、登録その他が必要なもの、紙の雑誌からコピーするほかないものなどいろいろありましたが、出来るだけ集めて確認してみました。

この中で重要なのは5,7,31,40。特に40は全文を転載したいぐらい。ネットでフルテキスト読めないのが残念です。

1-3は乳がん診断後のQOLに関する論文。

1はリハビリについて、2は化学療法の予後因子について、3は生存率とQOL測定値の相関について。しかしこの論文ではQOLはあまり重視してないので、ここら辺は興味があったら読む程度でいいでしょう。

4についてはこの著者は『WHOが活動的な女性の乳癌発症リスクが20〜40%減少すると推定した』と書いてますが、元の文献では『癌の約4分の1から3分の1が過剰な体重および身体的不活発の原因であると推定した』つまり身体的な活動だけでなく「過体重」を問題視しているのです。ですが、この著者は無視してます。 

重要なのが5-7

この論文では「身体活動量が増えればエストロゲンレベルが下がる」と書いてあり、参考文献として5,6,7と3本の論文が表示されています。

5は無月経アスリートのホルモンレベルを、正常アスリートや殆ど運動しない女性達と比較したもの。

6大学生28人を対象に、一日4-10マイル(6.4-16.1km) 走らせ、月経やホルモンレベルがどうなるか調べたもの。

7乳がんの過体重および肥満の女性は、痩せてる女性と比較して生存率が劣るので肥満とホルモンの関連を調べてみた、という内容。

えーと。

これらの内容は「運動しすぎると女性ホルモンのレベルが下がって無月経になることがある(ならないこともある)」(5,6)「肥満女性は痩せてる女性よりエストラジオール濃度が高い」(7)という話であって、「運動すればエストロゲンレベルが下がる」とは微妙に違うんですよね…。

しかも5の文献は、月経に異常があるアスリートとそうでないアスリートの違いは「摂取エネルギー量」、つまり無月経アスリートは正常アスリートよりも摂取エネルギーが少ないので、更なる介入調査が必要、と締めくくられています。その後の調査では、無月経になるかどうかは摂取エネルギーとのバランスによるという結果が出ているようです。

ちなみに今回の論文のデータでは9-14.9MET-h/wkのカテゴリの方々が死亡率も再発率も一番低かったのですが、そのカテゴリでの摂取エネルギー(Intake)が一番多くなってました。おかしいですね、これではエストロゲンレベルは下がらないはず。しかしこの著者は何らコメントしていません。

7は性ホルモン濃度は体重と相関がある、性ホルモン結合グロブリン濃度は体重と逆相関がある、という内容です。もしエストロゲンレベルが低い方がリスク下がるなら、体重は少なければ少ない方がリスク下がるはずですが、他の参考文献(40)ではBMI22-25あたりの「標準的な体重の女性」が一番乳がんリスクが低いと出ているのです。このあたりの齟齬に関してもコメントなし。

8-9の番号の所には『乳がんと物理的にアクティブな女性の間で低エストロゲンのレベルは、潜在的に、生存率を向上させることができます。 』とありますが、

8はエストロン(E1)とエストラジオール(E2)の比率やエストロゲンレベルとの再発までの期間の相関の話であって、「物理的にアクティブ」とは関連ありません。

9は手術前のエストロゲン値の話。エストロゲン値低い方が生存率が高いというデータではありますが、手術を受けた後しばらく運動できない状態が続いた後での再発率等も手術前のエストロゲン値と関連があった、という話ですから「物理的にアクティブ」とは関連ありません。

10は、化学療法を受けた乳がん患者の体重増加と身体活動の欠如との関連。特にサルコペニック肥満について。

11,12は、体重増加は予後が良くないという内容。

13-22は診断時の過体重、診断後の過体重と体重増加がいかにリスクを上げるか、という内容。

私の場合、該当しないんですけどね…。乳がん発覚時から種々の治療を経てもなお乳がんが進行してる今まで、BMI25超えたことないんですよ。BMI18に下がったこともあるぐらいで。小林麻央さんも激痩せしてましたしね。

「体重増えるのは良くない」と繰り返し、そのためには「運動が良い」と刷り込み、「体重少なければいいのね!」と思い込ませることで「激しい運動で痩せすぎる」方向へ向かわせ、結果として「リスク上がる方」へ誘導してる、みたいな印象受けるのは私だけでしょうか?私自身、一時期はその流れに乗っかってしまいまして、それを反省している所なんですが。

