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Sage's List

2019年8月19日 (月)

「ヨガ産業」ブギ

前回、乳がん患者向けのヨガは「資格商法」であるので関わらない方がいい、と書きました。

今回はその辺りをもう少し詳しく説明します。



私が体験した「乳がんヨガ」はBCYI(Breast Cancer Yoga Institute)認定インストラクターのものでしたが

BCYIでは1日7時間3万円の講座を受ければインストラクターとして認定して貰えるようです。

他にも、例えばGoogleで"yoga for cancer"と検索してみますと、こんな検索結果が出ます。

Y4c 

アクセスしてみますとy4cというアメリカ発祥の「がん経験者のためのヨガ」のサイトのようです。

トップページの一番左側にあるのが「養成コースお申込み」。

45時間で148,000円。早割もあるようです。

URLに”yoga-pilates-yosei”とありますから、インストラクター養成目的であることは明らかですね。



他にもあります。

特定非営利活動法人 日本統合医学協会」では、20万円超の36時間の講座を受けると医療系ヨガインストラクターの資格が取れるそうです。一応、受験資格は「ヨガの基本的な知識、医療従事者に準じる医学知識を身に付けた方 」という規定もあるようですが。

NPO法人 日本ヨガ連盟」では111,456円払って7日間の講座を受けると病院にも派遣可能なヨガインストラクターとして認定されるようです。

はしもと内科外科クリニック」でも医療ヨガのインストラクター養成を行っています。3ヶ月70,000円。6ヶ月まで延長可能ですがその際は延長料金が必要となるようです。こちらの医師は「医療ヨガ」という本も出版されています。興味のある方はツッコんでみて下さいw

病院でのインストラクター養成と言えば、がん治療では世界的に有名なアメリカのメモリアルスローンケタリングがんセンターでもがん患者向けヨガインストラクターの養成事業を行っています。16時間のビデオ講座で295ドル。こちらはRYT保持者(多分全米ヨガアライアンス200を持っている人)向けだそうです。

カナダのカルガリー大学と提携しているYOGAEFFECTというヨガスタジオでも、がん患者向けヨガインストラクター資格認定をしています。36時間899ドル。こちらもRYT200保持者が対象のようです。

Pain Care Yoga」というのもありました。どうやらつい最近出来たばかりのカナダの団体のようです。1080ドル、6日間で取得可能。リストラティブヨガから派生したヨガのようですが、がんの痛みにも効くのかどうかとか、腰痛肩こり程度なのか、線維筋痛症はどうかとか、私の探し方が悪いだけかもしれませんが患者向けの話が一切見つかりません。PDFにあるのかな?



…探せばまだまだ出てきそうです…。

これだけたくさん出てきますと、

何がなんだかさっぱりわからず、どれがどれやらさっぱりわからず、何も聞かずに飛んでは来たけど、何を買うやらどこで買うやら…

というまさに「買い物ブギ」的な心境になります。わてほんまによう言わんわ



しかしこれ、がん関連ヨガに限った話ではないのです。

ヨガジェネレーション」というサイトがあります。

ヨガスタジオのサイトらしいんですが、「ヨガを受けたい」という一般の人向けのクラスの紹介は殆どなく、「ヨガを教えたい」という人に向けた指導者養成のための講座ばかりが並んでいて呆れます。