23身体活動と食事の摂取量およびそれらの体重との関係を評価したコホート研究のメタアナリシスにより、低レベルの身体活動が摂取エネルギー過多よりも体重増加や肥満のリスク増加と関連している、という内容。コホート研究での摂取エネルギー量の多くは自己申告ですから、あまり信頼できませんけどね。

24Rohanら の論文は、フルテキストがまだ見つかりません。pubmedでAbstractを読む限りでは、死亡率は身体活動量とも個々のレクリエーションとも相関はない、という論文らしいのですが。


25,26,27は調査に対し無回答の患者のデータをNational Death Indexで検索し、死因コード等から患者の情報を把握するための方法について。乳がん患者の死亡率を死因コードから確定するのは難しいようです。ただ、NHSでは対象者の医療情報を得る許可を得ているので、これらの方法で死亡者の98%を確定できたとのことです。ちなみに27はタイトルと著者などしか登録されておらず、内容については未確認です。

28は今回の調査での再発率が妥当なものかどうかの比較のため別な調査と比較したそうですが、その調査の内容です。放射線治療の是非を調べるための調査のようです。 

29は身体活動と乳がんリスクについてのCollege Alumni Health Studyという、ペンシルベニア大学卒業生対象の調査の結果を解析した論文。閉経前の女性は身体活動量(カロリー換算)と乳がんリスクに関連はなかった、という内容。50歳未満では身体活動量が高い(1000kcal/wk超)と相対リスクが上がる(1.83,CI 0.77-4.31 P trend=0.14 )、BMI<22の女性では500-999kcal/wkで相対リスクが1.22(1.22 CI 0.66-2.27 P trend=0.41)、他は相対リスク1未満。1998年に出されたものです。

30はMETスコアについての論文。どのスポーツはどのぐらいのMET数か、という一覧が載っています。

31は更年期女性の股関節骨折を予防するための運動について。ウォーキングが勧められています。あれ?運動でエストロゲンレベルが下がるなら、ウォーキングでもエストロゲン下がるわけで、そうしたら更年期障害である骨粗鬆症は、予防するどころか進行してしまうのでは…???

を見ると、閉経後ホルモン(おそらくエストロゲン剤)使用者は最初からリスクが低い。非使用者は運動強度を上げていくとリスクが下がり、ホルモン使用者と同じ位になる。コメント欄には、『脂肪組織のアンドロゲンのエストロゲンへの転換 』とあります。活動的な女性はエストロゲンの服用者と同じぐらい股関節骨折から保護される、とも書いてあります。エストロゲンが脚周りで発生することが重要なのかな…???

このあたりからデータの信頼性について書かれています。『前年度全体の活動を評価する活動アンケートの能力は、151人の女性のサンプルでテストされました。』 『この年齢の女性の主な活動である歩行については、個人内相関は0.70(95%CI、0.49-0.84)でした。 』これをどう読むか?参考文献、いろいろ紹介されています。

32、これ面白いですね。自己申告した活動量の再現性。読んでみたいんですが、フルテキストは登録制なので読めずにおります。何しろテストと再テストであまり変わらない数字だから再現性は保たれているという結論なんですが、数字自体が0.79と0.83とか、0.52と0.55とかなので、何と比較しての0.79、0.83なのか、詳しい方法を読まないと分からないのですよ。余裕があったら登録してみますが、疫学の雑誌なんですよね。乳がん関連の疫学、怪しいのが多いからなぁ…。(このあたり後述します)


33、乳がん関連の疫学で怪しいのって、こういうのです。『診断後の食事の多変量解析では、脂肪摂取量と死亡率の間に明らかな関連性は見られませんでした。』とありますが、他の研究では脂肪摂取量との相関が認められてたりするんですよ。(それも複数。詳細は別途記事の予定)
。脂肪摂取量によるエストロゲン増加との関連が指摘されています。誰だよこんなの書いたのは…!と思ったら筆頭著者がHolmes MD、なんと今回読んでるPhysical Activity and Survival After Breast Cancer Diagnosis の著者でもあるHolmesさんではないですかw しかもまたしてもNHSですwww

34は食事量の再現性について。これも面白そう、読んでみたいけどフルテキスト見つかりません。

35これはアルコール摂取量の再現性について。32、34と同じStampfer MJ 先生のグループの論文です。いろいろ調べてますね。

36はウォーキングが心筋梗塞、冠状動脈疾患などの心疾患のリスクを下げるという内容。 ウォーキングの万能感すごい。

コメント欄には『過体重の閉経後の女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンおよびエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。』とありますが。

37は閉経後のホルモン療法をしない過体重の女性のアンドロゲン濃度が、運動でどう変わるかを調べた調査。45分週5日の中/強程度の運動を含む週171分の運動により、有意差とは言えない程度減少したとのこと。この運動量でこの結果では…。それにアンドロゲンは筋肉の再生にも使われますが、エストロゲンにも変化します。減った分はどう使われたのか、も重要なのでは?

同じ著者による38はエストロゲン濃度について。

運動者は、コントロールの変化なしまたは濃度の増加に対して、それぞれ、3.8、7.7、および8.2%のエストロン、エストラジオール、および遊離エストラジオールの減少を経験した(P= 0.03、0.07、0.02)。12か月時点で、効果の方向は同じままでしたが、差異はもはや統計的に有意ではありませんでした。効果は、体脂肪を失った女性に限定されていました。

要するに運動で体脂肪が減ればエストロゲンも減りますよ、という内容。同じ調査で、アンドロゲン(アンドロステンジオン、テストステロン)とエストロゲン(エストロン、エストラジオール)両方測定して、論文は2本に分けたみたいです。

面白いのは、対照群が「週に45分のストレッチ、それ以外の運動をしない」人達であること。この方々のエストラジオール濃度は殆ど変わってません(-0.6%)w しかも、エストロンは増えてます。

かといって運動した群でも若干下がってはいるものの、有意差があるわけでもなく。

これらの参考文献を挙げておいて『過体重の閉経後の女性における身体活動の無作為化試験では、アンドロゲンおよびエストロゲンの血清レベルの低下が示されました。』と書いてしまうHolmesさん。これはもう、確信犯としか…。

39はドイツの文献。まず最初に『身体活動乳がん リスクとの間の認められた逆の関係の重要な側面はまだ議論中です。』とあります。ドイツでは運動で乳がんリスクが上がる、と言われているようですね。他の幾つかの論文にもありました。しかし『活動の種類による分析は、最高レベルのサイクリング活動を報告した女性に対する有意な保護効果を明らかにしました(調整オッズ比= 0.66、95%信頼区間:0.45、0.97)。 』なのでまだ調査が必要、とのこと。フルテキスト見つからないので詳細は分かりませんが、他の運動では保護効果が認められていないようですね。

そして『身体活動はまた、インスリン抵抗性の急性および慢性の改善ならびに高インスリン血症の減少を通じて生存を改善するかもしれない。ホルモンレベルを抑制するためのアロマターゼ阻害剤の使用は、より人気になると私たちが観察された関連は、時間の経過とともに変化することがあります。

ここで40が参考文献として挙げられていますが。ここに書いてあるのは驚くべき内容。

空腹時インスリンレベルが高い乳がん患者は再発までの期間や死亡の相対リスクが高い。えっ?エストロゲンじゃないの?

エストラジオール濃度は、再発とも死亡とも相関がない!えっ???

フルテキストを医学系の図書館でコピーしてきました。空腹時インスリン、IGF-1、IGF-2、エストラジオール、BMIと乳がん再発までの期間の長さ、死亡率から相対リスクを算出したもの。

出ましたIGF-1!

この結論に至ったデータの内容はと申しますと

 001-2
 

ご覧ください。この表は、各測定値を上から順に人数を揃えて4つのグループに分け、どのグループの相対リスクが高いかを比較しています。

まず、空腹時インスリン。高い群は明らかにリスク上がってます。相関ありです。このあたり考察編で解説する予定です。

IGF-1。有意とは言えないレベルですが、死亡率の相対リスクがわずかに上がり、再発の相対リスクがそれより高く上がっています。

これ、今回の論文の、週9MET以上のデータと重なりますね。

そしてエストラジオールレベルは再発、死亡リスクと相関はない、という結果。むしろ高い人の方がリスク若干下がってる。

どういうこと?絶対量ではなくプロゲステロンとのバランスが問題なのでしょうか。私が飲んでたアロマターゼ阻害剤は…いったい…???