現在、既にフィットネスクラブやカルチャースクール、公民館の講座など、ヨガを学ぶ場は広まっています。地域格差はありますが。

それに興味を持って始めた人が、それらの教室で飽き足らなくなると、ヨガスタジオへと出向いていくようになります。

しかし、小さなヨガスタジオで習っているだけでは、スタジオ側も大して儲からないし、受ける側もマンネリ化して飽きてしまいます。



そこで出てくるのが「指導者養成コース」です。

「これを受ければ、指導して稼げるようになりますよ!」ヨガスタジオの人にそそのかされ、自分でもその気になって、大枚払って資格を取得。

しかし上記のように、既にあちこちでヨガ教室は開かれている。興味のある人は既に始めている。新たにヨガクラス開いても誰も来ない。

客が来ないのは「教えられるものが少ないからだ」と思い、更なる資格取得に走る。

そういう「稼げない」ヨガインストラクターを餌食とする講座が山のようにある、それが現状なのです。



もし、それでうまくいったとしましょう。会員登録してくれるお客さんが何人か見つかって。

しかし、もともと入門編の資格と他数種類の資格を取っただけだから、会員さんを留めておくことが難しい。

学ぶ人は勝手に学んで、もっといい指導者の下に行ってしまったりします。

そこで、始めるわけです。「ヨガ指導者養成コース」を。「ヨガ指導者養成のための指導者養成コース」を受けて資格を取って(これもかなり高額)。

そして、新たな犠牲者を増やしていく。



そう、「ネズミ講」みたいなものなんですよ、ヨガインストラクター養成ビジネスって。

こちらのブログによくまとまっているので、読んでみて下さい。

資格ビジネスとマルチ商法の構造の類似性

あえて「ダイエット体操」と書いてありますが、おそらく「ヨガ」を指してるものと思われます。

基本的に業務独占の資格ではない名称独占資格などほとんど意味はありませんし、業務独占資格にしろ簡単に取れるようなものはその簡単さに比例して価値がありません。

中には「高額な受講費用を払う」ことが「簡単ではない」ことだと勘違いしてしまう人もいらっしゃるようなんですけどね…。



そういえば。

先程「買い物ブギ」が出てしまいましたが、「買う」のは「消費者」ですよね。消費者相談センターが発行している資料にこのようなものがありました。

ヨガインストラクター資格講座の解約に関する紛争

>平成 28 年 7 月、何か運動がしたいと考えていたところ、相手方教室において 1 回 1000 円でヨガの体験ができるというので相手方の教室へ行った。その後、相手方が提供しているヨガのインストラクター養成講座を見つけ、問い合わせたところ、40 時間のレッスンでインストラクター資格が取得できると説明を受けた。資格を取得したら仕事を紹介してもらえるのか尋ねたところ、マージンは取るが仕事を紹介することもあり、自分でレッスンを行うこともできると言われ、講座の申し込みをした(約 19 万円)。
>同年 9 月より受講を開始したが、契約書で定める無料受講は、直営店ではない相手方の教室では適用されないことについて説明がなかったことや追加料金が発生する補習が必要だったり、無料受講用のパスを渡されていなかったりと、事前に聞いていた内容と異なるため、相手方本社に苦情を伝え、返金してほしいと要請したが、一部コースの無料受講などを提案され、返金は断られた。その後も相手方と交渉し、消費生活センターにも相談したが、返金には応じられないとの回答であった。未受講分の受講料を返してほしい。

>相手方は、本件紛争に関して申請人に守秘義務を課すのであれば、返金額の増額も検討できると述べたことから、仲介委員は改めて約 13 万円の和解案を提示したところ、両当事者で合意に達したため、和解が成立した。

「申請人に守秘義務を課す」つまり詳細を一切口外しないという約束で返金に応じた、と。

私なら、守秘義務守れないから返金は要らない、とツイッターだとかにスタジオ名入りで詳細書きまくりますけどねw 



それにしても、1000円で体験に来た人にいきなり指導者養成コースだとか、ヨガをなめてるとしか思えないんですけど…結構いるんですよね、こういう人達。



中にはきちんとしたヨガ団体もあり、そういう団体は安易に指導者資格を出したりはしません。

本当にいいものを後世に残そうと思ったら、中途半端な人を指導者認定することは出来ませんよね。

中途半端なものが伝えられていくことになりますから。

武道でもそうですし、日本舞踊、茶道、華道などの習い事もそうですよね。師範として認められるまでには何年もかかり、そこからさらに精進しなければいけない。

資格取得のために目の色変えてる人達は何故、ヨガだけは簡単に資格が取れるのか、インド5000年の歴史から紡ぎだされた健康法はそんなに単純なものなのかどうか、考えてみたことはないのでしょうか?



ヨガ団体を評価する一つの基準は、その団体の設立年がいつであるかを確認することです。

具体的には、1995年以前か以降か、です。

この年、オウム真理教がメディアを賑わしました。そのオウム真理教の施設が「ヨガ道場」を名乗っていたので、この直後、日本のヨガ人口は激減しました。そしてしばらくその状態が続きました。

その「ヨガ氷河期」を乗り越えてきた団体で、指導者になるにはそれなりの経験を積まないといけない、という団体はある程度信用してもよいでしょう。

昨今のヨガピラブームは、2006年以降ではないでしょうか。それ以降は団体数も激増します。




とにかく、乳がん関連ヨガは、始めてしまうとまるでネズミ講のような「ヨガ産業」の餌食になりかねない。

だから、消費者保護の観点から見たら、足を踏み入れない方がいい。

君子危うきに近寄らず。そういう意味で最初から「やらない方がいい」のですよ。

リハビリやリンパドレナージは病院で理学療法士さんや作業療法士さん、看護師さんに教えてもらえば十分です。



安易に設立されたヨガ団体の安易なヨガ指導者認定は、むしろヨガ普及の足を引っ張っているように思うのは私だけでしょうか?

もっとも、最近はそうした「ヨガ産業」界にもほころびが出始めているようではありますが。



わてほんまによう言わんわ。あー、しんど…。

2019年7月31日 (水)

乳がん患者がやるべき身体活動

前回は「身体活動量と乳がん死亡リスクに関する論文」と「乳がんヨガ」との関連について、殆ど関係ないのにエビデンス扱いしていること、乳がんヨガは効果が明らかでないこと、などを書きました。

では、乳がん患者は何をしたらいいか?