BMIとの相関は下のグラフの通り。
  002-2
 
インスリン、IGF-1についての詳細は後ほど別記事にて。

41は乳がん診断後の治療で身体活動量がどう変わるか。大幅に減少するそうです。

42は化学療法中は安静時代謝率が低下するという内容。食欲が落ちるので体重はそれほど変わらないけど筋肉も落ちるので安静時代謝が落ち、治療が終わっても戻らない、という内容のようです。

要するに化学療法で筋肉落ちるから、疲労感があっても運動しなさいね、ということのようです。なら化学療法しなくていいのに…。ってか、化学療法中に運動すると血行良くなって薬の効果が高まるので、筋肉落ちやすいんですけど(経験者は語る)。がん利権とフィットネス利権、繋がってるようですね。

43は前回も紹介しました。『より高い病期と診断された女性は、in situ乳がんと診断された女性と比較して総身体活動に15%多く費やされた時間を報告しました(p = 0.031)(表2b)。この総身体活動量の増加は、家庭活動の違いによるものと思われます。

household「家事」が乳がんのステージを上げてしまったのだとしたらその原因はストレスか、或いは手を動かすことによるホルモン分泌の可能性があるのではないでしょうか。胸周辺の筋肉を動かすことで成長ホルモンやIGF-1、アンドロゲンからのエストロゲン分泌が盛んになった結果かと。この文献にはそんな考察は一切書いてありませんが。

44のタイトルは『運動、上気道感染症、そして免疫システム。』強度の高い運動は、上気道感染症リスクが上がるそうです。まったく運動しない場合よりも、運動しすぎる方がリスクが上がるのだとか。このあたり、今回の論文にも影響ありそうですが、Holmesさんは否定してますね。
  003-2

454647は高齢者の運動はいい影響を与えるんだから、もっと運動しなさいという内容。フルテキスト読んでないんですが、Abstractからは良いことばかり書いてあって、転倒による骨折のリスクなどはあまり書かれていないような印象を受けます。ちなみに47には『1日に30分の中程度の強度の運動をしている人は、もっと運動すればさらなる健康上の利益を達成する可能性があります。』と書かれていますが、この研究はNIH(アメリカ保健福祉省国立衛生研究所)の助成金を受けています。


48糖尿病女性の間で身体活動心血管疾患のリスクを減少させるかどうかという研究。これも40の文献と同様、4つの群に分けて相対リスクを算出してます。何故Holmesさんは四分割ではなく二分割にしたか?それが問題。 

49身体活動と総脳卒中および脳卒中サブタイプのリスクとの関連性を調べた研究。48と同じ著者です。結果も同様、長時間または早く歩いた方がリスクが下がるという結果。 

50はNHSからの身体活動と乳がんリスクの関連調査。『身体活動の増加は、主に循環卵巣ホルモンへの累積生涯曝露を減らすことによって、乳がんを予防すると仮定されています。しかし、疫学的所見は矛盾しており、身体活動を定量化するための最善の方法についてはコンセンサスがありません。』とあります。活動量はMETではなく時間です。結果は、週7時間以上で相対リスクは0.82(95%信頼区間、0.70-0.97、P = 0.004)。 これもNIHからの助成金の支給を受けてますね。

51はNHSからの余暇活動、BMIと結腸癌リスクの関連調査。余暇活動が多い、BMIが低いとリスクが下がるのだそう。NIHからの助成金支給あり。

52Health Professionals Follow-up Study健康専門家追跡調査 、HPFS)とNHSからの身長、BMI、身体活動量と膵臓がんリスクの関連調査。この論文に似ています。NIHからの助成金支給あり。

53はNHSからの身体活動と不妊症の関連調査。DISCUSSIONにこう書かれています。『長期間の身体活動習慣は、持続的な体重増加、インスリン抵抗性の増加、および生殖能力障害を含む症候群を予防する可能性がある。我々のデータは、競争力のある運動トレーニングを除いて、女性が妊娠しようと試みる前の数年間の活発な活動の習慣は出生率を減少させず、そしておそらく増強するかもしれないことを示唆している。

「競争力のある運動トレーニングを除いて」が重要なポイントですね。ちなみにこれもNIHからの助成金支給あり。

54はNHSからの身体活動と胆石の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

55はNHSからの身体活動と認知症の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

56,57はNHSからの身体活動と総死亡率の関連調査。NIHからの助成金支給あり。

58はこれらの論文を基にした年代別の身体活動ガイドライン。CDC(アメリカ保健福祉省疾病管理予防センター)のサイトです。

どうも、NIHは身体活動と疾病に関して、たくさんの論文書かせてるようですね。そしてその多くにNHSが使われている。そしてCDCはそれを基に身体活動ガイドラインを定める。

しかし。今回のこの論文は、かなり、「こじつけ」が強いような気がしました。

もしかして他の論文もそうなんでしょうか?だとしたら…???


とりあえず次回は、参考文献からの情報を基に、この論文のデータを私なりに読み解いてみたいと思います。

これからまた治療に入るかもしれませんので、公開まで時間がかかるかもしれません。ご了承ください。



2018年4月 6日 (金)

がんと運動 2

先日、FBのタイムラインにこんな記事が流れてきました。本文も引用します。


2018年2月16日より18日までアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されたThe Cancer Survivorship Symposiumのポスターセッションにて、術前化学療法中の乳がん、大腸がん患者に対する運動の疲労軽減、身体活動向上の効果を検証したPACT試験(Abstract 99)の結果がUniversity Medical Center Utrecht・Anne Maria May氏らにより公表された。
PACT試験とは、術後化学療法治療中のステージI-III乳がん患者(N=204人)、ステージI-III大腸がん患者(N=33人)に対して1週間に2回の頻度で理学療法士監視下にて60分間のサイクリング、ジョギングなどの有酸素運動、筋力トレーニングをし、1週間3回の頻度で自宅にて30分間の身体活動をする群(運動強化療法群)、または通常の身体活動をする群(通常ケア群)に無作為に振り分け、ベースライン時より4年後のMultidimensional Fatigue Inventory(MFI)に基づく疲労スコア、Short Questionnaire to Assess Health-enhancing Physical Activity(SQUASH)に基づく身体活動レベルを比較検証した多施設共同試験である。
なお、本試験に参加した患者204人の内4年後に生存していた患者は128人、その内訳は乳がん患者110人、大腸がん患者18人であり、運動強化療法群は70人、通常ケア群は58人である。
本試験の結果、ベースライン時より4年後の疲労スコアは通常ケア群に比べて運動強化療法群で-1.13(95%信頼区間:-2.45~0.20)減少を示したが、統計学的有意な差は確認されなかった。また、身体活動スコアも疲労スコア同様に通常ケア群に比べて運動強化療法群で高く、その値は141.77分/週(95%信頼区間:1.31~281.61)を示していた。
以上のPACT試験の結果よりAnne Maria May氏らは以下のように結論を述べている。”化学療法中の運動は、疲労、吐き気、痛みなどの治療関連有害事象(TRAE)を減少させる効果があることはよく知られています。しかし、4年間の長期に渡ってその効果があることを証明した試験はPACT試験が初めてです。”


こんな記事を目にして、

「やっぱりがん患者も運動した方がいいのか!ブログ書いてるアナタもフィットネスクラブに復帰しなさいよ!」

などとお考えのそこのアナタ。



よーく、読んでください。

「なお、本試験に参加した患者204人の内4年後に生存していた患者は128人、その内訳は乳がん患者110人、大腸がん患者18人であり、運動強化療法群は70人、通常ケア群は58人である。」



204人中128人生存?って、4年生存率63%?

しかも元の論文では「乳がん患者204人と大腸がん患者33人の237人、そのうち適した者は197人」になっている…?

そして4年後に応じたのが128人。

最初の237人のうち、他の109人が亡くなったのかどうか、abstractだけでは分かりませんでした。



「18週間の運動プログラム」を実施とのこと、約4ヶ月ですね。もしかしたら237人のうち適した197人を除く40人は、その間に亡くなってしまったのかも。



国立がん研究センターのがん情報サービスによりますと、日本では乳がんは5年生存率9割近いし大腸がんも7割程度です。

なのでもし「生存者128名」となると、4年でこの数値ですから

乳がん、大腸がん患者が運動すると生存率が落ちる

という結論が妥当なのでは…?

しかしこの論文はオランダで書かれたもの、オランダの5年生存率調べてみましたが分かりませんでした。


また、こんな記事もあります。

専門医に聞こう:乳癌に対する食事と運動の効果

生活習慣の要因、乳癌、うつについて
食事や栄養などの生活習慣のうち、不安やうつを和らげるのに効果的な要因はありますか。(乳癌と診断されるまでは、不安やうつの問題はなかったように思います)。
Ligibel医師:多くの試験によって、不安やうつには運動が効果的であることが明らかになっており、ほんの少し体を動かすだけでも、気分が改善されることが示唆されています。通常、少しずつ運動を始めることと、始める前に主治医に相談することを推奨していますが、データから、散歩などの適度な運動は、ほとんどの乳癌サバイバーが安全に実行でき、さまざまな点で健康によいことがわかっています。
癌サバイバーでの情報は限られていますが、体重を減らすことは、女性のうつに有効であるということも確認されています。