今回は乳がん患者である私自身の経験から、そのあたりを書いてみたいと思います。



乳がん患者と一口に言っても、人それぞれ、症状も治療法も生活習慣も細胞診の結果も様々です。

なので

「乳がん患者だから」アレをすべきコレをすべき、ってのはあまりありません。

もちろん、生活習慣が乱れていたからこその病気なので、生活習慣を正す、というのは重要です。環境ホルモンの除去は特に。



乳がんの場合は侵襲性の高い治療が多く、QOLの低下は確かに問題であり、QOL維持のための活動をした方がいいのは確かでしょう。

しかし一口にQOL低下と言っても、状況は様々です。

なのでQOLを向上させる方法もまた、様々なのですよ。



私は先日、乳房全摘出手術を受けました。

というわけでまずは手術によりQOLがどう変化するかについて。



「乳がんの手術」と一口に言っても、腫瘍の大きさや転移状況などによりいろいろあります。



「非浸潤性乳管がん」などの転移もなく進行も遅く、かつ腫瘍サイズも小さい乳がんの場合、部分切除術が可能です。

この場合は入院期間も短く済みますし、手術後のリハビリもほとんど必要ないと思います。

腫瘍の個数や位置にもよりますが。



腫瘍が大きい場合や転移がある場合は、部分切除ではなく乳房全摘出となります。

皮膚浸潤を最小限に抑えるため、乳房周辺の皮膚はざっくり切り取ります。そして皮膚を無理やり引っ張って縫合します。

そのため、手術した側は肩が前に入り猫背気味になります。

手術の傷が治った後、リハビリを行った方がいいでしょう。

また、乳房の大きさにもよりますが、左右の重さのバランスが崩れるのでそれを正すのが大変、という方もいらっしゃるようです。



リンパ転移がある場合はリンパ郭清を行います。

この場合、郭清の度合いにもよるでしょうが、リンパ浮腫のおそれがあるのでリンパドレナージは必須です。

また、私のように神経を切られたりすると運動障害も残りますので、地道なリハビリは必要です。

しかし、汗を大量にかくような運動は避けなければいけません。リンパ浮腫になりやすくなります。

また、郭清した側の腕を圧迫すると良くないので、そのあたりも考慮すべきでしょう(加圧トレーニング不可)。



ハルステッド手術(大胸筋まで切り取る大手術)を行った場合については、どうなるのか、私にもわかりません。

術後の外見は、あばら骨が浮いたような状態になるそうです。

運動障害はどのくらい出るのでしょうか?かなり大変なことになるであろうことが想像できます。

数十年経っても痛みやしびれが出るという証言もあるようです。



これが右乳房のみか左乳房か両方か、でも違いますし、右と左で術式が違うケースもあります。

また、乳房再建術を受けている人もいます。保険適用になってから受ける人が増えたようです。

インプラントを使う人も、自家組織で再建する人もいます。

自家組織での乳房再建の場合、使う組織の元をとる背中やお腹や足などに傷が出来ます。これによっても対応が変わります。

インプラントでの再建の場合、何度か手術し直す必要があるそうです。

最近、シリコンインプラントの中に特殊なリンパ腫を引き起こすものがあったのでメーカーが対象製品を自主回収した、というニュースがありました。シリコンの方要注意です。

ちなみに私は、乳房再建はしていませんが、右側の植皮のために腹部を切りました。なのでお腹はまだ伸ばせません。



手術だけでこんなにいろいろあるのです。



そのため、リハビリは病院で行うのが良いでしょう。

病院でのリハビリは、理学療法士や作業療法士などの資格のある方が行います。

リンパドレナージは、研修を受けた看護師などが患者に指導します。

理学療法士、作業療法士、看護師はいずれも指定の学校を受験して、合格したら数年通って勉強して、国家試験を受けなければならないという取得が大変な資格であります。そういう信頼できる資格を持っている上に、病院での業務で毎日何十人もの患者さんの対応をしている、そういう方々です。

カルテも共有しているでしょう。そして何かあった場合の対応方法も知っています。

彼らは、安全です。もちろん「中には怪しい人もいる」という可能性は否定できませんが、それはどの職種でも同じです。



一方、ヨガに関しては国家資格はありません。

「乳がんヨガ」はただの民間資格です。指導者養成コースは1日7時間3万円だそうです。受講資格は特になく、誰でも受講料払って参加すれば、試験などもなく免状がもらえる、そういう資格のようです。

「乳がんヨガ」限定ではない一般的なヨガインストラクターの資格としては「全米ヨガアライアンス200」というものが有名です。これは、200時間の講座を受ければ取れる、というものです。1日8時間として25日。1カ月かかりません。最短では18日あれば取れるそうです。

200時間+7時間の講座でがん患者を相手にすることに、不安は感じないのでしょうか?少なくとも、個別対応できるだけのスキルがこれだけで身につくとは思えません。

ちなみに、全米ヨガアライアンス以外にもヨガ資格出してる団体は山ほどあります。指導者養成にかかるコストも時間もまちまちです。当然、スキルのレベルもまちまちです。



話を戻しますと

手術のみならず、化学療法に関してもさまざまな種類があります。化学療法はQOLが下がるとよく言いますが、一体どんな副作用が出るのかが問題です。髪は抜けるのか、しびれはあるか、吐き気やめまいはあるか、免疫落ちて感染しやすくなってないか、などなど。

薬によって、かなり違います。

私の場合、最初の抗がん剤(EC療法)は髪も抜けたし体重は極端に減るし体力落ちるし不正出血もあったし目は悪くなるし爪は黒くなるし最悪でしたが、今飲んでいるTS-1は副作用はあまりありません。わずかに吐き気がして便が緩む程度です。

腎臓や肝臓に悪影響が出たり、手足にしびれが出たりなどもあるそうです。

ホルモン治療をしていると、関節痛(関節への負荷考慮)、骨粗鬆症(骨折のリスク)、ホットフラッシュ(体温調節困難)、血栓ができやすい(脳梗塞や心筋梗塞のリスク)などが出たりします。

他にも

放射線治療を行っている場合、その種類(X線、陽子線、重粒子線等)や強度によっても副作用(疲労感、皮膚炎など)の出方が違います。

皮膚にマジックで線を書いたり、皮膚の色が変わったりするので、薄着になりたがらない人もいるでしょう。そういう相手を気遣うことが出来ますか?

切らずに治す治療法としてラジオ波焼灼術や冷凍凝固療法、FUS(MRIガイド下収束超音波療法)などがありますが、これらについてその治療跡がどうなるのか、胸を開いて伸ばしたりするのは施術後どのぐらい経ってから可能なのか、把握しているのでしょうか?

また、免疫療法やビタミンC点滴、丸山ワクチンなど、代替療法もさまざまあります。それぞれ治療前後の注意事項は違うはずです。無治療の方、漢方やサプリなどの使用も含めますともう十人十色、千差万別です。

他の疾患での症状や服薬の状況なども違いますし、閉経前か後か、年齢、肥満度、体質の違いなども含めますと、まったく同じリハビリを要する人などまず、いないのです。



乳がんは転移再発しやすい病気です。本人も知らないうちに骨転移していてホルモン治療と相まって骨が弱ってしまっていて、たまたまヨガを受けたら骨が折れてしまった、というケースもあり得なくはないと思います。きちんと想定して対策を考えているのでしょうか?