注目すべきはここ。

散歩などの適度な運動は、ほとんどの乳癌サバイバーが安全に実行でき、さまざまな点で健康によいことがわかっています。」

散歩程度なら、日常生活で出来ますよね。

徒歩や自転車での通勤・通学・買物等、自宅や職場内での階段の昇り降り、お子さんやお孫さんの送迎等、ペットの散歩、などなどを普通に出来る方は特に問題ない、ということではないでしょうか。

この記事はどちらかというと「寝たきりは危険ですよ」っていう話なのではないかと思います。

抗がん剤の副作用がきつくて寝てるだけの人、いますよね。私は大腿ヘルニア手術後の一時期がそうでした。

そうなると筋力落ちてサルコペニアにもなる危険性が出てきます。

そこだけは気をつけましょう、という話でしょう。
いや、でも、太ってるとがんリスク上がるし…という方。

もしかして、こんな記事を読んで、よし、運動して減量しよう!などとお考えですか?

閉経後の肥満、乳がんのリスクに 40~50代は要注意

乳がんの発生・増殖には、卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)が関係しており、特に排卵時期に分泌されるエストロゲンにさらされる時間が長いほど、発症リスクを高めるとされる。昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾教授は「妊娠初期には、乳がんとの関係が深いエストラジオール(E2)というタイプのエストロゲンの分泌が低下するので、妊娠・出産回数が多いほど、乳がんの発症リスクは下がる」と話す。
また閉経後は、卵巣で作られるエストロゲンが大幅に減少し、その代わり、わずかではあるが体内の脂肪組織でエストロゲンが作られるようになる。そのため、BMI(肥満指数)が25を超える肥満の女性の場合、血液中の女性ホルモンが増加することで、乳がんの発症リスクが高まってしまう。閉経後は体脂肪のコントロールをすることが予防のカギだ。



はい、ここにも落とし穴があります。

「体内の脂肪組織でエストロゲンが作られる」

この表現。ネット上でよく見かけます。

しかし、脂肪細胞がそのまま女性ホルモンに変化するわけではありません。

エストロゲンは、「アンドロゲン」というホルモンから酵素アロマターゼを介して合成されます。

「アンドロゲン」は男性ホルモン、男性は精巣から、また男女ともに副腎からも分泌されます。テストステロン、ジヒドロテストステロンなど数種類が含まれます。



「テストステロン」。はい、フィットネスマニアなら聞いたことがあるはずですね。

そう、筋肉を増強してくれるホルモンです。
女性の場合、これが酵素アロマターゼを介してエストロゲンになるのです。



なので

運動する→テストステロン分泌→エストロゲン合成→乳がん進行

となるわけです。

なので、がん予防のために減量したいなら、一食抜いて代わりにお茶を飲む程度の、軽めのファスティングをお勧めします。



また、運動すると「成長ホルモン」も分泌されます。

この成長ホルモンも、がん細胞を成長させてしまうのです。

高身長の人ほど「大腸がん」になりやすい

性格とは無関係である一方で、がんが体形と関係することはわかっている。世界がん研究基金の報告書によると、「身長の高さ」によって、大腸がん、閉経後の乳がんはリスクが「確実」に高くなり、膵臓がん、閉経前の乳がん、卵巣がんはハイリスクの「可能性が高い」と分析されている。
高身長とがんの影響では、現在、成長ホルモンの働きに注目が集まっている。成長ホルモンには発達を促進するだけでなく、細胞の「アポトーシス」を阻害する働きもある。アポトーシスとは「細胞が自ら消滅する」ことを意味する言葉で、がん細胞の始まりとなる細胞の多くはアポトーシスされるので、人はがんにならない(それを逃れたら、がん細胞となっていく)。成長ホルモンが多く分泌される人は、アポトーシスが阻害されるため、がん細胞が増殖しやすい、と考えられている。



この他、成長ホルモンによって生成されるIGF-1(インスリン用成長因子1)が乳がん細胞の成長を刺激する、とも考えられています。これは「乳がんと牛乳」にも載ってました。



なので

乳がん患者は、せいぜい脚の筋肉を維持する程度の運動しか、出来ないのですよ。

アロマターゼ阻害剤飲んでれば大丈夫?

いや、耐性の問題があります。

おそらく、激しい運動続けてる方が耐性つきやすいでしょう。



それでも運動を勧める人は、エビデンス提示してくださいね。

特に、フィットネス関係者。

その中でも特に、メディカルヨガ関係者!

「ため息呼吸」についてもよろしくお願いしますw
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Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
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