万が一トラブルが発生しても(副作用で嘔吐したり出血したり半月板損傷したり蜂窩織炎になったり)、理学療法士や看護師が病院内で行っているのであれば対応は可能でしょう。医師もすぐそばに控えてますし。

しかし一般のヨガインストラクターが、ヨガスタジオや自宅で行った場合はどうでしょう?救急車呼びますか?



しかも、病院スタッフは忙しいのです。毎回来てもらうのではなく、自宅で自分で出来るようなリハビリ方法を教えてくれます(病院にもよりますが)。

乳がんヨガのような「教室」だと、毎回通う前提です。でないとインストラクターが儲からないから。

そして、集団でいると、どうしても他の人と自分を比べたりしますよね。

「あの人、私より後に手術受けたのに、もうあんなに元気そう。私は全然動けないのに…。」

「あの人、同じ薬使っててなんであんなに副作用軽いんだろう。私は酷いのに…。」

よりケアを必要とする(QOLが低下してる)人ほど、嫌になってしまったり、無理して動き過ぎてしまったり。

ナーバスな患者達の気持ちをうまくくみ取れるインストラクターならいいと思いますが、ヘタなこと言ってしまうとかえって患者を落ち込ませることにもなりかねません。

で、自宅で自分でやりたければ「3万円払って資格取れ」、ってことになるわけです。



「乳がん」そのものの治療には直接は関係しない「QOL向上」だけなら、「乳がんヨガ」に限らず好きなことをすればいいと思います。

激しすぎない、ウォーキング程度の身体活動ならエビデンスもあるわけですから、ウォーキングでもいいと思います。捻ったりしないので怪我の心配はありませんし。他にもやりたいものであれば、医師と相談の上、本人の責任においてやればいいと思います。やりすぎは禁物ですが。

「ずぼらヨガ」的なゆる~いヨガを自分でやってもいいし(乳がんヨガもずぼらヨガと大して変わりません)。



運動でなくてもいいのです。アメリカのMDアンダーソンがんセンターでは音楽療法や鍼なども行っているそうですし、韓国の病院では園芸療法などさらにいろいろな補完療法を行っているそうです。

「乳がんヨガ」を信じて受けるのであれば、QOL向上には寄与することは分かります。しかし信じていない人、あるいは逆に乳がんヨガに対して過剰な期待を持って受けに来てしまった人(私がそうでした)だと、ストレス溜まって逆効果の可能性もあるんですよ。



私には「乳がんヨガ」は乳がん患者やヨガインストラクター資格保持者をカモにした詐欺のようにしか見えないんですよね…。その理由はまた次回、詳しく書こうと思います。


2018年6月21日 (木)

乳がんヨガ

先日、こんなイベントがあるのを発見しました。

【募集開始】乳がんヨガ指導者養成講座 つくば市

ほぉ。以前、ヨガとは言えないヨガセラピーの講師を務めた方が、今度は「指導者養成」ですと。

なーにやってんだか。

と思ったら。

乳がんヨガ」、大々的に宣伝してやってるんですね。

しかも、サイトでは「術後の回復にリハビリとしてのヨガを推進しています」とありますが、指導者養成講座へのリンクの画像には「乳がん患者さんにヨガを教えてみませんか」とあり、対象が「乳がん経験者」なのか「乳がん患者」なのかハッキリしません。

一応、サイトでの文章読む限りは対象は「乳がん経験者」のようです。おそらく医療広告ガイドライン対策でしょう。

どうやらこの「メディカルヨガ」。こちらの本を教科書にしているようです。

メディカルヨガ-ヨガの処方箋

中古品を買って読んでみました。amazonよりヤフオクが安かったのでブックオフヤフオク店からの購入です。

この本自体は、真面目な本です。ヨガの基本も書かれているし、各症例に応じた内容は医学的根拠を伴って書いてあります。食事のアドバイスもありますし、安全にも配慮しています。

しかし「乳がん」の章はありません。

あるのは「がん」の章。第12章です。

その章の最初のページ(p200)に、ある乳がん患者さんが「慢性病患者にヨガを教える正看護婦(原文ママ)」からヨガセラピーを受けることになるまでの経緯が記載されています。

手術後の、化学療法中に受け始めたのだそうです。

次のページには「ヨガができること」という項目があり、こう書かれています。

以下引用

-----

ヨガを通じ、がん患者は化学療法などの治療の期間やその後のストレスを和らげ、副作用を乗り切ることができるでしょう。がん治療を受けている人は通常、力強い動きのヨガは行いませんが、ヨガのポーズはそれぞれの身体の状態に合わせて調整できます。心身回復の姿勢と簡単な呼吸法(プラーナヤーマ)は活力を与え、なおかつ、リラックス効果があり、また身体に負担をかけることはほとんどありません。瞑想やイメージ・トレーニングには、深いリラックス効果があり、不安を和らげることができます。

-----

この後、瞑想、呼吸法などのについての記述が続きます。

注目すべきはここです。

>ヨガを通じ、がん患者は化学療法などの治療の期間やその後のストレスを和らげ、

化学療法を受けていることが前提のようです。

何故か?

以前書きましたね。乳がん患者が運動するとどうなるか。

実際、p202には「痛みがひどくなったとの否定的なコメントをした人がいました。」との記述があります。

科学的根拠としては、よくある「QOLの向上」と、p203で「悪性黒色腫患者の疲労感、抑うつ感、精神的混乱を大きく和らげ、がんと闘うナチュラルキラー細胞の働きを活発にすることがわかりました。」
とあるのみです。

6年後の追跡調査で、悪性黒色腫患者のうち認知行動療法(ヨガとは書かれていない)を受けた34人のうち死亡者は3名、比較対照群、つまり認知行動療法を受けなかった34人のうち死亡者は10名。
悪性黒色腫とは皮膚がんの一種で、メラノーマと呼ばれるものです。オプジーボが適用されることでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

ほくろのような黒いシミが特徴。紫外線曝露と機械的刺激が影響しているのではないかと考えられているようです。

NK細胞が増えたとはいえ、6年後の死亡率が1割弱。行わなかった場合と比べて確かに減ってはいます。

おそらく、紫外線曝露が多かった方がそれを減らし、認知行動療法を行うことで免疫が改善した、ということはあるのかもしれません。

ですが、機械的刺激でメラノーマ発症された方が、認知行動療法による機械的刺激で悪化された可能性はないのでしょうか?

さらには、確か、NK細胞はただ増やしただけでは効果なかったのではありませんでしたか?

呼吸法や「マインドフルネス瞑想法」による効果はあるでしょう。もしかしたら免疫チェックポイントを改善する方向にはたらくこともあるかも知れません。それならそれで、アサナを行う前にしっかり呼吸法や瞑想法を行っておくべきです。



何故なら、p212を見てください。



「スーダ・キャロリン・ランディーンはクリパル・ヨガの指導者で、三度にわたり乳がんを克服したのですが、手術後1週間はストレッチを控えることを勧めています。また、自らの経験から、控えめにヨガを楽しむことの重要性を述べています。」



この記述からは何ともいえませんが、おそらくこのスーダ・キャロリン・ランディーンは、ヨガの指導者として働きながら、乳がんが再発した経験を持っているのではないでしょうか。

だから、自分の経験から、ヨガは控えめにしなさいよ、とアドバイスしているのではないでしょうか。



メラノーマや内臓系のがんなど、ホルモンが関連しないがんも含めた「がんヨガ」ではなく、ホルモンの影響の大きい「乳がん」患者や経験者を対象とした「乳がんヨガ」。

大病院が率先して行うのも理解できます。何しろ抗がん剤やホルモン療法などとの併用必須ですからね。併用しなければ悪化します。間違いないです。



ちなみに、他にもいろんなヨガやってるらしいですが、「メディカルヨガ」の本に出てくる「うつ病」「不眠症」「糖尿病」「繊維筋痛症」などのクラスはないようですね。

「うつ対策ヨガ」なんて流行りそうですが…

何故やらないか?反西洋医学系の人ならピンとくるでしょう。



「向精神薬が売れなくなるから」



結局、こういうことです。あー疲れた。アイアンガーヨガの本に載ってたアサナでリラックスしよう。

機会があれば、「メディカルヨガ」と「アイアンガーヨガ」の違いも書くかも知れませんが、それは、問い合わせの返事が来てからですね。

2018年6月18日 (月)

食?運動?心?

こんな記事発見しました。

がん患者と共に断食合宿へ行った結果、2年後生還者はゼロだった衝撃の経験。その理由を、今からお話しします。

私もマクロビ嫌いではありませんし、このサイトの記事はよく読みます。FBで流れてくるので。

しかし、この記事には反論させていただきたい。

>食と体と心、この3つのバランスがしっかり取れないと本当の健康にたどり着きません。

それはわかります。

が、乳がん患者6名を連れての断食合宿を行ったとのことですが。

>この後2年の間に全員が亡くなりました。

は?

>「大変申し訳なかった、言ってなかったが、彼女たちが治らないのはわかっていたんだ!」
>「え、わかっていたってどういうことですか?」
>「彼女らは、自分で治そうとしていないんだ、私(医者)に治してもらおう、薬が、サプリメントが治してくれる、そう思ってる。」
>「まして、がんになった事自体、人のせいにしている、自分は悪くない、あの人が私をいじめるから、責めるから、いや遺伝だ、体質だ、だからしょうがないんだ、なんて思っている。」

ふーん。

っていうことは、がんになったことを「今までの食事のせい」にして食養生しても断食しても、「全く効果がない」ということですか。


違うでしょ?

指導が間違ってたんでしょ?

メンタルが原因なら、何故、徹底的にカウンセリングしないんですか?

合宿なんだから、「逃げ」られないはずでしょ?


結局、この医師は自分のミスを患者のせいにしたんです。

酷い話。


こういう医師がいるから、断食だとか酵素栄養学が「トンデモ」呼ばわりされるのではないですか?


「運動が大事」とか言って、乳がん患者に運動させて、ホルモン大量分泌させてかえって悪化させたとか、女性ホルモン作用のある漢方薬処方して悪化させたりとか、そういうこと隠してませんか?


最近、「乳がんヨガ」ってのも出来たようです。しかしサイトにも「アメリカのエビデンスの多くが症状の改善ではなく、QOLの向上に関連したものである」ってしっかり書いてあります。

乳がんの症状の改善ではありません。


遺伝的要素が強い乳がん患者は、無再発生存率が低いことは事実です。

これを、「心の問題」にすり替えて、QOL向上が第一!と断食合宿させたりヨガさせたり。


それで再発したら、あなたがたの責任にもなるんですよ。

でも、そんなこと関係ないんですよね。何故なら


「心の問題が一番大事なんだから!文句言ってる様じゃダメ!」


なんですから。

「心の問題」、便利な言葉ですよね。



6/19 追記

IN YOUさん、2018/6/17付でこんな記事出されてたようです。

乳がんを自力で治癒・克服した私が思う、癌の弱点と、乳癌の「対処治療と根本治療の違い」について。医師のいいなりで治療方法を決めない為にできること

はいこれ、医療広告ガイドライン規制違反の「体験談」ですね。

私、同様の事例(三大療法を断り自然療法など実践)で、お亡くなりになった方の話も聞いてます。

なので、体験談など全く意味ありません。

IN YOUのライターさん、カナダ在住の方だそうで、日本語も怪しいですね。IN YOUというのは、そのあたりのチェックをしないサイトのようです。

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Sage's Link List

  • がん対策推進基本計画
    厚生労働省が平成24年に発表したもの。これによると、治療せずに様子を見る「経過観察」はしちゃダメ!なのかな?なんで?w
  • 国立がん研究センター
    食事療法については何も載っていません。アルコール摂取を控えましょう、肥満に注意しましょう、ぐらい。

Sage's Music List

  • サラ・ブライトマン: 神々のシンフォニー
    日本盤のみボーナストラック追加。
  • 3/8にリマスター発売。
    Pink Floyd: 狂気
    まさに「狂気の沙汰」ですね。
  • Walk This Way
    RUN D.M.C.:
    エアロスミスとのコラボ。
  • Somewhere I Belong
    LINKIN PARK: METEORA
    あるプログラムでの使用曲。
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